lucky seventh
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2006年07月23日(日) 平行線上のアリア

あぁ、…ほら?貴方は笑っててよ。

じゃないと、アタシ 安心して行けないわ。。













ゆれるのは長い髪、(ううん。それはもう過去形。
髪と神をかけて、大昔 そこには神が宿ると言われていた。
だから、少しでも力が篭るように(アタシ頑張った。夏場とか暑かったわ。
藁をもすがるように髪を伸ばして、(だけど、あぁ…短く切れてしまった。一度だけ、貴方はキレイと褒めてくれたのに…。
より代として役に立つように身を清めつづけた。(けれど、もうぼろぼろね。
病的なほど白い肌、(そのおかげで少しづつ、魔に毒されていく身体を悟られることはなかったわ。
いつの間にか、お得意になった嘘は(もう、スラスラと完璧よ。
それが真実であるかのように世界に溶け込んだ。(だって、真実だから。

ただ貴方の身代わりになるためだけに
アタシは生きた。(それがすべてだったから、
愛しい貴方が欲しがる自由を(ずっと貴方は縛られて、
捧げる事が、アタシに貴方のためにできること。(よかった。よかった。

大丈夫。(そう、大丈夫。何も心配する必要はないわ。
きっと、貴方はアタシなんて取るにも足らないただの存在を
すぐに忘れる。(ただ、それだけの存在でも幸せだった。
アタシは貴方にとって何でもないただのクラスメイトで
同じ委員会に所属する仲間 ただそれだけだから。
すぐに忘れて、幸せになってくれるわ。(そうでしょう?
それだけで、アタシ 幸せ。(貴方のために何かできるんだもの。
きっと、貴方は笑ってるんでしょう?(貴方の笑顔が見たい。
大切な子とやっと一緒に並んでいられるようになるんだから、
貴方は笑って、そうして幸せになってゆくの。(例え、アタシに向けられなくとも。
アタシはその手伝いした。(笑って。
厚かましいこと言ってるかもしれない。(笑っていて。
だけど、ねぇ そう思わせて。
そのためだけにアタシはすべてを賭けたのだから。(夢を見させて。








血にまみれて、(アタシの最期にしては壮絶ね。
一度だけ振り返って見た貴方は(あぁ、アタシ 上手に笑えてる?
霞んだ視界で 見えなかった。(優しい貴方が心を痛めないといいのだけど…






すべてが落ちてゆくその瞬間、
貴方が、私に手を伸ばしたように見えた。

(あぁ、何て幸せなマボロシ…










すれ違って、すれ違って
それでも交わることのない平行線
まるで、アタシと貴方のように…繰り返してゆくアリアのよう に。


2006年07月09日(日) オーヴァー・ザ・レインボウ

あぁ、ダメだって 思ったの。

人を見た時ね

叩き潰さなきゃって咄嗟にそう思ったから


人がね ゴキブリに見えたの。

だからアタシはそれを駆除しなくちゃならないと思った。

アタシが安心して暮らすために、一匹残らず コ ロ シ テ ヤ ル







アタシはきっと 境界を越えてしまった。















シネシネシネシネ

最初に恐怖が浮かんだ。
目に映った瞬間、おぞましさが身体中を駆け巡り
とっさに逃げ出してしまいたくなった。

そして、その姿が物陰に隠れた
その次の瞬間、浮かんだのは これでもかという程の殺意だった。


他のどんなものでもここまで思うことはなかった。
生理的にうけつけない。
言葉にするなら、そんな簡単な一言で
それだけでは片付かない程の苛烈な激情だった。

殲滅せねばとささやく。
一匹居たら百匹いると思え。
その繁殖力目を見張るもの、抹殺しなければと
思い かられる。




そして、ある時
それが人と重なってしまった時、アタシは
途端にその恐ろしさに気付くも、もう遅かった。
アタシはもうすでにその中に群れることができなくってしまった。




そして、アタシはアタシ自身のおぞましさとか
アタシ自身への殺意とか、そんなどうしようもない感慨を
抱いてしまったのだ。










踏み越えてしまったものは何なんだろう?

踏み潰してしまったものは何なんだろう?













それは境界だったのか?
それは境目だったのか?



アタシは虹のその先へと越えて行き
アタシは虹の麓のその先へと 行く。

















あれが虹のように美しかったのなら
アタシは絶望ではなく 希望を抱けてたと言うのだろうか?


