妄言読書日記
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※ネタバレしています
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2005年04月30日(土) 『上陸』(小)

【五條瑛 講談社】

ようやく一冊にまとまった上陸シリーズ。
一冊にまとまるとシリーズと言うより連作になっちゃったようですが。
あちらこちらのアンソロジーに収録されていたので、2作品ほど読んだことがあったのですが、事の発端である「上陸」を読んでいなかったので、ようやく読めて嬉しいです。

一冊にまとめるに際して、「上陸」を一番最後に配置したのが面白いなぁと。
おそらく、今までの話の中で一番地味といえば地味な感じのする小説でしたが、私は好きでした。
五條の連作短編集が好きなのかも。
密航に加担した、工事現場で働く三人組の話です。

「上陸」が密航の話で、その他は金満、安二、アキムの話。
「東の果て」が切なく、加筆された短編の合間にある金満の現在の話が余計に、じんわりときます。

いつもの五條のように、派手なキャラはいませんが、しみじみしつつ、いつも五條小説を読み終わった時のようにこの国について考えてみたりします。


2005年04月28日(木) 『コンスタンティン』(映)

【監督:フランシス・ローレンス アメリカ】

久しぶりに映画館に行ったなーという気がします。
映画を見る前の用事が長引いて、少々遅れて入場。
入るとすでに始まっていて、女の子が天上に張り付いているシーンだったんですが、その前に何か重要なシーンとかあったんですかね?
コンスタンティン君(なんとなく君付けだ)が、自殺したところとか。助手君との出会いとか。
一回目の自殺の方法がわからずじまいだったのですが、私が観てない所で出てたのかなーと気になります。
教えてプリーズ!
最初、『エクソシスト』かと思ったよ。意図的なんだろうけど。
コンスタンティンの悪魔祓いじゃ、祓えるような気がしなかった。
冒頭のではなく、バルサザールのところ。私が悪魔だったら、絶対に鼻で笑ってるよ。

とりあえず、看板に偽りありまくりの映画だったような・・・。
アクションは無い。断言する。
物足りないとかではなく、無い。
どこかのキャッチフレーズに「エージェント」とかいう言葉があった気がしますが、マトリクスファンを呼びこむための詭弁ですので、だまされないように。
キアヌはエージェントではないです。さらにいえば、ヒーローですらない
あいつ、ヒロインだったぜ?私はそう宣伝してくれた方が、観にいくがなぁ。

ヒロインというのは冗談ですが、悪魔倒したかなぁ??
まあ、でもそういうアクション的な部分は全くどうでもいい映画でした。
メリケンサックで悪魔殴るレベルです。ある意味、昨今の映画では斬新な武器だったかも。
懐から何出すんだろうなーと思ったら、それですからね。申し訳程度に十字マーク入ってましたけど、そういう問題!?それでいいの?

なかなか本題に行き着けない。ツッコミどころは満載です。
あ、面白かったですよ。ところどころ、笑いツボに入りました(そういう意味か?)
聖書がどうの悪魔がどうのと言ってる割に、あっさりさっぱりとしたわかりやすいシナリオ。どこにもひねりもなく、オチもとくになく、どんでん返しも無く。安心して、キアヌを鑑賞し楽しむ映画と言えます。

そう、この映画の真髄はラスト一時間、もしくは30分(時計見てないから正確にはわからないが)にあり。
コンスタンティン君、愛されまくりじゃないかよー。ルシファーが自ら、お迎え来るんだぜー。そのままいってこいよ。大人の遊びして来いよー。
ルシファーが白スーツで決めてくるなんて、誰が想像し得ただろう。ナイスオヤジキャラ。
だけど、私はガブリエルたんが好きでしたー。初登場はCLAMPキャラか?という出で立ちだったけど。『Wish』ね。
まー、正直、キアヌに絡むキャラはみんな美味しかったです。
ヒロインも好きでしたよ。なんで、お守り置いて行っちゃうのかなーと思ったけど。
がしがし戦って欲しかったけど。キアヌより戦力になりそうな雰囲気あったのにな。

ラストのガブリエルに足蹴→ルシファーにあれこれ、という流れしか覚えていない自分がいます。
ルシファーがコンスタンティンの身体に手突っ込んで何を取り出したのか、しばらくわからなかった間抜けです・・・。癌細胞ですか。まさか、肺じゃないでしょ。

アル中神父はもう少し粘って、コンスタンティンと絡んで欲しかったなー。本当になんで呼ばないの!

