| 2005年01月30日(日) |
あぶないあぶない…の日 |
日替わり連載が終わったとたんにまた日記をさぼったかみぃです。 すいません…
というかですね、実は今月は軽やかに労働基準法を無視した残業+休日出勤の 嵐で日常生活がいっぱいいっぱいです この状況があと3週間続く予定なので、もうしばらく、更新とかも厳しい状況 なんですが、帰ってはきますので気長に待っていてくださると嬉しいです ミロクレンジャーもネタだけがたまっていますし(はぅ)
あ、29万企画なのですが、28万をそのまま継続します 28万を流してもいいんですが、この辺りでいっぱつ気合を入れておかないと あとあとも流され続けてしまうような気がするので なんとかあげきってみせますとも。 もうしばらくおまちください
おまちくださいといえば、年賀状! 直接お約束していたのに贈れなかった方には、寒中見舞いと称して 来週あたりからぼちぼち送らせて頂きます>< 正月はいろいろバタバタしていたので、もうしわけないかぎりです…
そんなわけで今日は寝ます おやしみなさいませv
| 2005年01月24日(月) |
fly me to the moonの日 |
日替わりGA小説第2弾もこれにて終了。 長らくの御愛顧、誠にありがとうございましたv ではでは、最終話。どうかお楽しみください(ぺこり)
第30話「MoonlitLoversカキフライ想い付き」
それは、月の下の物語
ちとせは銀河展望公園にたっていた こうして、月の光を浴びながら静かに瞳を閉じると この半年の間の出来事がまるで夢だったように想う 憧れのエンジェル隊に配属され 優しい先輩たちにかこまれて マイヤーズ司令と出会って そして、護りたいものを護ることが出来た
そういえば 夢なんじゃないかと疑った原因がひとつある あの最終決戦後 なぜか、一緒にもってきたはずの”ぬいぐるみ”がなくなっていたのだ 随分と探したのだが結局、いまもみつからない けれど ちとせはすこしだけ、みつからないほうがいいとも想っている
あのあと マイヤーズ司令がされた、不思議な話 その話が本当であるなら 自分の願いは聞き届けられ そして、ぬいぐるみはその証として 今ごろは、父さまの腕の中にあるはずだから
「父さま…ありがとうございます」
ネガティブ・クロノ・フィールドの解除 そして、その後の、クロノ・ブレイク・キャノンの波動 銀河を揺るがすその二つの巨大な衝撃の中で 自分もタクトも無傷で生還できたのだから きっと 誰かが周りからみれば、それを”奇跡”と呼ぶのかもしれない それは、ちとせと…そして、白き月だけが知っている真相 ”奇跡”なんてそんなものなのだ。きっと…
「そして、ごめんなさい…ちとせは悪い子でした」
大好きだった父さま だから その死を見つめることが出来なくて 自分の中で、勝手に美化した 父さまは、味方のために、望んで死んだのだと、想った そんなわけはないのに いつだって、父さまは、自分のことを想ってくれていたのに
「でも、今ならわかります…私も、父さまと同じように護りたい人たちができたから… どこまでがんばれるかはわからないけれど… 私は、私のできるかぎりの力で、みなさんを護っていきたいと想うんです」
だから、父さま…
「どうか、ちとせを見ていてくださいね」
祈り それは、月だけが知っている
そこに
「ちーとせっ!」 「ミルフィー先輩」 「探したよ」 「あ、すいません。みんなでケーキ屋巡りにいくんでしたね」 「はい、探しました」 「いまいきます、ヴァニラ先輩」 ちとせは駆け足でミルフィーとヴァニラのところへむかう …が
「しーっ」 ランファの声がした 「ランファ先輩?」 「どーしたの、ランファ?」 「いーから、ちょっと静かにしな。いま、いーとこなんだよ」 「フォルテ先輩まで…」 どうしたんですか? というちとせの疑問は 「おしずかにv」 ミントの手によって塞がれた 「あ、わかった」 「…今回のシリーズでは一度もないと思ったんですが」 「なにわけのわかんないこといってんのよ、あんた;」 「失礼ですねー、ヴァニラさんの言葉はまさにネタバレ!すばらし…むぐっ」 音をたてないように、ランファがノーマッドを踏み潰した 全員が注目するのは、生垣の向こうの小さな広場で…
「どーした、タクト?」 「レスターこそ、お前、もう動き回って平気なのか?」 医務室にいるものだとばかり思っていた副官の姿を意外なところでみつけてタクトは駆け足でよってきた レスターはしれっと 「誰かさんとは鍛え方が違うからな」 「…ちぇー」 タクトはふてくされながら、背伸びをする副官を見上げる と 「どーした?タクト」 「…べつに」 「別にって顔じゃないだろうが」 あきれたような声 タクトはしばらく考え そして 「…さわっても、いいかな?」 呟き 「は?」 「触っても、大丈夫、かな?…消えたり、しないよな ?」 「確かめてみろよ」 微かに手を広げて、タクトをまつレスター タクトは おずおずと、手を伸ばした ゆっくりと、頬に指があたる
びくっ
触れた瞬間、手が引っ込む が
パシッ
それを上からレスターの手が包み込んだ そのまま、頬を触らせる 「ほら…」 「…うん……う、ん」 タクトは何度も何度も、その肌の感触を確かめた あたたかさ やわらかさ そして 「レスター…」 「ん?」 「レスター、レスター、レスタァ…」 何度も、何度も、名前を呼ぶ 「大丈夫だよ、タクト。俺は、ここにいるから」 「…っ」 抱きしめたのはどちらが先だったのか
「ただいま。タクト」 「うん、おかえり…レスター」 キスが一つ 「ただいまっ、レスター」 「あぁ…おかえり、タクト」 キスが二つ
それは、月に見護られた一組の恋人たちと…
「よかったですー、タクトさんと、レスターさん」 ミルフィーがぼろぼろ泣きながらいう 「あーぁ、あたしも早く恋人ほしーい」 ランファがじたばたする そのたびにノーマッドが踏まれた 「た、たすけて、ヴァニラさーん」 「ふみふみ…らぶらぶ…」 「でも、本当に良かったですわ」 「…あんなに幸せそうなマイヤーズ司令を見れるのは、クールダラス副司令だけなんですよね」 ちとせのつぶやき 「あぁ、だけどちとせ。忘れちゃいけないよ」 そこにフォルテが口をはさむ 「あの二人の、今の時間を護ったのは、他の誰でもない。ちとせ、あんたなんだ」 「わたしが…ですか?」 「あぁ、そうさ。誇りに思いな」 フォルテが笑う つられて、ちとせも笑った 「はいっ」 すると 「勝つのは無理ですが、タクトさんの度肝をぬくことならできますわよ」 「え?」 「それも、ちとせさんがv」 「わ、わたしが?!ですか???」 「そうです、しかも、今すぐv」 ミントは笑いながら、ちとせの耳元でなにやら ごしょごしょ… 「あっ」 「あぁ、そういえば」 「そーだねぇ」 「はい」 「と、いうわけですわ」 ミントはにっこり笑って背中を押した 「はい…やってみます」 ちとせは小さくガッツポーズ
