妄言読書日記
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※ネタバレしています
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2005年08月28日(日) 『ST警視庁科学特捜班毒物殺人』(小)『ドロヘドロ 1〜4』(漫)

【今野敏 講談社文庫】

久しぶりに寒い解説文だったなぁ。
普通なんだけど、いかにも職業的というか、書き慣れてる。
書いている内容は妥当なんだけれど、中身が無い。
人の作品のことを語るのだからもう少し、気を張ってくれよ。

ST二作品目。
うーん、やっぱりこの人の文章というか、ノリ、テンポと波長が合わない。
面白くないことは無いけれど、こういった娯楽小説は合わないと全く駄目だからなぁ。
事件の裏に自己啓発セミナーがあるというのも、先日読んだ『慟哭』が秀逸だったゆえ、かすみがち。

STの人々もいまいち親近感がわかない。
でも菊川刑事は好きです。

+++++++++
【林田球 小学館ビッグコミックスIKKI】

面白いとは聞いていたのだけれど、表紙が怖いし、粗筋を読んでもいっこうに要領を得なかったのでなかなか読まないできました。
独特のあくの強さがあります。
でも面白いなー。
強く人にお薦めしたくなるタイプの本ではないですが、絵も上手いしキャラもなんだかみんな、かわいい。
グロイんだけども。
グロも最初びっくりするけど、ブラックなユーモアに溢れていて楽しいです。

なんとも変な漫画。


2005年08月25日(木) 『NO.6 4』(小)『クーデタークラブ2〜5』(漫)

世にレビュー・感想文サイトは多かれど、この二作を並べている人は他にいないだろう。
たまたまです。たまたま同じ日に読んじゃったんだからしょうがない。

【あさのあつこ 講談社YA!ENTERTAINMENT】

待ったなぁ、大いに待った。
でも、あとがき読んじゃったら何も言えないよ。
新刊が出た、それだけで今は感謝ですかねぇ。

3の終わりではすぐにも、施設に潜入しそうだったけれど、実際読んだら最後にようやく潜入でした。
お話自体は3巻からぐっと、進行速度が遅くなりましたね。
代わりと言っては難ですが、ネズミが紫苑についてもう一歩つっこんで考えるようになったことと、紫苑が熱烈に愛の告白をしていた(私の妄想や言葉の綾ではない)というあたりの進展。
その辺は別にいいのです。
ネズミと紫苑がらぶらぶになったって、そんなのは今更取り立てて騒ぐような話でもない。
そうかそうかー、頑張って生き延びようぜー。
そんな気持ちでいっぱい。
夏を迎えようよ。

だけどこの巻から、「紫苑がついに、一生涯忘れ去ることの出来なかった色だ」みたいな、ある一点から回想するような文章が目立ち始めて、非常に不安。
し、死ぬの・・・?
イヤだなぁ、イヤだなぁ。
ハッピーエンドを愛するものとして、なんだか不幸を予感させる展開は辛いなぁ。
続きが気になるなー。

ところで、イヌカシは女の子だったようです。
まあ、この小説、ひいてはあさのさんの小説で、女の子男の子、大人子ども、なんてのは大して大きな意味は無いように思う。

+++++++++
【松本光司 講談社ヤングマガジン】

ようやく続きを見つけたけれど、肝心の最終巻が発見できません。
き〜に〜な〜る〜

相変わらず、予想の斜め上に展開される物語に、少々びっくり。
もうどの辺から言っていいのかわからない。
えっと、私は潤はショートのかつらの方が好きです(そこからかよ!)
足のきれいな子は、ハイソックスがいいと思います。

