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沙夜



 お人好しっていうより、バカ。

「暮らし始めてから、夫に多額のローンがあることを知りました」
「いまだに繋がりのある元彼女がいるようなのです」
「他にも嘘と隠し事があるようです」
「夫のことが分からなくなりました」
「全てを投げ出してしまいたい」


Hくんがいかに奥さんを愛し、結婚に至るまでどれだけ一生懸命だったか。
分かるだけにほっておけなかった。
誤解されたままではHくんが可哀想だ。
奥さんの不安も取り除いてあげたい。


で、奥さんに返事出したの!?

出したよ。

……沙夜も大変だね。
前はHくんで、今度は奥さんなんて。



私から話を聞き、彼は呆れていた。


当然…か。




以前、彼の元彼女さんから、何度かメールを頂いたことがあった。
あの時も私は返事を出そうとしたけど
彼に「出さないで欲しい」と言われ、やめた。


Hくんだったらどうだろう。
「メールしないで」とは言わない気がする。
むしろ「奥さんの相談に乗ってやって」とか言いそう。


どっちがどうじゃないけど。
彼には彼なりの、HくんにはHくんなりの誠意があるんだろう。



2003年11月27日(木)



 奥さんからのメール

何の前触れもなく、Hくんの奥さんから私宛にメールが届いた。
長いメールには、Hくんや結婚生活に対する不安がしたためられていた。


「主人が以前から沙夜さんに色々と相談していたと聞いていたので、
 沙夜さんなら分かって下さるかと…」
「どうかこのことは主人に内緒で」
「沙夜さんのアドレスは主人のアドレス帳から調べました」
「でも、二人のメールを見るようなことはしていません」


本当なんだろうか?


色々なことを疑い出せばキリがなかったけれど、私は彼女を信じ
Hくんには内緒で、奥さんに返事を書くことにした。



2003年11月26日(水)



 帰路

露天風呂にて聴こえる川のせせらぎ。

雲海に浮かぶアルプス山系。

安曇野ののどかな風景。


・・・は〜。


食事やお風呂も良かったけれど、
大自然の素晴らしさにとても癒された。


楽しかった?

うん。楽しかった!



でも。


帰る時に通ったあの峠道だけは最悪だった。
狭いし、暗いし、ライン見えないのに
対向車はビュンビュン来るしで。
彼の運転する車に乗ってて、怖いと思ったのはこれが初めてだ。


ひゃーーっ。
怖いよーーっ。
きゃーーっ。



と、騒ぎっぱなし。


旅行に行く前、占いで「最悪なことが起こります」なんて出たから
事故っちゃうんじゃないかとか心配してたのだ。
無事で良かったぁ。



来年はどこにする?
どこに行きたい〜?


ええっ!? もう来年の話?(笑)




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お疲れ様。ありがとう。



2003年11月25日(火)



 欠片


愛してるって言って。


愛してる。


愛してるよ、ずっと。



ずっと?


ずっと。




永遠も絶対もない。


でもこの瞬間に、永遠や絶対の欠片がある。



2003年11月24日(月)



 「一周年、おめでとう。これからもよろしくね」

車から降りるとキーンとした空気が身体を包む。
川の流れる音が山間に響いていた。


私達が泊まった新館の部屋は、温泉旅館というより
オシャレなシティホテルのようで、とても快適だった。


気持ちの良いお風呂と美味しい食事を堪能し、
ソファーに二人もたれ合い、ボジョレーヌーボーを飲みながら
テレビで「グリーンマイル」を観た。


静かにゆっくりと過ぎてゆく贅沢な時間に、幸せを感じる。





テレビでは、囚人と看守が映画を観ているシーンが流れていた。
急に胸がいっぱいになって、涙がこぼれた。


ごめん…。なんか、哀しくなって来ちゃった。

ど、どうしたの!?
僕が冷たいから哀しくなっちゃったの?