「タクトさーん、レスターさーん」 「あ、ミルフィー」 「おっそーい、タクト。あんたケーキ屋巡りに行く約束、忘れてたんじゃないでしょうね?」 「わ、忘れてなんかいないよ、ランファ」 「ふふ、タクトさん。レスターさんとの時間を大切にされるのも結構ですが、約束は護ってくださいましね」 「ミント〜そんなんじゃないって」 「というわけで、今日の勘定はタクトもちっ!」 「そ、そりゃないよフォルテっ、レスター、とめてくれっ」 「ありがとうございます、タクトさん」 「ヴァ、ヴァニラまでー」 「なんですかー?!ヴァニラさんに奢るのは嫌だとおっしゃるんですか?」 「タクト。あきらめろ」 ポン レスターは、タクトの肩を哀れみの意味をこめて一度叩くとさっさと非難した 「レスター?!このはくじょうものー><」 追いかけようとしたタクトを…
ガシッ
ミルフィーとフォルテが両脇からガッチリ☆キャッチv 「さvいきましょぅ!」 「よーし、いっちょ食いまくるかねぇ!」 「うわーん、か、加減してくれー」 ずるずるずる… レスターはその様子を、やれやれといいながらも、優しい表情で見送る ちとせがタクトの前にたった そして 「さぁ、早く行きましょうvタクトさん」 「うぅ…ちとせまで…」 クスクス 誰からともなく、笑いがこぼれた 「って、え?ちとせ、いま、俺のことなんて…?」 「はやくいかないとおいていっちゃいますよ」 ちとせが駆け出す そのあとに 「よーし、まけないんだからねっ」 ランファが続き 「わたくしだって、まけませんわ」 ミントも走り出し 「あ、まってくださーい」 ミルフィーが追いかけ 「いそぎます」 ヴァニラも速度をあげて 「ったく、しょーがない子たちだねぇ」 フォルテが行けば
「うわっ、って、みんな待ってくれよ…ねぇちとせ!もう一回、もう一回呼んでーっ」
そのあとにタクト…
「はいっ、タクトさん」
月に導かれる6人の天使たちの物語
はい、というわけで12月26日のFINAL☆PARTY☆NIGHTから日替わりでお送り してきたこのGA小説-MoonlitLovers編-も無事に完結しましたv 少しでも愉しんでいただけたのならこれ幸いです。 途中ちょっと息切れしながらも、こうして終わらせることができたのは 拍手やらメールやらチャットやらで「おもしろいです」といってくださった 貴方のおかげvほんとーにありがとうございますvvv (もちろん、毎日欠かさず読んでくださった方にも大感謝をv)
さて、次はついに最終作-Eternal Lovers編-となります。 なるべく速いうちにお届けできれば…。はい。 もうサブタイトルやらおおまかな内容は考え始めているので… 欲をいえば2月のPS2版EL発売くらいにあわせたい(無理無理) がんばりますっv
それでは、みなさん 次回「地上より永遠に-From Here To Eternity-」でお会いしましょうv
かみぃ拝v (って、もちろん日記は続けますよ)
はーい、エヴァが倒せないかみぃです ネギま!プレイ中ですよ。 ネギ先生かわいい… かーわーいーいー(ぎゃーす) でも、もう、全然、なにをやっていいのかわかんないっす 忍者さんと仲良くなりたいんだけどなぁ あと、いいんちょとか なぜか、アスナとまき絵ちゃんばかりとあがっていきます 全然ノーチェックだった子とか ところでいま気づいたんですが、忍者さん、苦手なもの蛙って… ハットリくん… とりあえず、これから攻略まわって打倒エヴァ!! そして、最下位脱出です!!
あー、でも、ほんと、ネギ先生受のショタサイトないかなぁ(まて)
第29話「いっけぇ!フライドチキン」
父さま…
「7番機、射出しますっ」 警告ランプがレッドからグリーンに変わる それとともに
ファサ…ヴァサァッ
聞こえるはずのない、翼の音を撒き散らし 光の粒子の羽を降らせながら 7番目の紋章機がゆっくりとエルシオールから舞い降りる 「推進エンジン、始動…っ」 オペレーターのアルモの声とともに、7番機が翼を広げ
ギュンッ
光の尾を引きながら、飛びたった
覚えているのは、父の背中のこと
私の父は、私が幼いころに亡くなった 立派な最期だったと聞いている 父は軍人だった 覚えているのは、背中 優しくて、大きな…私の大好きな父の背中 そして…
『いつか、あの星の海へ…お前も連れて行ってやろう』
果たされることは無かった最期の、約束 私は、父の背中を追うように軍に入隊した
そこで出逢った、大切な人たち
いつだって、明るく元気なミルフィー先輩 強運の持ち主で、いいことも悪いこともおこるけれど いつだって前向きに対処してしまう人 お菓子作りが上手で わたしのために、歓迎用のケーキを焼いてくださった
「7番機に敵艦接近中っ」 「うちおとせ!」 「エルシオールの射程外ですっ」 「くそっ」 そこに、通信が一つ舞い込む
『まかせてくださいっ』
連なるような隊列を組んでいた敵軍の背後から現れたのは ラッキースター
「バーンとやっちゃいます!ハイパーキャノン!!」
光の路が閃光とともに走りぬけ、周囲の敵を引き込み消し飛ばす
蘭花先輩は、格闘技の達人 いつもトレーニングを怠らない向上心を持つ 強気で勝気、だが女の子らしい面もたくさんある そして、意外と人情家 軍にきたその日、まっさきに相性占いをしてくれた
「上空から敵艦です」 「7番機を援護してくださいっ」 かつて”超新星の白き狼”と呼ばれたウォルコットの指揮が飛ぶ だがその命令よりも先に飛び込んできたのは
『まかせといてっ』
カンフーファイターが踊り出る 紋章機1のスピードであっという間に敵艦の懐に飛び込むと
「ブッ飛べぇ!アンカークローッ!!」
2本のアンカーが敵にぶち当たり、衝撃で敵がはじき飛ぶ
不思議な能力を持つミント先輩 人の心を読み取るという、苦しい力を持つせいか どこか、線を引いたような人 だけどいつだって、笑顔を崩すことはなくて なんだかんだいいながら、その知恵と機転でたくさん助けてくださった
