戯言、もしくは、悪あがき。
散る散るミチル
ミチルは果てた
充電切れたら
今夜も寝逃げ

2010年06月22日(火) クス

長い時間をかけて
つくりかえてきた体を
もういちど
とりもどそう

ここからさきは
だれかの体では
もう
行かれないので

無数の穴が
ぽかんとあいて
ずいぶん
散らかしたんだね
必死だったんだね

あっけらかんと
したものだ
青空を
仰ぐように
なでて
てのひらに
言い聞かせる

穴は
うめない
ただ
そこにそれがあることを
忘れずにいれば
いつかとがった切り口も
風になだめられて
どこからきたのかもわからない
種が芽吹くのかもしれない
はじめてみる輪郭の
花びらがふるえるころには
ピクニックだって
できるかもしれない

そのときには
みんな 招くよ
時間をかけて
お茶を入れて
みんなで
わいわいしてさ

わたしを
ぬりつぶすことが
ゆめでした
残響が
揺れている

みんな
じぶんの足を
鳴らすから
音楽は
とめどないんだった
なにもないはずの
晴れわたった頭上に
はねかえされた響きで
なんだか今日は
ひどく
にぎやか

長い時間をかけて
つくりかえてきた
散らかしたね
いびつな淵を
指でたどると
ぱちぱちとはじけて
崩れてしまった

火花とんで
くやしいな
きれい


あー
あーあーあー
くやしいって
じだんだ踏んで
わめいてもいいね
もう
おわかれなんだし

いやだな
まぶしいなんて

ここからさきは
だれかの心では
もう
行かれないの



2010年06月20日(日) a terre

a 伝えられるときに
伝えておかなければ
きみのてのひらを忘れそうだ
できることのすべて
きみはもう目覚めているの


窓の外では雨が降り始めていた
そのしたを
傘を忘れた人たちが
そそくさと先を急ぐ
みんな濡れるのは嫌いね
おろしたての服のすそが
どんなに身を縮めて守っても
あっという間に色を変えてしまって
それでもたどり着く場所があるうちは
抱きしめて足を動かしている
つめたい、つめたい雨だ
ぼんやりとやり過ごす日々に
冬を知らせにきたみたいに
1年が終わっていくのを
忠告に来たみたいに

できることのすべて
できることの、すべて
呪文みたいに繰り返す
指さきが凍り付いていた
靴のつま先が剥げてしまって
いったいいつこすったんだろう、なんて
考えていると肩にスーツ姿のひとがぶつかり
なにかつぶやいて通り過ぎていく
ごめんなさい、
いつも追いつけなかった
それでも歩いた
気づくと全然別の場所にいた
きみのてのひらを探すとき
あらゆる景色が消えて
わたしひとりになった
伝えなければいけないことが
たくさんあるの

もう謝らない
謝らずに済むように
目をひらいて胸を張って立とう
ねえきみはどこですか
わたしが見えたなら
手を振って
てのひらを
差し出して

できることのすべて
伝えたい言葉
もう
目覚めている

眠りの果てに
わざと傘を置いてきたの
振りそぼる雨
たしかなつめたさを
いまは一身に受けて
これからきみを
抱きしめに行く


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