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Only you can rock me
五十嵐 薫
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2008年05月20日(火)
スクリュードライバー

細く開けたカーテンの隙間から君は、流れては消える夜の街を覗き込む。

見慣れた渋谷の街も深夜バスの車窓から見れば、まるで初めて降りた空港から眺める知らない街の風景みたいだね。

時折カーテンの隙間から漏れる街灯が、君の横顔を照らす。
その口元が笑っているのを見て、僕はなんだかほっとする。



君のiPodは今、何をかけてるの?
片目を薄く開き、曖昧に笑う君。

僕かい?
一人旅の時に夜中に聴くならやっぱBJCとかじゃないかな?
今?
何も。イヤホン耳に入れてるだけ。
音楽聴いてるふりしてずっと、君の横顔眺めてる。



君の呼吸が寝息に変わるまで、こうしてていいかい?



2008年05月15日(木)
Jellyfish

胸の奥に神様の落とした釣針が引っかかって、眠れない夜。
そんな時、君は空を見上げるんだって言った。



水面越し、煌々と照る月に。
ゆらゆらと瞬く星に。

あるいは、曇天の空に。
油を流したような動かない闇に。

唄うんだって言った。

そのまま海流に抗わず、
歌を唄いながら夜の海を漂うんだって言った。



君の唄う歌はどこか遠い国の祈りの言葉みたいで、
べったりと凪いだ夜の海に、ソーダの泡みたいに浮かんでは消える。



君の歌、好きだったよ。
でももう聴こえないんだ。



君は流れて遠くまで行ってしまった。
死んだ女より遥か遠くまで行ってしまった。



神様の落とした釣針は今、きっと僕の胸にある。



2008年05月09日(金)
I'm lovin'it.

コーヒー飲める家から一番近い店がマクドナルドなんだ。
しかもトイザらスの隣でさ。オープンなんて10時過ぎなんだぜ。
当然僕の好きなソーセージマフィンはないしさ、客の九割九分は親子連れなんだよ。

ここんとこ毎日そこでコーヒーを飲んでるわけ。
仕方ないんだ。
遠くまで出歩けるほど足は回復してないし、家に閉じこもりっきりってのも嫌だろ?

最初はさ、店員に怪訝な顔されたよ。
だって若い母親と小さい子供だらけなんだぜ?
どっちを目当てに行ったって問題だろ?
店員は僕がコーヒー飲むために通ってるなんてこれっぽっちも思ってない顔してたよ。

最近?
僕が幼女にも若い母親にもそれほど関心ないってわかったみたいだよ。
いつも一番胸のでかい子のレジの前に並ぶようにしてたからね。
・・・冗談だよ。

携帯とかいじってさ。特に興味ないネットのニュース見てさ。
コーヒー啜って帰るんだ。

え?楽しいかって?
いや、特に。
逆に聞くけどさ、君はマックに特別な楽しみを感じたりすることあるの?

だからさ。
割と美味しいね、ってお話。

何が、って。
マクドナルドのコーヒーさ。



今、その店にいるんだ。
家族連れに囲まれ、なんとなく手持ち無沙汰なんだよ。






別に、君の命日だからって特別なことなんて何もないよ。


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