「7番機にミサイルがっ」 「くそっ、マリブっそっからまにあわねぇのかよ?!」 「無理だよっ」 「ちとせっ、タクトっ」 7番機めがけて尾を引く無数のミサイル それを追うペイロー兄弟 だが
『だいじょうぶですわv』
声とともに、あらわれたのはトリックマスターのフライヤー それは一斉に開くと、レーザー光線の雨を降らす
「私におまかせをっ、フライヤーダンスっ」
フライヤーが舞い戻ったとき、ミサイルは跡形もなく消え去っていて
フォルテ先輩 さっぱりして、豪快で、頼れる、エンジェル隊のリーダー 戦いには酷く厳しくて でも、それ以上に、優しくて いつだって、私たちのことをかわいがってくださる 本当の、お姉さまのような方
「いかんっ、増援じゃっ」 「次から次へとっ!」 白き月 ルフトとノアの声がかさなった だが 「だいじょうぶだっ」 シヴァが力強く叫ぶ
『出来の悪い弟と、かわいい末妹を護るのは長女の役目ってね』
紋章機中、最強を誇る、その全ての砲門を一斉に開く そして、閃光っ
「邪魔するんじゃないよっ!ストライクバーストっ!!」
息が止まるほどの光の渦が、ハッピートリガーの目前に広がった
ヴァニラ先輩 エルダートの癒し手といわれる、皇国でも数少ない治癒能力者 その確固たる意思のもと、行動する強い方 表情をあまり表にだされることはないけれど それでも 誰よりも優しい方
「うわぁ、攻撃が…ヴァニラさーん、たすけてくださーい」 「きゃぁっ」 「友軍機、カンフーファイター、被弾しましたっ」 「蘭花っ、ノーマッドさんっ」 宇宙に舞い降る淡い翠色の、雪
『問題ありません…』
それは、ハーベスタ−から きらきら柔らかく優しく輝く宇宙に降る雪
「傷ついた翼に、再び、力を!リペアウェーブっ」
ヴァニラの祈りとともに、淡い翠の光が全ての機体の傷を完治する
エンジェル隊の先輩たち 私が彼女たちに憧れたのは、たぶん彼女たちが”英雄”だからじゃない 彼女たちは いつだって 諦める、ということをしないからだ どんな絶望的な状況にいても けっして自分からあきらめるということをしなかった そして、その気持ちが全員をつないで 誰にも揺るがすことのない、絆で結ばれている そんな彼女たちだからこそ 私は、まるで、太陽のように、憧れた
「7番機っ、目標地点に到達しましたっ」 ココがレーダーを確認した その報告を聞きながら、ブリッジで拳を握り締めた男がひとり 「クールダラス副司令」 「…だいじょうぶだ」 レスターは7番機が消えた宇宙を見つめる そして 「誰でもいい…タクトをまもってくれるなら、このさい、アノ男だって大目にみてやる …だから…無事に帰ってこい、俺のところへ」
クールダラス副司令 暴言を吐いた自分を、命をかけて護ってくださった 羨ましいとおもった 誰よりもマイヤーズ司令に想われて かなわないとおもった 誰よりもマイヤーズ司令のことを想っていて だから 今は… 幸せになってほしいと、おもう マイヤーズ司令のことが好きだという 同じ気持ちを持つ人
そして…
「いくよ、ちとせっ」 「はいっ」 宇宙が共鳴する そして 7番機から放たれた白い光が、漆黒の空間を走り抜けた
オ・ガウブ艦橋 「そんなっばかなっ!!」 ネフェーリアの絶叫すらも、白い光に塗りつぶされていく だが、その光は決して強いものではなくて… どこか、不思議な柔らかさと優しさをもった まるで、月灯りのように穏やかな光
マイヤーズ司令 月のようだと想った いつだって彼に「だいじょうぶ」といわれると なぜか自信がもてた 笑顔が柔らかくて 声が優しくて 子供のようで そのくせ、どこか悲しい それでいて 決意に満ちた眼差しのひと どこか、父さまににている、不思議な人
父さま…
白く塗りつぶされていく7番機内のコックピット ちとせは、最後の意識の中で祈った 「父さま、ちとせは幸せです…とても、幸せです。だから…」 私のことは、先輩たちや、マイヤーズ司令が護ってくださるから だから、父さま どうか、マイヤーズ司令を御護りください 私を護ってくれていたように マイヤーズ司令を無事、クールダラス副司令と先輩たちのところへお帰しできますように どうか、ちとせに力を貸してください 父さま、お願いです 優しい父さま 大好きな父さま ちとせとともに、宇宙を翔けてくれる人たちは 父さまのようにちとせの大好きな
そして、ちとせを大事にしてくれる人たちです
夢を見た…
懐かしい夢 青年は優しい人だった その優しさ故に非情であった そして愚かでもあった 好き、だったのだろうか? …少なくとも 嫌いではなかったのだと思う 運命は二人を残酷に出会わせはしたが きらいにはなれなかったのだ
『タクト…』
夢の中 彼の人は優しく微笑む
『ノアを助けてくれて…ありがとう』
「エオニアさま…」
タクトは宇宙にたっている 名前を呟き、彼のほうへ近づこうとすると
くいっ
「?」 誰かに後ろを引っ張られた 振り返る 見知らぬ男が立っている 誰だろう? でも、どこかでみた笑顔の人 男はにこにこと笑顔で、腕をひっぱると
トンッ
うしろのほうへ、タクトの体を押した 「…っぁ、エオニアさま!」 離れていく 名前を呼んだ すると
『そんな不安そうな声でよばなくても大丈夫…私と君はいつでも会えるのだから』 声 そして、キス 涙が滲んだ 『愛しているからね、タクト。…寂しいときは、いつでも私を呼ぶといい』 ゆっくりと、エオニアの姿が遠ざかる そのときはじめて、そこにいるのがエオニアだけでないことを知った あいもかわらずエオニアに影のように寄り添っているのは、シェリー 右隣りにいるのは、カミュ その更に隣りにギネス 反対側にリセルヴァ その後ろにレッド・アイ おくれて駆けてくるのはベルモット
少しはなれたところに、さっきの男 手にはぬいぐるみ そのぬいぐるみに見覚えがあった
ぬいぐるみは…
ドラマにあわせて先週から種の前にアニメH2が再放送されてますよね ついつい見てしまってます。なつかしーとかいいながら。 (でも、その後の種は見ないという…どっとはらい) そして、我が家でささやかなあだち充ブーム… とりあえず俺は、タッチを読み直したいです 金魚屋古書店の影響もあるんでしょうが
第28話「絆になるバウムクーヘン」
Eternal love… ♪
その歌を最初に聞いたのは誰だったろう?