続編希望
ルシファー!ルシファー!ミッドナイト!!
天国側のキャラももう少し欲しいところ。
もちろん、次もキアヌでよろしく。タバコをやめちゃったけど。

全く一般受けしない、オタク映画だと思いますが、私は楽しかったです。
エンドロールの後も観ましょう。


2005年04月19日(火) 『エマ1〜3』(漫)

【森薫 エンターブレイン】

ずっと気にかかりつつ、読まないでいたのですが、面白いらしいので読んでみる。
19世紀末の英国のメイドさんと貴族の恋、という粗筋で暗いのかなーと避けていたのですけれど、思っていたのとはかなり雰囲気違ってました。
メイドのエマは、昔家庭教師をしていたケリー夫人と二人で住んでいます。
そこに昔の教え子だった、ウィリアムスが訪ねてきて、恋に発展していくのですが、内気な二人はなかなかもどかしいです。
モノローグによらない、心理描写があっさりした印象を与え、ケリー夫人の死などは逆にじんわりとします。
このベタな設定でこんなにさらりと読ませるのは凄いと思う。
全然どろどろしてないし、湿っぽくもならない。

メイド漫画ということで、なにやらマニアックなのかしらと思いますが(私もある種マニアですがメイドより執事です)、これが正しいメイドだ!というのがエマです。
随所に作者のフェチが見られますが、いやらしい感じはなく、全体に抑制がきいています。この人の作風なのかも。
女の人ならではの、メイドフェチを感じます。
男の人が描いたらやっぱりこうはならないと思う。

ウィリアムとエマの内気な二人もいいですが、ハキムとエマもいいよね、と私は思います。
続きが気になるよー。二人はいつ再会できるのでしょうか。

とてもよい漫画だと思います。


2005年04月18日(月) 『世界は密室でできている。』(小)

【舞城王太郎 講談社文庫】

こんなタイトルですが、前作『煙か土か食い物』と同じく、ミステリ小説とは言い難い。
前作が家族物なら、やはりこれは粗筋にあるように青春ものと捕らえるのがよいように思います。

相変わらず一見破天荒で無茶苦茶な話に、ふざけてんのかという文章ですが、読むと真面目なのがわかるのは同じ。
煙か〜よりも読み易くなったような気がします。
ラスト、友紀夫が番場家を訪れて以降のくだりは少しほろり。
ほろりというとなんか違うけど、じんと来るものが。

これは他の作家にはできない書き方だよなぁとしみじみ思います。
できないというより、二人はいらないなぁ。

ところで、煙か〜とリンクしてるんでしょうか。
ルンババなんてのは、三郎の友人のルンババと同じ人物でいいんですか?
さりげなく、奈津川家というのも出てきたけど、あの奈津川家と同じなのかな。
変な建物の所有者で、犯人の奈津川というのは誰のことだったのだろう。

密室好きの人が密室物だと思って読むと、肩すかしを食らいますので注意。
あくまで青春小説。
友紀夫とルンババの成長物語というか、涼ちゃんの死を乗り越えていく話というのか。
人には薦め難いですが、好きな作家です。


2005年04月17日(日) 『インファナルアフェア』(映)『都会のトム&ソーヤ3 いつになったら作戦終了?』(小)

【監督:アンドリュー・ラウ 香港】

いやいやようやく観ました。一作目を
先日テレビでやっていたのをビデオにとって観たのですが、生声で観たいですね。トニー・レオンの吹き替えがね・・・。

とてもおもしろかったです。
トニー・レオンが好きだから贔屓で言っているわけではありません。
思ったよりも意外な展開していました。
非常によく出来たシナリオだと思います。
アンディ・ラウとトニー・レオン素敵ですし。警視も素敵ですし。
劇場で観ておけばよかったなーとしみじみと思います。
観にいこうと思ったのになぁ。
2の方も観たら、3はぜひ映画館で観たいと思います。

