リハビリ、リハビリ。 超繁忙だった2月が終わったので、今月はきっと落ち着く・・・と、良いなぁ。
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「見ーつけたっ」
まるで少女のように華やかな声を出した母は、満面の笑みで近づいてくる。 その手には、一冊の古いアルバム。 それだけで真希の中に嫌な予感が広がった。
「じゃーん!見てみて、ひな祭りー」
予感的中。 広げられたページには、華やかに着飾った子どもたちの写真。 まったくもって記憶にはないし、一人は完全に女の子にしか見えないが、よく見ればその顔は明らかに自分と省吾のものだ。 何とも言えない脱力感に襲われている息子を横目に、両親はのほほんと楽しそうに会話を続けている。
「いやぁ、可愛らしいお内裏様とお雛様だねぇ。3才の時だっけ?」 「そうそう。このときも真希ちゃんったら俺がお内裏様やるんだって駄々こねてねー」 「真希くんはお雛様の方が似合うのにねぇ」 「ちょっと待て。それが実の親のセリフか?」 「「だって似合うんだもん」」
見事な夫婦ハモリに、今度こそ何も言えなくなる。 両親がいつまでも仲が良いのは大変喜ばしいことだが、母親の間違った趣味は是非とも止めてほしいと思う。 父親も一緒になって喜んでいる時点で、無理だということは十分判って入るが。 「せっかくのひな祭りだし、しばらく飾っておこうかしら」 「それだけは勘弁して、頼むから・・・」 「そう?あ、じゃあじゃあ、って真希ちゃんどこ行くの?」 「省吾んち行ってくる」 これ以上この場にとどまっていたら、どんなひどいことになるか分からない。 早々に避難しようとしたところで、背中から慌てた声が追いかけてきた。 「あ、待って待って、せっかくだからこの写真持って行って、省吾くんたちにも見せてあげて」 「行ってきます!」 そんなもん誰が見せられるかと、遮るように部屋を飛び出した。
久しぶりに会った省吾の母親からその写真を見せられて、がっくりとうなだれることになるのは、翌日の話。
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七夕話でも書きましたが、きっと真希たちは小さい頃いっぱいコスプレさせられたんだろうなぁと。 その辺の話も、また書けたらなと思います。
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