「おまちしていましたよ、レスターさん」 エルシオールのブリッジでレスターを迎えたのは 「おまたせしました。ウォルコット中佐」 「いいえ。君は必ずきてくれるとおもっていましたから」 中佐はにこにことレスターに一礼すると 「さて、それじゃぁわたしは自分の艦隊の指揮にもどりますかな… レスターさん、タクトさんとエンジェル隊のみなさんを…よろしく頼みましたよ」 「はいっ」 飄々とブリッジをさる、老軍人に、レスターをはじめブリッジクルー全員が敬礼をして見送った
「おかえりなさいっ、クールダラス副司令」 「おかえりなさい」 扉が閉まるとともに、アルモとココが同時にソノ言葉を口にする それを合図に、他のクルーたちも次々とおかえりなさいを連呼した 「あぁ、ただいま。みんな」 レスターは彼にしてはめずらしい優しい笑顔を浮かべて応え そして 「さぁ、最後の正念場だ。気合をいれていけ」 すっかりいつもの口調でそういえば 「はいっ」 ブリッジクルー全員の揃った返事が心地よく響いた
オ・ガウブ艦橋 ネフェーリアは彼女にしてはめずらしく苛立っていた 「くそっ…まだ落ちぬのか」 戦況は決して悪くは無い だが、彼女もしらない不思議な”悪い予感”が指揮をあせらせる 「いまいましい、EDENの民め…」 宇宙をにらむ 白光と爆発が交互に繰り返される、騒がしい空 そのなかに、ひときわ輝く光の翼
「きゃぁっ」 ドンッ 衝撃がミルフィーユのラッキースターのコックピットを揺らした 天使の翼を翻し、戦線を一時はなれる その後姿を ドドンッ 「うくぅっ…」 更に追撃された 『ミルフィー!だいじょうぶのなの?!』 ランファから通信がとびこむ だが 「大丈夫だよ、ランファ。被弾しちゃったけど、このくらいへっちゃら」 精一杯の笑顔をむけると 「ミルフィーユ・桜葉!いっきます」 そのまま、前転をするように旋回する 天地が逆になったソノ状態から 「バーンとうっちゃいますっ!!」 近距離ミサイルを敵艦に撃ち放つ
ギュンッ テンションゲージがMAXを表示してからしばらくたつ だが、ランファの手は必殺技、アンカークロ−の発射装置に届かないでいた 「くそっ!無駄に数ばっかりいるんだから!」 ワイヤーアンカーの操縦桿から手が離せない ヴァニラと離れたのは痛手だった 装甲の薄いカンフーファイターは若干、耐久性におちる 長丁場となるここで、あまりダメージを受けるわけにはいかない 『ランファさん、回復を…』 「大丈夫よ、ヴァニラ。そっからこっちはちょっときついでしょ?」 ヴァニラからの通信に、強気な笑顔をむけると 「カンフーファイターの機動性、甘く見ないでよね!こんなヘロヘロ弾、一発だってあたりゃしないんだからっ」 光の翼がひく帯が交差するように飛び回る が… 「…あぁっ、くそっ」 シュンッ と微かな音をたてて、テンションゲージが半分まで下がってしまう 「いいわ、必殺技がなくたって、あたしは負けない!」
「油断しましたわ…」 わずかに残った艦影をみながら、ミントのつぶやき 「やはり、いささか決定力にかけますわね」 踊ったフライヤーを回収する 全フライヤーがトリックマスターに戻ってきた、その瞬間 「きゃぁっ」 ドン 衝撃で体が若干浮かんで、落ちた 『ミント?!だいじょーぶかい?』 「えぇ、心配ありませんわ。フォルテさん。それより、ご自分のほうを心配なさってくださいまし」 『…ったく、かわいくないねぇ』 やれやれと笑って、フォルテが通信をきる 「よくもやってくれましたわ、たっぷりとお返しはさせていただきますわよっ」 ミントの長距離レーザーが火をはなつ
ミントとの通信をきったフォルテは 「さてと…」 改めて正面を見据えた テンションゲージを確認する MAXに赤い表示 「いくよぅ、ストライクバースト!!」 連装長距離レールガン、中距離レーザーポッド、中距離ミサイル そして中距離レーザー砲 紋章機最強といわれる武装、全ての砲門を一斉に開く そして、それは光のうねりとなって目前の敵に命中し 爆発をまきおこし、連鎖を繰り返しながら辺りの敵を一掃した 「よしっ」 それと同時に ビービービー 赤い警報 そして、音もたてずハッピートリガーが沈黙する パネルには、エネルギー切れの表示 『フォルテっ』 「わーってるよ、副司令。一休みさ、さっさと回収してくれ」
「邪魔をしないでください」 光の翼をはためかせ、ヴァニラのハーベスタ−は立ち往生していた 周囲には敵の群 それが、回復役であるヴァニラを狙っているのは明白で 「わたしがみなさんを護る…」 ぎゅんっ 微かに後ろに下がる と、ともに 「ハーベスタ−、ヴァニラ・H。いきますっ」 加速装置を最大にまで働かせて、わずかに開いた敵の間をかけぬける ドッ ドドンッ 左右、上下、360度から敵の攻撃がくる 「くっ」 だが、握った操縦桿を離す事はなく ギュンッ 出口が、みえる ハーベスタ−の耐久値が見る見る下がっていくが 止まることはしないで 『ヴァニラっ』 「大丈夫です」 ミルフィーからの通信に微笑をかえす それは、めったにヴァニラがみせることはない力強い笑顔 「いま、いきますから…」
「Eternal Love…♪」 その歌を、最初に聞いたのは誰だったろう?