ラウ刑事は本当にヤンに身分を返してあげるつもりだったのか。
あそこでヤンが撃たれていなかったら、どうしていたんだろうと考えてしまいます。

にしても、トニー・レオンの笑顔は可愛い。いいなーいいなー。大画面で観たいなー。

+++++++++
【はやみねかおる 講談社YA!エンターテイメント】

一作目から気になっているのですが、“トム&ソーヤ”のソーヤは創也君だとして、トムは内人君のことを指しているんでしょうか。

前回栗井栄太の正体がわかり、では今回からはというと、今回からは本格的な犯罪組織(でもないかな)を相手にするようです。
これで、内人くんのサバイバル能力もフルに発揮かと思いきや、まだそれほど危機的状況には陥っていなかったです。
ちょっと残念。
むしろ、おばあちゃんとの山修行(?)の方が過酷そうだよ、内人くん。
私はそろそろ、そっちの話が聞きたいな。
ばあちゃんは何者なんですか!!毎回言ってますが。

もう少し、頭脳集団は次から過激な行動に出て欲しいなー。
え、これはヤングアダルト向け?
いやいや、私よりもティーンのほうがそういうものを求めると思うけどなぁ。
むしろゲーム感覚で進むことの方がちょっと心配ですけど。
別に人死にが出るといいとか、そういうことではないんですよ。
校舎の雨樋登るとかではなくて、もう少しハードな状況が欲しいな、ということです。
内人くんのサバイバル能力を生かして。

今回、はやみねかおると私は誕生日が一緒であることがわかり、ちょっと親近感。


2005年04月03日(日) 『捩れ屋敷の利鈍』(小)

【森博嗣 講談社文庫】

一気に追いつきました。
読み始めれば早いんですよねぇ。森博嗣は。

今回は保呂草さんと萌絵ちゃんが出合う話です。
登場人物紹介の、招かれた人、招かれなかった人、という区切りににやり。
犀川先生と紅子さんは招かれなかったようです。
この二人の会話なんかも気になるなぁ。保呂草さんと犀川先生とか。

萌絵ちゃんのお目付け役は、国枝先生でした。この二人のやりとりがおかしいです。
巻を追うごとに女ったらしと言うか、なんというか、な保呂草さんが顕わになって、萌絵ちゃん気をつけてーと思うことしきりです。

今回の密室ですが、建物自体が具体的に想像できなかったために、よくわかりませんでした・・・。小屋の方が、特に。
捩れ屋敷は、答えを聞いてみれば黄色い部屋のような、肩すかしを食らいます。
あ、そう。

保呂草さんと萌絵ちゃんの攻防戦が楽しかったです。
またいずれどこかで、と思いたいのですが紅子さんに釘を刺されていたのでもうないかもしれません。
紅子さんと萌絵ちゃんにどんな関係があるのか気になるような、どんな関係でもありうるような気がするような。

そろそろ生の犀川先生が見たいなーと思いました。


2005年04月02日(土) 『六人の超音波科学者』(小)

【森博嗣 講談社文庫】

なんとなく『すべてがFになる』を思い出すシチュエーションでした。
森ミステリにしては、あっさりし過ぎていたような。
普通のミステリ小説だったら、別になんの不満もないできなのですが。
なんででしょうね。

でも、死体が一つしかなかったというのは気がつかなかったです。
怒る紅子さんが珍しかったです。

ところで、なんで誰も携帯電話持っていなかったのですか。
そういえば、このシリーズは携帯電話を使っているのを見たことないような。
萌絵ちゃんは使っていたのに。
そういう設定なんでしょうかね。ちょっと違和感ありますけど。


2005年04月01日(金) 『恋恋蓮歩の演習』(小)

【森博嗣 講談社文庫】

いつもは次が文庫化するまでに、ぎりぎり読み終わっているのですけれど、気がつけば三冊もたまっていました。
ところでVシリーズはもう完結済みなのでしょうか?

※ネタバレ注意

Vシリーズは、文章にトリックが仕掛けられているので、それを知っていれば真っ当なトリックを扱っていたS&Mシリーズよりは、ずっとわかりやすい。
というか、毎度すぐわかる。
今回だと、羽村が保呂草さんだとわかれば、おのずと全体も見える仕組み。
なんとなく、少年探偵団っぽい。一体、今回は誰が誰を騙っているのか、という点が。
当然、わかるからといって面白さが減るわけではありません。

それにしても、このシリーズは巻を追うごとに、しこさんが心配になってきちゃいます。
保呂草さんのことを、豪華客船の窓から海に放り込みたくなるよ。
しこさんには、もっといい男性がいると思うんだけどなぁ。
れんちゃんではなく。
森川くんならいいと思うけど。



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