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Only you can rock me
五十嵐 薫
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頑張ろう東北!
エンピツユニオン

2007年11月27日(火)
一人

風邪をひいた。
お陰で仕事がはかどらない。
久しぶりの復帰でまだペースに慣れてないせいもある。



二十代前半の女の子数人に書籍を送った。
届いたって返事をくれた子はそのうちの三分の一。
書籍の中身についてきちんと言及して感想なりを伝えてくれた子はわずか一人。
そんなもんだと思いつつ少しがっかりする。



いよいよ寒くなってきた。
空冷バイクにはもってこいのシーズンだ。
昨日バッテリーも載せ変えた。
あとは僕が風邪を治すだけだ。

そう、常に僕次第なんだ。



2007年11月21日(水)
近況

久々に、出版関係の仕事をしています。
省みると、締切に追われる仕事は嫌だといいつつ常に締切のある仕事しかしてません。

性分なんでしょう。



飯を奢ってもらう程度のつもりだったんですけどね。最初は。



当分、多忙です。



2007年11月18日(日)
11月18日

東京ビックサイト東1ホール「は24a」。
サークル名はsister of Troy。

小説アンソロジーを販売しています。
お立ち寄りください。



2007年11月17日(土)
パズル

女は背中を丸めて何かに熱中していた。
肩越しに覗き込むとスパイダーソリティアだった。

「こういう単純なゲームって止まらないよね。」
スペードの8をどこのラインにつけるか迷いながら呟く。
「ローカルルールつけようか。」
「え?」
僕の提案に女は振り返る。
「ルールをひとつ追加。カードの移動は右方向のみ。ただし一番右のラインだけは全てのラインに移動可。どう?」
「やってみる。」
女はしばらくあれこれマウスを動かしていたがすぐに諦めた。
「ダメ。全然上手くいかない。」
口を尖らせた女はそのままPCの前から離れた。



僕は笑いながら女が座っていた椅子越にマウスを動かす。
メールが一通。
ざっと目を通す。
女が横から覗き込む。

「お詫びのメール?」
「そうみたいだね。」
「どうしたの?」
「貸してあげた資料の文面そのまま雑誌に使っちゃったんだよ。」
「資料?」
「昔、取材したヤツ。」
「取材?新聞記者だったとか?」
「まさか。」



PCの電源を落とす。
それを見た女はいそいそと出かける準備を始める。
食事に行く約束をしているのだ。

「さっきのソリティア。」
マスカラを塗りながら女は訊いた。
「いつもあんなルールでやってるの?」
「思いつき。ゲーム自体しない。」



簡単なルールをひとつ追加するだけで単純なパズルが難攻不落のゲームに変わる。
だが、そこにもレトリックはある。
幾らルールが追加されようとそのパズルの、構造自体は結局単純なままなのだ。



短い文面から察知しての素早いレスポンス。
優秀なエディターはそうじゃなきゃいけない。
資料は返さなくてもいいから今度飲みに行こう。

追加したいルールは大したことじゃない。
文面から僕が特定されなきゃいい。
ソースとはまだ切れてないんだ。





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2007年11月16日(金)
delicacy

眠れない夜だった。
窓の向こうで梢のざわめく気配がした。

ソファーの上で足を縮め鈍痛が去るタイミングを奥歯で計る。
こめかみが脈打ち、眼の奥が熱い。
頭痛の原因はたぶん、低気圧が近づいたせいだろう。

ロキソニンで抑えるかロヒプノールで眠るか考えた末、結局飲むことにした。
酒は鎮痛剤にもなるし睡眠導入剤にもなる。量さえ間違えなければだが。

キッチンに移動する。
キャビネットからグラスを出したところで、二度目の鈍痛が来た。
ダイニングチェアに腰を降ろす。そのまま固まる。たぶん10分はそのまままんじりと動かなかったろう。
テーブルに肘を付いたまま、目の前にあるジンのボトルを眺める。
意を決してこめかみから手を引き離し、琉球ガラスのショットグラスになみなみ注ぐ。
トニックウォーターなんて気の利いたものはなかった。
水道水をチェイサーに一息で飲み干す。






デリカシーの解釈は人によってこんなにも違うのかと驚く。
たぶん、デリカシーのない扱いしか受けてこなかったからデリカシーたるもの自体よく判らないんだろう。

君が稚拙に弄ぶその言葉は、僕なのだ。
君がいとも容易く言葉遊びに使うその言葉自体が、僕なのだ。






三度目の鈍痛はこなかった。
ダイニングチェアから立ち上がる。
キッチンで口をゆすぎそのままベッドルームに歩いた。

窓の外は相変わらずの風だった。






いつか判るかもしれないし、一生判らないかもしれない。
どっちにしろそこに僕が立ち会うことはない。





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