白き月 「増援…」 「次から次へと…」 「あれは…ダークエンジェル」 モニターをみながら、ノアがつぶやく 増えた増援には、確かに、黒き月の紋章機の姿 「…あいつら、許せない。黒き月の力でEDENの民を襲うなんて」 悔しさで、握りこぶしが震えた そのとき 「…シヴァ?」 シャトヤーンが、我が娘の異変に、きづいた シヴァは空をみあげている それは、とても、穏やかな表情で 「母上、歌が聞こえます…」 「うた?」 その言葉に全員が耳を傾ける それは… ノアが首をかしげた 「この歌は…どこかで…」 「わたしは、この歌をしっている…」 シヴァはつぶやくと
「…♪とおく…かぎりない、空へ…」
歌いだす 続きを歌ったのは、以外にもノアであった
「夢をさがして…迷う…for away…」
”揺れる運命になぜか…♪” ミルフィーはラッキースターのコックピットでその歌を聞いた 「うた?」 天地が逆さになったままの体勢を立て直そうとする そこに 「しまった…」 敵の影が が… ドンッ 爆発 だが、ラッキースターに被害はない 自滅?どうして そう、思ったそのとき ”心みだれてみちをまよう…♪” 破壊された敵機の陰からみえたのは、ダークエンジェル その機体に乗っていた人間で、ミルフィーが知っている人は一人しかいない 「カミュ…さん?」 歌は、ダークエンジェルから聞こえた 名前を呟くと、歌が少し止んで ”やぁ、ハニー。元気がないなんて、君らしくないよ” 声 たしかに、その声が聞こえた ”この僕をたおした君だもの…さぁ歌でも歌いながら、華麗に銀河を飛んでおくれ” 「…はいっ」 ギュゥン 音をたてて、ラッキースターの光が増す 「バーンとやっちゃいます!!」
ランファのカンフーファイターに群がる敵を倒したのもダークエンジェルであった 「なんで?!」 どーして?と混乱するランファにもやはり、同じ歌が聞こえる ”月にぃ見守られてぇ 気高くぅ生きーてゆけるぅぅぅ” それは拳のきいたシャウトであった 「誰よっ!オンチ!!」 耐え切れなくて叫ぶ と ”オンチとはなんだ?!ランファ・フランボワーズ!!” 「オンチなもんは、オンチなんだからしょうがないでしょっ!この馬鹿ギネス!!」 ”なんだとぉ!?” 「いい、歌って言うのは、こうよ! ♪ときは砂のように so 流れるけど〜♪」 ”まけてたまるかぁ!俺の歌をきけぇっ!” そこに、敵機が砲門を 「邪魔をしないでっ!」 ”邪魔するんじゃねぇ!”
「幽霊、なんてことはありませんわよね?」 ミントはあちこちから飛び込んでくる情報に少し身震いをした ”なんだ、ブラマンシュの一人娘は、恐がりなのか?” 馬鹿にしたような声が聞こえる それは、人の声でなく そう、いうなれば、テレパスで聞こえる、心の声にとてもよく似ていて 声の主はリセルヴァ・キアンティ だから 「おとなしく成仏していればよろしいのに」 ミントはやれやれと呟いた すると ”ふんっ” 「ところで、貴方は他の方のように歌いませんの?」 ”僕をあんな馬鹿どもと一緒にするな” 「あら、歌えないんですの?お気の毒ですわ」 ”歌えるっ!!歌わないだけだっ” 「そうですか。まぁ、口ではなんとでもいえますしね 私も一曲…♪Eraenal Love 君に逢えた 蒼いこの銀河で…♪」 ”僕だって歌えるといってるだろう?!いいか… ♪今信じて 飛び立つ天使…♪”
ハッピートリガーは再び宇宙に舞い戻った エネルギーMAX 気合も充実 そして 「♪えたーなぁるらぁーぶっ 光ぃ浴びてぇ〜 翼広げたぁなぁらぁ〜♪」 なぜか演歌調の歌声 すると ”オンチだな” 「悪かったねぇ」 自覚があるのか、ブスッとむくれてフォルテがかえした 「そーいうあんたは歌わないのかい?」 ”一人くらい歌わぬ人間がいてもいいだろう” そっけない返事 それに、生前のレッド・アイの仏頂面が浮かぶ フォルテは寂しいような、しかし、どこか嬉しいような笑顔をこぼすと 「じゃぁ、あんたの分もあたしがうたってやるかねぇ」 むらがる敵艦隊に標準をあわせながら 「♪きっとぉ奇跡はぁ始まる えんじぇる いん まい はぁと〜」
ヴァニラのハーベスタ−が輝く 撒き散らすのは、翠の粒子 それは、瞬く間に宇宙を翔け、すべての紋章機に届く が 「修理…できません…」 悲しげな呟き かえってくるのは ”だいじょーぶ、だいじょーぶ、修理できるなんておもってないからさ” 楽しそうな、声 「ですが…」 ハーベスタ−のかわりに、銃弾の的になったダークエンジェル かつてのソレにのっていたのは ”きにすんなって、どっちみち、もう俺たちはDATEだけの存在なんだしー?” ベルモットの声はやはりどこか嬉しそうであった 「…ごめんなさい」 ”いーっていいって、それより、あんたは歌わないのかい?” 「…え?」 ”他のみんなは楽しそうに歌ってるよ、おれもうたおっかなぁ ♪軌道 外れる事さえ〜” ヴァニラは瞬間、戸惑うと 少しだけ笑みをこぼしてから 「♪怖れぬ勇気 熱く get away〜」 歌いだした
Eternal love… ♪ その歌を最初に聞いたのは誰だったろう? その歌を最初に歌ったのは誰だったろう?
