Sports Enthusiast_1

2013年01月02日(水) 2013、おめでとうございます。

元日のサッカー天皇杯決勝は、柏がG大阪を1−0でくだし優勝した。G大阪はボール保持率でおそらく柏を上回っていたものの、攻撃に組織性がなく、得点を上げられなかった。2012シーズン、J2降格したG大阪の致命的欠陥がこの試合においても露呈した。

もちろん、このチームの弱点はCBとして移籍してきた今野が最後までチームになじめず、守備が崩壊したことだったが、その今野をボランチに上げて守備が安定したこの試合においては、攻撃陣が個人技に走り、ゴールにいたるプロセスを構築できないまま、試合を終えたかたちとなった。

いずれにしても、チームとしての組織的戦略が立てられていない。選手の個々の能力は高いものの(とりわけシーズン間際の積極補強で)、戦力が組織化されず、個人頼みになっているところがG大阪の最大の弱みである。

G大阪の再建に必要な手段は、よき指導者の招聘である。その一環として2013シーズン、長谷川健太氏を監督に就任させたようであるが、筆者はあまり期待していない。長谷川氏の手腕はJ1清水で証明済みである。だが、長谷川氏の指導者としての持ち味は、降格したG大阪の現状には、なじまないような気がする。長谷川新監督が遠藤、今野、明神といったベテラン現元代表クラスをコントロールできるのだろうか。長谷川氏が厳格な規律をチーム全員に徹底できるかどうかが不明である。長谷川氏が練習のあり方、闘う姿勢、フィジカルの強化を含めたディシプリンを再構築できたならば、G大阪は最短でJ1復帰が可能となろう。

天皇杯決勝の決着をもって、日本のプロサッカー2012シーズンの終了となった。2013シーズン開幕までの間は、移籍によるチーム強化が重要となる。ファンとしては、優秀な外国人選手がJ1に一人でも多く来てもらい、すばらしいプレーを見せてくれることを願っている。先般おこなわれた、コリンチャンスとチェルシーのトヨタクラブW杯決勝戦では、J1でプレーしたエメルソン、ダニーロが活躍した。「大物」と呼ばれる選手ではなく、J1をステップとして世界レベルへ飛躍できそうな若手でもよい。J各クラブのグローバルなスカウティング力に期待したい。

なお、前出のトヨタクラブW杯決勝戦の報道において、“やっと”というか“どうにか”というべきか、日本のスポーツメディアが「守備の南米」「攻撃の欧州」という表現を使い始めたことは喜ばしい。これまで、南米がラテンで、サンバで、華麗で、個人技で・・・と報道していた日本のマスメディアが、その紋切り型の陳腐さにやっと、どうにか、目覚めたようである。試合もそのとおりとなったことはだれの目からも明らかであった。こうやって、日本のサッカーカルチャーは少しずつ前進していくのである。


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