えっとえっと・・・。
噛み切るって、物凄い暴挙だよなぁ。
その前に、板の細かい説明が妙に可笑しかった。丸太の片鱗を感じた。
美依の設定が凄すぎて何も言えない。

潤だけが女装癖なんだと思いきや、もう一人女装キャラが出てびっくり。
最終的には「これが戦闘服だ」とか言い出す始末。
潤はどのあたりで、革命部より健一に付く気になったのか。
どっちもイヤだけどなー
健一というよりお姉さんですか。
姉×潤は、なんだかもうわけわかりません。
とりあえず、ときめいときます。
潤があまりにもずっと、女装しているので、元の姿に戻られると、読んでいる側も素に戻るので、できれば女装し続けて、判断力を鈍らせてください。
弟の死に様があまりに可哀相。
ノコギリ引き・・・死んでる。きっと死んでるよー。
死なないまでも正気でいられるわけがない。

潤は女装している時、お姉言葉よりも普段のままの言葉遣いしているほうが可愛い。
お姉言葉がなんだか変なんだものー。

にしても健一くんは、ユウジに惚れてんだね。
さすがにそこは疑わなかった。
松本先生はホモというかゲイを描きたいんだけど、青年誌でそんなもの描いても誰も喜ばないから、女装にしてみたとかそういう雰囲気を感じる。
彼岸島にも微妙にそんな空気を感じる。
女性作家が故意に、同性愛っぽいものをにおわせるのとは、正反対のことをしているような。

うがちすぎ?

そんな細かいことはどうでもいいくらい、突拍子も無い漫画ですけども。
相変わらずユウジの顔に笑ってしまう。
もっと「お前の革命はどこにある」って連発して欲しいなー。


2005年08月23日(火) 『リヴィエラを撃て 下』(小)

【高村薫 新潮社文庫】

読んだなぁ・・・。

『神の火』や『黄金を抱いて翔べ』を読み終わった時と同等の、寂寥感の残る終わりでした。
いや、下巻の怒涛の運命は、随一と言えるかも。
高村小説を読むとぐったりします。
恐るべき充足感に読み終わるといつも疲労してます。

上巻の冒頭でジャックが死んだ時、その頃はジャックがどういう人物かを知らず、またどうして殺されるのかもわからなく、特に何も思わなかったのだけれど、ずっと通して読み続けると、ジャックの死の無残さがよくわかる。
なんだか二度、ジャックを失う気分。

感想を書こうにも、サラの最期、伝書鳩の最期、ダーラム候、シンクレア、そしてキムの最期、そんなものばかりが思い出される。

全てが痛切で哀しい下巻でした。
レディ・アンが凄かったな、と。

手島が日本語を一切話すのをやめたくだりが、胸に痛いです。
リトル・ジャックだけが小さな救い。

いやこれはもう、本当に重かったな・・・。
これが高村薫だ、という一作でした。


2005年08月22日(月) 『クーデタークラブ 1』(漫)

最近、漫画続きですなぁ。そんな気分の時もある。

【松本光司 講談社ヤングマガジン】

『彼岸島』の松本光司なのか、『クーデタークラブ』の松本光司なのか。
一巻だけ読んだ感想としては、明らかにクーデタークラブの方に軍配が上がる。
彼岸島は、“吸血鬼に支配された島から生還する”という根本の設定が、ありきたりですからねぇ。

で、本書。
優等生だけど、全く違う自分になりたくて女装する男子高生が主人公。
どうしよう、普通に可愛いんだけど
裏表紙の眼鏡と、表紙のショートカットの子が同一人物って!!
そんな主人公の潤くんが、革命部という怪しげな部活に出会い、入部するというところまでが一巻。

冒頭の出だしで、潤が女子トイレ覘いているあたりが、やっぱり松本先生としてはこういうの外せないのねぇと思ったが、後は普通に面白く読みました。
それに、彼岸島より丁寧に描いてると思うのですが。絵を。

最後の「あなたに勝てないと思う僕の心に革命を」のシーンはかっこよかったです。
潤くんはほんとになー。ずっと女装でいいよ。可愛いよ。

だけどどうしても一つ、爆笑したのが、
ユウジの顔、濃ーっ!!!!
や、やめて!!そんな大ゴマで!アップにするのやめて!!
死にそうになった。
だって、こんな顔の濃いキャラ、彼岸島にもいなかったから。
かなり意表を突かれました。
アイラインばっちり、タラコ唇のユウジの顔に革命を!!!

