妄言読書日記
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2013年06月15日(土) 『ディスコ探偵水曜日 下』(小)

【舞城王太郎 講談社文庫】

1841年のモルグ街から一世紀半少々、探偵も時空を超えて世界を助けたり滅ぼしたりするようになったんだなぁという感慨。
しかもディスコはそもそもは名探偵じゃなくて、迷子専門のハードボイルド寄り探偵。銘探偵でも探偵神でもない、ディスコが世界を変える。
たくさん登場する名探偵たちじゃなく、ディスコは子どもを助けるというたった一つの倫理で世界を救おうとする。
そこにいたるまでに時空の超越や空間のねじれや宇宙その他もろもろのわからない話しがたくさん登場するけれど、核は割りとシンプルなのでそこを見失わなければこの厚い小説も読み通せる。

個人的にもうそこそこの年齢なので最近は純粋悪というものには惹かれなくなりつつあるけれど、この小説の場合はいいんじゃないでしょうか。

最初は水星Cって何?と思ったけど、とちゅうからやだかっこいいとなります。
最終的にディスコの気持ちの一つかと思ったけど。
本家の清涼院流水より九十九十九を使いこなしているような。
他の舞城作品とリンクしているというよりはメタな位置関係でしょうかね。
ま、あまりその辺は深く考えず。
(好きな人は深く掘り下げるといいと思うけど)

舞城小説って毎回みょうに明るい感じに終わるのが好きだな。ポジティブで。



蒼子 |MAILHomePage

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