「みなさんが、歌ってる?」 ちとせは、決戦兵器のコックピットでその歌をきいた 「あぁ、銀河が歌っているね」 タクトが感慨深そうに呟く この歌を聴くのは2度目だと 「ちとせにも教えてあげようか?」 笑いながらいえば 「はいっ、是非おねがいしますっ、マイヤーズ司令!」 「よし。じゃあ俺のあとに続いてくれちとせ ♪とわの静寂のなかで こころ目覚めて向かう世界…♪」 「…月に導かれて …神秘の闇を抜ける …深い海のように …so …包み込んで〜♪」
そのとき
『7番機、発進だ』
レスターの通信がそれを遮った 「了解」 タクトが応える と 『タクト』 「ん?」 『賭けは俺の勝ちでいいんだよな』 「へ?かけ?」 『俺がお前が帰ってくるよりも先に目を覚ましたら、お前を一日自由にできるんだろ?』 「?!なんでしってるんだぁ?!」 ガンッ 「いてぇっ」 思わず立ち上がったタクトは、コックピットの天井でしたたかに頭を打った 「ま、マイヤーズ司令?」 「くぅー…」 『さぁ、なんでだろうな?で、タクト。俺からの提案なんだが…』 「んー?」
Eternal love… ♪ 歌で溢れる銀河に、その通信が舞い込む
『みんな、歌いながらでいいからちょっと聞いてくれ』 「タクトさん?」 『これから最終フェーズに移行する』 「…タクト」 『だが、その前に重要な任務について発表しておきたいと想う』 「タクトさん…?」 『その任務とは…』 「タクト?なんだい、はっきりお言いよ」 『任務とは…』 「…はい」
『祝勝パーティーの役割分担だぁ!!』
全銀河中が、こけた 『発表します!ミルフィーユは特大ケーキ作りっ!ウェディングケーキくらい、でっかいの』 「…はいっ、バーンと食べきれないくらいおっきいのを、腕によりをかけて作っちゃいますよ」 『ランファは、ケーキ作りで忙しいミルフィーのかわりに食堂のおばちゃんと料理を作ってくれ』 「おっけー、まかせておきなさいよvランファスペシャルのフルコースよっ」 『ミント。ミントには最高級の紅茶の手配を頼む』 「了解しましたvブラマンシュ財団の総力をあげてみなさんの満足行くお茶を用意いたしますわ」 『会場の飾りつけ担当、フォルテ!あと、なんか余興の手配とか、よろしく』 「おっけぇ、おっけーv宴会王と呼ばれたこのフォルテさまの見事な手腕をみせてやるよ」 『ヴァニラは続出するであろう食い倒れ対策に胃薬の用意を』 「わかりました。ケーラ先生ともご相談して万全を期します」 『ちとせはパーティーの会計だ』 「はい、がんばります」 『幹事はレスター。たぶん、宇宙最強の幹事だ』 「ま、仕方あるまい」 『レスターのサポートは、ココとアルモ。ブリッジクルーの息のあったところをみせてくれv』 「はいっ、おまかせください」×2 『更に詳しい連絡は、最終決戦終了後に追って連絡する。みんな、よろしくたのんだよ』 「あれ?タクトさんはなにをするんですか?」 『おれ?俺は全員の指揮をとるよ。司令官だからねv』
Eternal love… ♪
「じゃぁ、いってくるよ…レスター」 『あぁ、行って来い。ちとせに迷惑をかけるんじゃないぞ』 「クールダラス副司令、必ずマイヤーズ司令はお返しします」 『…あぁ、だが、君もいっしょに帰ってくるんだぞ』 「…わかっています」 目前に広がるのは歌と星の宇宙
「Eternal love… ♪ 君の声が 響くこの銀河で…」
光輝き、舞い踊る、5機の天使の翼
「♪ほら輝く 未来の天使〜」
その歌を最初に歌ったのは誰だったろう? その歌を最初に聞いたのは誰だったろう? 歌は歌を呼び そして いつしか、銀河中が歌っている
Eternal love… ♪
| 2005年01月21日(金) |
GAMEネギま!の日 |
ネギま!引き取りにいってきましたー。 が… A,C,Eのデモが気になったりして 島谷ひとみの主題歌が印象的で ガンダムはZとWと逆シャア。νガンダムいるし レイズナーとか、ナデシコ(しかも劇場版)とか… ところで、いっつもおもうんですが、こういう系統に パトレイバーがはいらないのはどうして? おいら結構好きなんですけどね、なんでだろう… そんなことをおもいながら あー、でも、戦闘がな… エゥーゴ対ティターンズもまともにできない俺には無理っぽく… まぁ、来月は新世紀勇者大戦もありますしね とりあえず、目先のネギま!です
第27話「エンジェルホープステーキ」
本当に欲しかったのは…
『タクト』
「え?」 意識が浮上する
『起きろ、タクト…』
「エオニアさ、ま…って、いた…た」 起き上がる 腹部に鈍い痛みがはしった 「俺、いったい…」 混乱する頭を振る 見覚えのある通路 エルシオールの… 「どうなってるんだ…そうだ、決戦兵器」 思い出して、タクトは格納庫へむかった
格納庫にはいるとともに 「マイヤーズ司令!」 「クレータ班長、いま、どうなってるんだ?」 「それが、ちとせさんが…」 「え?」 ザワザワ 格納庫が騒がしい 「ちとせさんが、一人で出撃するといってきかないんです」 「なんだって?」 タクトは決戦兵器にむかってかけだす
「ちとせっ」
『マイヤーズ司令?!うそ、こんなにはやく目を覚まされるなんて…』
「俺を気絶させたのはちとせなのか?どうして…」 『すみません、ですが、こうでもしなければ、マイヤーズ司令は絶対に私を一人ではいかせてくれないでしょう』 「あたりまえだっ!どうして君を一人でいかせなきゃいけないんだっ」 ダンッ タクトは力強く、7番機のハッチを叩いた 『…だって、マイヤーズ司令には、お帰りをまっていらっしゃる方がいるから』 「え…」 『マイヤーズ司令だけじゃありません、先輩方だってそうです。だから、私が一人でいくのが1番いいんです』 「ちとせ、なにをいってるんだ?!」 ダンダン 何度も何度もハッチを叩く まだ完全に治っていない傷が開きだした 痛む だが、かまわず叩き続ける 「ちとせ、あけるんだっ」 『嫌です、私は一人でいきますっ』 「ちとせっ!!」 『私は一人で行きます、父だって、仲間のために命をかけた…私だってみなさんのために命をかけたい…だから』
『甘えるんじゃないよっ!!』
その怒鳴り声はどこからだったろう びくりっ タクトが手を止める そして 「フォルテ…?」 それは、戦場にいるフォルテからのものだと知った