「お前の革命はどこにある」「〜に革命を」が、私の中で流行りそうです。
というより、すでに流行ってる。

ところで、探し回ってようやく一巻を見つけたのですが、二巻以降見当たらないです。
私の革命はどこにある!?


2005年08月20日(土) 『家庭教師ヒットマン REBORN 1〜3』(漫)

書くの忘れてましたが、改装しました。
この日記だけ見ている方も多数いるような気がするのですが、お気が向きましたらサイトの方もぶらりとどうぞ。
特に何もないのですぐ見終わると思いますが。

あ、それとこの日記のカウンタ3万越え。毎度有り難うございます。

【矢野明 集英社ジャンプコミックス】

特に何の期待もせず読んでみた。
特別面白くも無いが、可愛い漫画。
なんだろうね。
ギャグとしてのキレはないし、ブラックというにはほのぼのした雰囲気だが、それがなんだかほんわかした気分。

キャラクター達のコミュニケーションの取れてない感じと、獄寺くんの空回り加減が可愛いです。

お話が毎回、もう少し締まりがあるともっと面白いと思うんだけど。
毎回律儀に全キャラを登場させようと言う心意気は感じる。

良くも悪くもジャンプ漫画だなー。
私はけっこう好きですが。
なるべくがんばって、10巻くらいまでにしといて欲しい漫画。
途中から本格的にマフィア目指し始めたり、戦い始めたりしないでね。今のゆるゆるしたのがよいな。


2005年08月18日(木) 『妖怪大戦争』(映)

【監督:三池崇史 日本】

夏休みの子供向け映画。
の仮面を被った妖怪馬鹿映画。
(妖怪馬鹿は褒め言葉です)

あれだ。動物好きの人が、動物がいっぱい出るの見てるだけで満足、と同じように、妖怪が画面を埋め尽くす様を見てうはうはする映画です。

神木くんの成長とかはまあ、横に置いておいて。

しかも、妖怪一体一体にとくになにも説明はなく、とにかくラストは百鬼夜行。
妖怪祭。
妖怪何体わかるかな?状態。
妖怪馬鹿が己の妖怪知識を試すための映画。

妖怪がいっぱい見れて楽しかったです。
あとは、水木ファンが大喜びで作った映画みたいな雰囲気。

あと、ゴボウ。ゴボウに大爆笑。

神木くんの、着替えシーンはどうなんですか。
神木くんの白くて細い足とかどうなんですか。
映倫はあれを許容するんですか?
なんだかなぁ・・・。神木君が美形だということがよくわかったよ。

川姫の太ももは素敵でした。
アギは着替えが激しくて、可愛いです。
でも栗原千明、肌が荒れてませんか?
トヨエツが好きなのですが、「豆!」にはどうしようかと思った。
苦笑。まあ、ええけどな。

シナリオ?
小豆と一緒に磨いでしまえよ。

水木御大は素で妖怪っぽいからなぁ。
京極夏彦が相変わらず出演してました。ついにフルメイク。
ついに自ら妖怪。
誰も彼もが生き生きと妖怪だった。本当に妖怪馬鹿映画だなぁ。

でも、ビデオの『怪』シリーズの最終話、「福神流し」の方がこの映画よりはずっとよいできでした、とだけは付け加えておく。


2005年08月14日(日) 『月館の殺人』(漫)

【漫画:佐々木倫子 原作:綾辻行人 小学館IKKIコミックス】

楽しみにしていた一冊がついに出ました。
佐々木倫子×綾辻行人!
おお!!
これが楽しみにせずにいられるか。
佐々木倫子にはいつか、ミステリー作品を書いて欲しいなぁと思っていのですよ。

ミステリーなのになぜか、ホラー小説並みに怖い綾辻の話が、佐々木倫子によってどんな風に仕立てられるのかと思っていたら、しっかり佐々木倫子風味!
ちょっと人が死んでますけど、やっぱり佐々木倫子。
なぜか動物がちょろちょろしているあたりとか、北海道の雪景色とか、キャラクターのとぼけ具合がいつもと同じ。

