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2011年11月16日(水) ドローで終われない日本の弱さ

サッカーW杯アジア3次予選のアウエー2連戦(タジキスタン→北朝鮮)、日本は先のタジキスタン戦に勝利して予選突破を決めたが、直後の北朝鮮戦に0−1で負けた。

相手・北朝鮮の特殊な政治状況及び日本との特別な関係を考慮しなければ、北朝鮮との試合は、およそ人々の関心を呼ばない消化試合にすぎない。イタリア人のザッケローニ日本代表監督が日朝関係の特異事情をどれくらいの深度で理解しているか知る由もないが、レギュラー組のGK川島、DF(CB)吉田、DF(SB)内田、MF遠藤、FW香川、故障欠場のMF本田、DF長友が外れて、GK西川、CB栗原、SB伊野波、SB駒野、MF細貝、MF中村憲、FW清武が先発メンバーとなった。代表11人中7人が控え組だから、1軍半というところか。

試合展開の詳細は省くとして、日本は押されっぱなし、しかも、控え組のパフォーマンスが悪く、ザックジャパン初黒星という痛い結果となってしまった。とりわけ、北朝鮮の先取点は日本DFの競り負けが招いたもの。一対一や球際における日本選手の勝負弱さばかりが目につき、日本代表サポーターにとっては、歯がゆい試合、最悪の試合の一つだったのではないか。

スポーツマスコミは、究極のアウエー戦であるとか、5万人の怒号であるとか、開催国・北朝鮮に対するショッキングな表現の報道が溢れたが、アウエーの厳しさはどこへいっても同じこと。アウエーを特殊な状況だと考えるのではなく、その良し悪しは別として、アウエー不利は当たり前のことなのだと認識すべきなのだ。アウエーゲームを経験していないのは、日本代表の控え組選手にとどまらず、鎖国状況にある日本のスポーツマスメディアだとも考えられる。世界基準としてとらえるならば、日本の生ぬるい《ホーム〜アウエー》のほうが特殊状況なのだ。

最終予選突破を決めた直後の消化試合、モチベーションを高めよと鼓舞しても、そうはいかないのが人間だろう。しかも、相手は観客の後押しを受けて体をはって圧力をかけてくる。慣れない人工芝、球際に弱くなるのも無理はない。出場した代表選手にとって、やりにくい試合だっただろう。

結果、日本が0−1で負けたことで、開催国(ホーム)・北朝鮮代表及び国民が幸せと満足感を味わうことができたに違いない。日本選手に大怪我もなく、予定調和的国家規模のショーに協力したと思うほかない。今回は、それで良しとしようではないか。

この試合の結果から、生真面目に日本代表の「課題」を挙げるならば、すでに多くの論評・報道があるとおり、「レギュラーと控えの力の差」ということになる。具体的には、▽遠藤の代役不在、▽CB人材不足、▽トップ下不在・・・と、いろいろあるだろう。

北朝鮮戦で結果を出せなかった主因は、日本代表のなかに厳しいアウエー試合をあまり経験したことのない選手が含まれていることだ。東アジアの日本は、欧州諸国と違って、アウエーで強い相手と戦うための地理的条件に恵まれていない。キリンとのスポンサー契約(キリン杯等)もある。国内開催の日本代表親善試合が、協会の資金源になっていることは理解できる。

だが、いつもいつも、自国開催という恵まれた環境で代表親善試合を行ってばかりいると、アジア諸国のレベルアップとともに、日本がW杯予選で勝てなくなるときがやってくる。現に、日本代表は北朝鮮では勝てていないのだから。

日本代表強化の道筋は、アウエー試合を増やすことだと言って過言ではない。


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