決戦兵器内部 その声は、コックピット中に木霊した 『ちとせ、自分が犠牲になればいいなんて、そんな考え方は許さないよ』 「フォルテ先輩…」 『あたしらは全員そろってエンジェル隊なんだ、誰がかけたって駄目なんだ』 「でも…でもっ…わたし、私の不注意で、クールダラス副司令が怪我をして…まだ意識も戻らなくて… わたし、わたしが…私が、クールダラス副司令の分まで、タクトさんを護らないと…わたしが…」 『タクトさんを護りたいのはちとせだけじゃないんだよっ』 「ミル、フィー…先輩…」 フォルテに続いて、ミルフィーのモニターが現れる 『私だって護りたい、タクトさんも、ちとせも、もちろん、ランファやミントやフォルテさん、ヴァニラ。みんなを護りたい』 『そうよっ!!ちとせ!しっかりしなさい』 「ランファせんぱい…」 『自慢じゃないけど、あたしたちは一度だって自分だけが犠牲になればいいなんて想ったことないんだからね!』 『そうですわ、ちとせさん。わたくしたちはいつだって、全員で帰るつもりで戦うんですわ』 ランファ、ミント、次々とモニターに浮かぶ 「ミント先輩、でも…っ」 『でも、じゃありませんわ。わたくしたち、ちとせさんを犠牲に助かっても嬉しくないんですから』 そのとなりにはヴァニラが 『ちとせさん、最初から、あきらめないでください』 「ヴァニラせんぱい…」 『あきらめてしまっては、そこで終りです。誰よりも、なによりも、自分で自分を信じてあげてください』 「でも、じゃぁ、わたしは…わたしはどうすればいいんですか?どうすれば、罪を償えるというんですか…?」 ボタボタボタ 涙がこぼれおちた 「私の犯した罪は、優しい先輩たちを傷つけて、マイヤーズ司令も傷つけて…クールダラス副司令に重症までおわせて… 命をかけて償う以外に、どうやって…」 『ちとせ、甘えるんじゃないっ』 フォルテの声が、再び響く 『あたしらはあんたに傷つけられたなんて想ってない、タクトだってそうだ、レスターだってあんたに償ってもらおうなんて考えちゃいないよっ』 「…っ」 『自分で勝手に死ぬ理由をつけちゃいけない、たしかにこの作戦はつっこんで死んでしまったほうが楽だ だけどね、逃げるなちとせっ、逃げずに帰っておいで、わたしらは全員、あんたとタクトの帰りをまってるんだよ!!』 『そうだよ、ちとせ』 次の声は、すぐ隣りから ハッチを隔てた向こう側 『あれは君が責任を感じることじゃない。…レスターは立派に自分のやるべきことをやっただけだよ』 「マイヤーズ、しれ…」 『ちとせ、君のやるべきことは?そうやって一人で敵につっこんでいくこと?違うだろう?! 君がしなければいけないのは、帰ってくることだ、みんなの声が聞こえただろう?!ちとせっ!!』 「でも、ですが…わたし、わたしは…」
コンコン 軽い、ノックの、音
『…え?』 不思議そうなタクトの声が聞こえた それに、続いて
『聞こえるか?ちとせ』
声 ここにいるはずの、ない、人の、声? 「うそ…」 呟き そして
ガシャンッ ちとせは、ハッチをあけた その声の主を確認するために
「レスターっ」
開けた視界 その先に、たしかに、ちとせは、彼の姿をみつけた うすく青がかかった髪 片目だけのクールブルーの瞳 整った顔 まだ痛々しく、ところどころに包帯をまいてはいるが、それはまぎれもなく
「クールダラス…副司令…?」
「久しぶりだな」 はぁ レスターはやれやれとため息をついた 「意識が…?」 「あぁ、さっきな。ったく、戻ったとたんにこの騒ぎだ、おちおち寝ている暇もない」 「レスタァ…」 「泣くなよ、タクト」 「な、ないてなんか、いないよ」 タクトはぐいぐいと、涙を裾でぬぐった 「さ、俺は復活したぞ。ちとせ。これで君が一人で出撃する理由はなくなったな」 「…え、あ…でも、そんなっ」 「勘違いするなよ、俺が君を助けたのは、この馬鹿を護ってもらうためだ…君に犠牲になってもらうためじゃない」 「はい、…ですから、わたしはっ」 「ざっと話をきいたかぎりでは、君とタクトがいっしょにいくのが1番だそうじゃないか。どうして君が一人でいく必要がある?」 「…それは、そ、れは…」 「タクトはアホだが使えるやつだ。こんなやつだが、よろしく頼む」 レスターはそういうと、 ドンッ タクトの背中を押し出した 「うわぁっ」 「え、きゃぁ?!」 どーん 決戦兵器が大きく揺れる タクトとちとせは仲良くコックピットにころがりこんだ そのうしろで ガシャンッ ハッチが閉められる 「ったく、無茶するなぁ!レスターのやつ!!」 『わかったわかった。文句はあとできく。さぁ、タクト、ちとせ。さっさと発進準備をしろ。あとのことは俺にまかせとけ』 「そんな、クールダラ…」 「わかったよ。あとは頼む、レスター」 ちとせの言葉を、タクトが遮った 「マイヤーズ司令?!」 「さぁ、いこう、ちとせ」 タクトはそういうと、複座式コックピットのオペレーター席に座った 「マイヤーズ司令っ!」 「と、そうだ。ちとせ…これ、ヒュウガ少佐からのあずかりもの」 「え?」 タクトはちとせにむかってそれをなげた
本当に欲しかったのは…
「ぬいぐるみ…」 「あのあと、ヒュウガ少佐が教えてくれたんだ。そのぬいぐるみを、お父さんの葬式のときに、ちとせに渡したのはヒュウガ少佐だったらしい」 「え?」 「ねぇ、ちとせ…ちとせのお父さんは、どういうつもりでこのぬいぐるみを買ったんだろう?」 「それは…わたしが、無理を言って頼んで」 「うん。ヒュウガ少佐はね、このぬいるぐみを回収された艦で発見したんだって」 「…はい」 「ちとせのおとうさんは、きっと…このぬいぐるみを直接ちとせに渡したかったんだよ」
ぬいぐるみ 私がほしいと 父にねだった 犬の… でも 父さまはもどらなくて 父さまは
「そんな、父さまは…父さまは、仲間のためにいのちを…っ」 「うん、結果としてはそうなってしまったんだろうけれど、きっとお父さんは最後の最後まで、生きて帰るつもりだったんだ」 「…父さ、ま………」 「だって、お父さんが本当に死ぬ覚悟だったのなら、ぬいぐるみを直接ヒュウガ少佐に預けたはずなんだよ」 「…っ」 「お父さんは帰るつもりだった、ちとせのところへ。だからぬいぐるみを預けるなんてことはしなかった」
覚えているのは、父の背中のこと 私の父は、私が幼いころに亡くなった 立派な最期だったと聞いている 父は軍人だった 覚えているのは、背中 優しくて、大きな…私の大好きな父の背中
「ちとせは?ちとせは…本当はどうしたいの?」 「わたしは…」 「俺たちのために命をかけたいの?それとも、俺たちのところへ帰ってきたいの?」
父さま… 優しい父さま 大好きだった 大好きで 嫌われたくなくて いつだって良い子にしていた ぬいぐるみを 私が欲しいといってねだった犬のぬいぐるみを 届けてくれた 責任感の強かった、ひと… 自分が死んでも わたしに、ぬいぐるみを… 優しい 大好きな でも でも…
「わたしが…わたしが、本当に欲しかったのは…」
ぬいぐるみなんかじゃなくて