このすっとぼけた佐々木ワールドに浸っている間に、殺人が起こってしまい、ついつい推理も忘れがち。
この中に犯人がいるんですか?
本当に殺人・・・なんだろうなぁ。死んでるよなぁ、あれは。

上下巻になっているようなので、下巻を楽しみにしてます。
ちなみに、タイトル“月館”はツキダテです。館シリーズとは無関係です。


2005年08月13日(土) 『ヴァン・ヘルシング』(映)

【監督:スティーブン・ソマーズ アメリカ】

『彼岸島』後遺症で、ついつい有り得ない展開を期待してしまった。
あれのことは一旦忘れて観たら、もう少し楽しめたかも。

DVDを借りて観ました。
なんだか久しぶりに、中身が無いなぁという映画を観た。
典型的CG映画です。
娯楽映画だから中身が無くていいかというと、そういうことでもないと思う。
何が駄目だといって、ヴァン・ヘルシングのキャラ付けが甘いんだろうな。
ニヒルにいくのか、飄々としたキャラで行くのか、優しいんだか厳しいんだか。
どっち付かずーでした。
ハイド博士には容赦ないのに、フランケンのことは見ただけで悪い奴じゃないから殺せないとか、どうなのかと。
まあ、確かにフランケンは何もしてませんよ。してませんけど、見たら分かる!ってどんな思い込みだ、お前。
そして本当に強いのかも疑問です。
もうちょっと、かっこいいならかっこいいで、ハイド戦くらい圧倒的強さを見せて欲しい。
要するに、なんかもっさりしてたよね・・・。ヴァン・ヘルシングの動き。お前、もう少し弓矢気をつけて撃てよ?

ところで回転ノコギリはかっこいいのか?

アクションが、ディズニーのアニメ映画みたいに、ご都合主義。
吹っ飛ばされたー!と思ったら、ちょうどよいところに!相手の隙を突け!な展開多いよ。
そういうのは、カールなどの三枚目キャラだけがやっていいことです。
うん、カールは良いと思う。
アナは2時間の間に、5回は死んでておかしくないくらいだ。

そろそろ褒めてあげないとな。
視覚的にはよいんじゃないかな。
アナ美人!服装可愛い!
三姉妹(なのかなー?)可愛い!
花嫁に追い回されるアナ、グー!
普通、伯爵に追い回されるよね。でも伯爵との絡みより、花嫁達との絡みのほうが美味しいよね・・・。

で、アナのお兄ちゃんの初登場シーンは素敵でした。ご馳走さま。
柱に拘束ですね!
もうそこで、見せ場終了という気もした。

最後の最後で、死んじゃうのにはなかなか意表を突かれました。
だけど、そんな意表の突かれ方をしてもなぁ。娯楽映画なのに。
あぁ、そうそう。ドラキュラ伯爵ね。うん。
いいんじゃないかなぁ。伯爵って感じで。影薄い感じもしたけど。吸血鬼なだけに、とか言ってみる。


2005年08月12日(金) 『彼岸島 6〜11』(漫)

【松本光司 講談社ヤングマガジン】

兄VS雅が気になりすぎて、一気に読んでしまいました。
5巻までは、ツッコミどころの多い漫画だなぁと思っていたのですが、11巻まで読んでギャグ漫画だとしか思えまなくなりました。
ホラー?サバイバル?
誰かツッコミキャラを作ってくれよ。頼むから。
もう、ボケっぱなしですよ、みんな。