2006年07月06日(木) サーガ レギオン <月と太陽の千年戦争><約束の地>

それは昔、昔の物語り。

そこにはソラがあり、

太陽があり、月があった。<月と太陽の千年戦争>



ソラは青天となり黒き夜となり
太陽と、月とともにあり続けた。
だが、それはある日崩壊した。
太陽と月が互いに争い始めたのだ。
それは千年もの長きに亘る戦いでもあった。
太陽と月は互いの背を追い続け、
どんなにソラが止めるように訴えても
追いかけることに夢中でそれを止めようとはしなかった。
ソラは傷つき、嘆き悲しんだ。
雲に身を隠し、その涙を雨に変え世界は悲しみ溺れているのに
太陽も、月もぜんぜん気付くことはなかった。
互いを追いかけ続けた。
いつしかソラは悲しみあまりその身を2つに裂いた。
そして、ソラは世界を押しつぶした。


そうして、太陽と月が気が付いた時には世界は滅びていた。
太陽と月はかけがえのない空を喪ったのだ。。。








カナン<約束の地>



それがアノ人が付けてくれた名前だった。
「約束の地」
そう意味するのだと微笑みながらアノ人は言っていた。
けれど、アノ人が僕の名前を呼ぶことはもうない。
アノ人はもういないのだ。

もうアノ人はどこにもいないのだ。


「カナン、いつか貴方を約束の地へと連れて行ってあげる。」

そう言って、アノ人は内緒話をするように
口を耳に寄せ、嬉しそうに言っていた。

「そこはいずれ至上の幸福の地になるはずなのよ。」

夢見るように甘い口調で、
本当に嬉しそうに 幸せそうにアノ人は笑っていた。


「いつか、ぜったいぜったい貴方を連れて行ってあげるわ!」


だから、待ち続けているのだ。
アノ人が還ってこないと分かってはいるけれど、
思い出の中のアノ人がいつでも笑っていられるように、
思い出の中のアノ人がいつでも帰ってこられるように。

こうして、約束が果たされる日を いつまでもいつまでも待ち続ける。
この約束が生きている間、アノ人は生き続けているから。。。




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サーガ レギオン
2006 01/11と同シリーズ。


2006年07月02日(日) 蒼天を射抜く藍

瞼をそっと 伏せた。

その動作はまるで帳をおとすように

密やかな仕草の中に夜をおとす。


もう、笑いかけてくれることはないんだろう。と、僕は笑った。

えぇ、そう決めてしまったから。と、彼女は口元だけ綻ばした。









そうてんヲ射抜ク アイ。










あの日、そう言った彼女に
別れ告げたあの人に

手を伸ばすことは出来なかった。

けして、叶わない願いではないと言うのに
何かに絡め捕られたように、その腕は持ち上がらなかった。

あの日、互いに手を伸ばせ届く距離にいた。
息が触れそうな、視線が交じり合う
そんな世界にいたのに、その世界が終わろうとしていたのに
躊躇ってしまった。
そして、その一瞬が終わりなんだと計らずとも理解してしまったから、
もう、残された道は離別なんだと思ってしまった。



「愛してた」

その言葉に彼女は笑った。

「愛してました」

そう言って、笑って 別れを告げてしまった。






ためらいが終わりを告げた。
手を取り合うことができなかった二人に残された道、
もう二度と今生で交わることないと知った時、
終わってしまった。
最初で最後の愛は実ることなく、おちてゆく。





「愛ってなぁに」

笑う少女に男は笑った。

「無くても生きていられるけど、亡くしたら無くならないものかな」

















あぁ、願わくば死する時に君を思い出したい。
幻影でいい、夢でいい、
思い出だけを持って、君だけを思って死ねたなら
なんて贅沢で 愛されていると思って死ねるのだろうか?
あの日、分かれた君はますます美しく 僕は思い出の君を愛す。
そうして抱き続けた、叶わぬ愛に 殉じて死ねれば
それは人のエゴだと笑ってくれるかい?
だけど、そうすれば僕は死すら恐れず 神はここにいたと
最後の最後までそう声高に言い続けよう。




君と別れてそれほどの月日さ年月が経ったのだろう?
あぁ、コレが消えぬ思い?
それとも僕があの頃のまま変わらないだけ?
いや、変わらない人など存在しない
時が流れれば、流れるほど人の心も変わり行く。
それならきっと、僕はまだ君を愛し続けているんだ。
それが君か、あの頃の君か、思い出の中の君かは
もう、僕には分からないけど…







手をそっと 伸ばした。

すると君は、綻ばすように

ゆっくりとその顔に花を咲かせ 僕に手を伸ばす


ナナナ

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