違う、違う。
そうじゃないの。
映画がね、ぐずっ、切ないの。


そうなんだー。
すごいねー。

(これで泣いちゃうの!?というニュアンス)

う、だっで。
酔っでるどね、余計にね、涙腺がゆるんじゃうんだぼん。






泣き虫過ぎて自分でも嫌になる。


この1年間、彼の前でたくさんの涙を流したっけ。
よろこびながら、かなしみながら。


泣いている時の私は“本当の私”だって思う。
泣きながら、いつもそう思う。


出来ることなら泣かない強い人になりたい。


でも、
嬉しい時や哀しい時に泣けることは、幸せなことかもしれない。
泣きたいのに涙が出ないのは、とても苦しくて辛いから。






0時を過ぎたのを確認した彼がグラスを手にし
「一周年、おめでとう。これからもよろしくね」と笑った。


(これからも? こんな私でホントにいいの?)

はい。こちらこそよろしくお願いします。


そしてグラスを合わせた。
チーーンっていい音が響かなかったのが残念だった。




2003年11月23日(日)



 一周年記念旅行へ

彼が、旅行の前日に出張が入ったと言う。


……てことは?

だから(出張と旅行は)自分の車で行くよ。

えーっ。


彼の自宅 〜 出張先 〜 私の自宅 〜 温泉 〜 私の自宅 〜 彼の自宅
の道程を車で?


・・・全行程で何km走るんだろう。
かなりの距離になることは確か。


疲れちゃわない? 大丈夫なの?

大丈夫でしょ。


うーん。なんだか疲れる為に温泉に行くような気がしないでもない。
私の心配をよそに、彼は予定通り金曜の朝、自宅を車で出発した。


長時間の運転、そして出張先からこちらに向かう途中、大雨が降り
山道でかなり怖い思いをしたりで、かなり大変だったみたい。
なにはともあれ事故などなくて良かった。



翌土曜日。
少し風があって肌寒かったが、空は青く高かった。
午前10時、約束の時間ぴったりに“迎えに来たよ”コール。


おっはよー!!

ははは。テンション高いね。


2週間振りに会う彼は、髪を短くしダイエットしたおかげで、
幾分すっきりしてみえた。


時々「沙夜ちゃーん♪ 沙夜ちゃーん♪」と、私の名前を連呼する。
テンション低めの私を盛り上げる為?


私も(頑張って)ニコッと微笑んでみたり「うん〜」とか「はーい」とか
「○○ちゃーん」とか、バリエーションある返事を試みたが…。
(ぜえぜえ、はあはあ)


私も酔えばかなりテンションあがるんだけど。
どうして酔ってないのにこんなにテンションをあげられるんだろう?
恐るべし、ネバーエンディング名前攻撃。
白旗です。パタパタ。


途中寄り道しながら、午後5時、ようやく旅館に到着した。



2003年11月22日(土)



 1年

あと1週間で、彼と付き合い始めて丸1年になる。


1年経って改めて思う。
1年の間には色々あったけどほとんど変わってない、って。
彼も、私も、2人の関係も、それぞれの想いも。


変わらないことは、いいことだろうか。
悪く言えば、成長がないとも言えるけど(笑)


なんにしても、ここまで続いたのは彼のおかげ。


今までありがとう。
これからもよろしくね。




来週は記念の旅行!!
すっごい楽しみ〜〜。



2003年11月15日(土)



 独身Hくんとの最後の電話

『彼に名前を間違えられちゃった』


Hくんに携帯メールしてみた。
『そりゃ、ひどいね〜』とか、『ま、よくあることだよ』とかいう
レスを期待して。
そしたらメールではなく電話がかかってきた。


「名前のことだけどさ、そんなに気にすること無いよ。
 間違えたからって、必ずしも(浮気とは)関係ないみたいよ?
 僕なんてエッチしてる時に間違えられたことあるし」


そんな感じのフォローがあって。
その後はお決まりのおのろけ話だった。


「昨日、僕の誕生日だったから彼女と食事に行ったんだけどね…」


今年はHくんの誕生日のこと、すっかり忘れてた。
昨年と一昨年はプレゼントを贈ったのに。


でも、なんとなく、忘れていたことが嬉しい。
月日が流れるとはこういうことなんだろう。



「いよいよだね。もう電話とか携帯メールとか出来ないよね」

「そうだね」

「電話、ありがと。じゃあね」

「じゃあ」


さらっとしたものだ。
でも、これでいい。


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2003年11月01日(土)
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