兄と雅様の対決ですが、兄、吸血村人にたかられちゅうちゅうされるという、誰に向かってのサービスシーンなんだか分からない展開。
ありがとう、と一応言っておく。
できれば、雅様の方が喜びは大きいんだが・・・。
その後、兄は雅様と一緒に谷底の激流にダイブ。
「いくら雅さまでも助からない!」って、みくびられてるなぁ。
あれくらいで死なないと思うよ、雅は。
そしてお兄ちゃんも。
まさか激流の中であれほどの死闘を繰り広げるとは。
そして、それでも外れない眼鏡。
脱げないフード。
はずさないマスク。息苦しいだろ?取ろうよ。
あの眼鏡は水中ゴーグルにもなるんだな、きっと。
兄の七つ道具なんだろうな。
眼鏡、マスク、フード、丸太、水筒・・・あと爪切り?あ、一つ足りない。

お兄ちゃんついに、
「不可能などない」と言ってしまったけれど、お兄ちゃんにはないんだろうな。
現代人で馬を駆って槍を操れる人が果たしているんだろうか。お兄ちゃん、かっこいいよ。

とりあえず、オールがない!の後に、エンジンを取り出した兄に三分くらい爆笑しました。
ここで丸太で漕ぐんだと思ったのに、エンジン出てきたもんなぁ。

だけど、自力で丸太マスターになったんだと思っていたら、師匠なる存在が出てきてしまった。
もうホラーじゃない。
ホラーは師匠なんてできて、主人公が強くなったりしない。なっちゃ駄目。
ジャンプ漫画かと思ったよ。
レジスタンスってなんだよー。そんなに仲間がいたのかよー!
師匠の発作の正体はなんなんだよ!
もう何もかもが不可解すぎる。
丸太が標準装備だったことも爆笑。
そうね、叩き潰すにはうってつけの形状なのかもしれないけど、普通の人間はあんなもの振り回せませんから。
「丸太に持ち替えろ!」
死にそうになった。笑いすぎて。

ポンが死んで、勝手に八ヶ月過ぎたら、明がワイルドに逞しくなっていました。
見た目としては、前のコケシよりは好きですが・・・好きですけど・・・。
2年暮らしている兄はどうして様変わりしていないのか、不可解すぎる。
色々あって、11巻。
もういちいちツッコミきれないから、先に進むけど、お兄ちゃんが!!!
お兄ちゃんがついに感染しちゃったよ!!
あんなに人一倍感染に気を使っていたのに。明なんて、マスクしてないのに。

でもきっと死んでないんだ。だって不可能はないから。
きっと雅の右腕として活躍するんだ。いいよ、お兄ちゃんが勝ったら。
人間が負けてもいいよ。
むしろ、お兄ちゃんが下克上してボスになっちゃえよ。

ところで、明の妄想予知能力はどうなったの?

あと正直、ケンちゃんだけはどうも許しがたいんですが。
西山君は文房具屋の息子だから必要。いつでも文房具取り出してくれるから。
そして、不可解な状況に即席で名前をつけて解説してくれる重要キャラ。
その解説が的を射ているかどうかはさておき。
お兄ちゃんとかぶってなんかいないよ!

それにしても、彼岸島に行く時は下着を大量に用意しないといけませんね。
こんなに失禁の多い漫画も初めてだ。噛まれたら色々垂れ流しになるという設定上しかたないんだけど、その設定自体もマニアだよなぁ。
失禁の仕方が可笑しすぎる。どんだけ膀胱に水分を溜め込んでるんだお前らは。


2005年08月11日(木) 『彼岸島 1〜5』『現在官僚系もふ 1』(漫)

なんだか漫画が読みたくて本屋をうろついて目に付いたものを買ってみました。

【松本光司 講談社ヤングマガジン】

前々から気にはなっていたのですが、グロかったらイヤだなぁと思って読んでませんでした。
粗筋は全く知りません。
帯だけ読んで、なんだか吸血鬼がたくさんいる島から脱出するサバイバル物なのかなぁと予測。
概ね正解でした。
そんな感じ。

結論から言うと、それほどグロくもエロくもなかった。
おそらく絵が下手だからだと思う。
でもそれはたいした問題ではなく、今となっては愛嬌を感じる。
令の色気が足りなくてもいい。
ところで、令はどこへ消えたんですかね。

帯だけずっと読んでいると、最強の吸血鬼ハンターが合流、と書いていたからそういうキャラが出てくるんだなーと思いきや、兄か!!
丸眼鏡、マスク、フードを目深に被った、変質者ルックの兄か!!
てっきり、それを生業にしているキャラが出て来るんだと思っていたら、普通の人でした。普通の・・・かな。兄。
もう、兄は面白い。かっこいい。見た目が変でも、ハァハァしていても、かっこいいよ。武器は丸太。
丸太をこれほど使いこなす男は他にいない。天才で済ましていいのか、この戦闘能力。
吸血鬼のボス、雅と対決している所で、5巻が終了してます。
兄と合流してからは、明は主人公として霞みっぱなし・・・。こんな兄と比べられたら負けるよな。負けてもいいと思う。
本当に商店街の息子なのか、兄よ。
今後、兄が死なない限りは楽しく読めそうです。
兄が死んだらなー。つまらんなぁ。
ずっと雅と兄弟が戦ってたらいいよ。
他の人たちは・・・別にいいや。

あと、彼岸花が年中咲いているから彼岸島らしいんですが、この作者の描く彼岸花が彼岸花に見えない・・・。2巻の表紙は睡蓮だと思う。
裏表紙は見えるんだけどな。

+++++++++
【原作:鍋田吉郎 漫画:並木洋美 小学館ビッグコミックス】

財務省に鉛筆転がして入省しちゃった、主人公平山君。愛称はもふ(茂夫だから)。
財務省は通称MOFなんだなぁ。
財務省を舞台にしたギャグ漫画です。
財務省のお仕事もなんとなーくわかるかな。まだ一巻ですから、紹介編という雰囲気が強いです。
もう少しつっこんだことが書いてあるかと思ったけども。
なにはともあれ、もふが可愛い。
可愛いとウザイの境界にいる天然系キャラです。
今後、ウザイにならないで可愛いまんまで、たまに男前なもふでいてください。
蒲生補佐官、好きです。
緑さんは巨乳。
ただ、今後普通に、ヤマケンともふの間に愛が芽生えそうで、どうだろうという気分。別に私はいいけど。私は。


2005年08月09日(火) 『慟哭』(小)

【貫井徳朗 創元推理文庫】

初めて読みます。
友人が最近ハマってるのーと言っていたので読んでみる。
これは凄いなぁ。面白い。
読み応えがありました。

以下ネタバレします。注意。

粗筋で、幼女連続殺人事件と、捜査する警察内の不協和音、そして、それとは別軸で進む新興宗教の内情、というようなことが書いてあるから、横山秀夫っぽいのを予想しつつ、そして確かに途中までは社会派というか、刑事小説っぽかった。
雫井の『犯人に告ぐ』みたいなのだと思ってた。
そしたらこれ、本格ミステリですか!
この小説は、本格ミステリだとばらすのが最大のネタバレなんだろうな。
推理小説読みにとっては。

確かに途中から、これはひょっとして?とは思います。
疑う余地は十分にあります。
現に、きっと佐伯一課長なんだろうなぁというのはわかります。
分かったからと言って、面白さが半減することはなく、ラストのカタストロフィは『慟哭』というタイトルにふさわしく、絶望的。
丘本が「まだです」と答えたとき、佐伯が娘の死体と対面した時に聞いた、さらさらという砂の落ちる音が聞こえたような気すらします。

実は私、佐伯がけっこう好きだったので、犯人だともっと早い段階で気づきそうなところを、どうしてもそうじゃないといいなぁと思ってしまい、複線を黙殺した所が何箇所か。
目が曇ってるなぁ。
佐伯と丘本の関係が好きだったんだよぉ。

他の著書も読んでみたいと思います。


2005年08月07日(日) 『運命は剣を差し出す バンダル・アード=ケナード 1〜3』(小)

【駒崎優 中央公論新社】

一巻が発売した当初から表紙が気になり、粗筋が気になりしつつ、読まなかったのですが、3巻で一応区切りが付いたらしいので一気読み。
イラストを描いている、ひたきさんは、絶対に犬好きだと思う。
エルディル可愛い可愛い。
正直、エルディルがこんなに可愛くなかったら目にとまらなかった本だと思う。

全体的に設定が甘いのと、文章がどうも視点のずれが見受けられるのが気になる。
全体的にテンポもあまりよろしくない。
傭兵隊の話なので、もう少し豪快に話が進んでもよいかなぁと思うのですが。
技術的な点が少々気になります。
が、まあ、許容範囲ですかね。視点がゆらゆらしてるのだけ直して欲しいけど。
特に戦闘シーンでのゆらぎ。

1巻
負傷した傭兵隊隊長と医者と白狼の逃避行の巻。
素敵な設定ですね。
隊長が左足を負傷しているためにいまいち、活躍の場が見られませんが、その分エルディンががんばる。可愛い。メスなのもよい。
シャリースの狼なのかと思ったら実は違うらしい。
そして設定と表紙だけ見たら、後ろの黒髪の人のほうが傭兵っぽい。
かといって、手前の金髪が医者に見えるかと言うと見えないし。
同じようなことを繰り返している上に、元の場所に戻る羽目になるという、まどろっこしい展開。

2巻
1巻のラストでさらわれてしまった先生のことは放っておいて、シャリースと隊員たちの話からスタート。
お風呂好きのシャリース隊長には一応、しずかちゃんかよ!とつっこんでおく。
マドゥ=アリとエルディンが隊にやってくる過程が書かれてますが、この局面でそれを挿入する意味があるのかないのかいささか疑問。
どうせなら、1巻の段階で、マドゥ=アリを登場させておけばそれほど唐突にも感じないんじゃないかなぁと思ったり。
まあでも、マドゥ=アリ、打ち辛いからアリ君は、可愛いからいいよ。
基本的にこういう、心開かない動物系の子に弱いね。私は。
それにストレートで情熱的な、隊長への愛の告白も可愛いね。うん。
久しぶりに「愛してる」というストレートな言葉を聞いた。
そりゃあ、隊長もびっくりです。
ところで、どうやらこの国には奴隷というのは旧時代のものであるらしい。
あまり文明が進んでいるような気がしないので、意外です。
そして、傭兵隊の人たちが思いのほか繊細で意外です。
君らいい人過ぎないかね?
ラストでようやく、先生救出。
先生は命が惜しいのか惜しくないのかよくわからない、思考をしている時があるんですが、惜しくないわけはないんだよなぁ。
諦めがよすぎ?

3巻
救出はしたものの、相変わらずお尋ね者の隊長と先生。
隊長はまだ傷が完治せず、戦えないのは変わらず。
エルディルがお母さん(アリ君)のところに戻ってしまったので、隊長とのやり取りが激減で少々寂しい。
先生、再び敵に攫われ、ヒロインですか?と言いたくなる。
いいんですよ、私は。4*歳、長身無精ひげの医者がヒロインでも、私は全然構わないんですよ。
隊長と一緒にWヒロインのような3巻です。
先生にはきっと、隠れ設定があるんだろうなぁと思っていたら、元間諜だったという設定でした。
王族の血筋くらいの、サプライズを期待したんですが・・・。
ついでに、隊長も爵位持ちというオチが出ましたが、そんなこともあるかなぁとは思いました。なんとなく。

このシリーズは続くそうなのですが、個人的に先生には傭兵隊と一緒にいて欲しいと思ってます。無理?
医者の一人も一緒にいたとしても不自然じゃないじゃない。
先生、実は腕も立つし。
アリ君ともう少し、打ち解けて欲しかったし。
次の任務も楽しみにしてます。もちっと展開はテンポよくね。

扉裏の、カットが可愛くて面白かったです。
隊長の入浴シーンはサービスカットなのか。そうか。
エルディルより早く骨を取ってくるアリ君可愛い。
先生とエルディルのやり取り可愛い。
そして、最後まで先生の名前が覚えられなくてごめんなさいね・・・。でもエルディルの名前しか、実は覚えてないんだ。私。



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