「私、私…ぬいぐるみなんて欲しくなかった…父さまが、父さまが戻ってきてくださるだけで、それだけで、よかった…」
犬のぬいぐるみ わたしが欲しいといった でも、ちがう 本当は、ちがう ぬいぐるみなんて、どうでもよかった ただ ただ、父さまに渡して欲しかった 優しい父さまが 笑顔で わたしに 直接、このぬいるぐみを渡してくれる 本当は 本当にほしかったのは
「わたしがほしかったのは…ぬいぐるみじゃない…父さま…わたしにぬいぐるみを渡してくれる、父さまの手が…」
ただ、それだけでよかったのに
『ちとせ…』
どのくらい泣いたのだろうか 優しい声がして、顔をあげた みんなが自分をまっていてくれる
『ちとせ、タクト。かならず帰ってくるんだよ』 「はいっ!フォルテ先輩」 『タクトのこと、よろしく頼んだわ、なんかヘマしたらたたいていいからね』 「はい、ランファ先輩!」 『みんなで、ちとせさんとタクトさんのお帰りをおまちしておりますわ』 「はい、ミント先輩…」 『お帰りをおまちしています。いってらっしゃい。ちとせさん、タクトさん』 「…はい、ヴァニラ先輩」 『ちとせ、約束だよ』 「はい!ミルフィー先輩っ」
「わたし…死にたくない…死にたくない!…わたしは、かえってきたい…みなさんのところに帰りたい、です」 「あぁ、ちとせ。いっしょに帰ってこよう」 「はい、マイヤーズ司令っ!」
ちとせは座りなおした そして膝のうえに、ぬいぐるみを、置く 「みていてくださいね、父さま…」 そして、小さく語りかけた すると
「え?」 「どーした、ちとせ?」 「いえ、なんでもありません…」 タクトが不思議そうな顔をしたので、あわてて首を横にふる 錯覚だ ぬいぐるみが微笑んだようにみえたなんて きっと
「7番機、でますっ!」
福井地方大雪のため、ネギま!届きませんでした
号泣… (そのためだけに、残業せずに定時であがったというのに)
第26話「後悔しまくり★おしるこ」
「レスター、いってくるよ」 タクトはそのとき、医務室にいた 「…俺が帰ってくるのと、お前が目を覚ますの、どっちが先だろうな」 クスクスクス おもわず笑いがもれてしまう 「俺が先だったら俺のかち、お前が目を覚ましたらお前の勝ちってことで そーだなぁ、賭けの対象は”1日相手を自由にして良し”とかどうだろう? 俺が勝ったら、たまってる書類とかぜーんぶお前にやってもらうんだ」 いい案だ、いい案だ、と一人納得 「じゃぁ、いってきます」 最後にそういって、小さくキスをおとすと、タクトは医務室をあとにした
謁見の間には、すでに全員がそろっている (なんか、前と同じパターンだな) そんなことを想いながら、中にはいると 「タクト、またお前が1番最後か?まったく、あいかわらずその遅刻癖は治っておらんのじゃな」 ルフトがあきれた声でつぶやいた 「あはは、すいません。先生」 タクトはあやまって、定位置に立つ 全員がそろったのを確認すると
「じゃぁ、最終決戦の作戦を確認するわ」
ノアが再び目前にモニターをだした 「右上が白き月、ヴァル・ファスクはちょうど左下から進撃してくるわ、そこで…」 パッ 画面に浮かぶのは6つのマーク エルシオール、ラッキースター、カンフーファイター、トリックマスター、ハッピートリガー、ハーベスタ− 「フィールド・キャンセラーはエルシオールに搭載してあるの、だからまずエルシオールの航路はこう」 ノアは画面を対角線に、エルシオールからオ・ガウブまでの直線をひいた 「そこに群がってくる敵機を、二手にわかれて紋章機で撃破」 ラッキースター、カンフーファイターが左にむかってのびる トリックマスター、ハッピートリガー、ハーベスタ−はエルシオールに付き添うように下へ 「これが、おおまかな作戦よ」 「おっけー、つまりエルシオールを護りきればいいんだね?」 「そうよ。そして、エルシオールはこの位置…ネガティブ・クロノ・フィールドの影響をうけないこの ギリギリの位置から、決戦兵器を射出…あとは、決戦兵器がフィールド・キャンセラーを使い ネガティブ・クロノ・フィールドを無効化するとともに、クロノ・ブレイク・キャノンで…」 そこまでノアが喋ると 「ちょ、ちょっとまってくださいまし」 ミントからストップの声がかかった 「ミント?」 「ということは、もしかして決戦兵器とは有人戦闘機なのですか?」 「えぇ、そうよ。決戦兵器はシャープシュータ−とともに発掘されていた7番目の紋章機をベースに作ったわ」 至極あっさりとしたノアの返事に フォルテが叫んだ 「有人だって?じゃぁ、誰かが決戦兵器にのって敵のど真ん中につっこまなきゃいけないってことじゃないか!」 「そ、そんなっ…」 ザワザワ エンジェル隊に同様がはしる 「そういうことよ」 「誰だい?もう、そのパイロットはきまっているのかい?!」
「私です」
声は、今まで沈黙を保っていた少女から聞こえた 「ちとせ…?」 「ちとせが?!」 「はい、ノアさんのシュミレーションの結果、私が適任だという結果になったと。任を受けました」 「なんだって?!」 「ちとせさん…」 全員の視線がちとせにむく ちとせは、にっこりと、微笑んでかえした 「リミッターをはずした紋章機の性能と、パイロットのテンション、その二つがあわさって初めてこの作戦は成功するわ」 「パイロットのテンション?」 「えぇ。今現在、1番好調なちとせをパイロットに選び、さらに彼女のテンションを最高の状態に保つためにオペレーターを同行させる。 まぁ、このオペレーターにはフィールド・キャンセラーやクロノ・ブレイク・キャノンの管制もしてもらうって役目があるけどね」 「では、決戦兵器にのるのは、ちとせさんと、もう一人、ということですか?」 「なんてこった…そのオペレーターっていうのはもう決まっているのかい?!」 「ちとせ、あたし…あたしがいっしょにいくよっ、ちとせを一人でなんていかせないからねっ」 ミルフィーがちとせの手をとって、泣きながらいう 「あたしがいくわよっ、ちとせ!あたしを選びなさいっ!あんた一人じゃあぶなっかしくていかせらんないんだから!」 ランファもつめよる、瞳に涙がにじんでいる 「ちとせさん、わたくしが同行いたしますわっ」 その後ろからミントが叫ぶ 「ちとせっ、あたしだ!あたしはエンジェル隊の隊長なんだ、あたしがいくよっ」 フォルテが後ろからちとせをだきしめて何度も何度も呟く 「ちとせさん、私を指名してください…」 珍しいほどに表情をくずしているのは、ヴァニラ 「先輩方…ありがとう、ございます…わたし、エンジェル隊にはいって、ほんとうに…よかった」 ちとせは目をつぶり、溢れ出しそうな涙をこらえる そして 「でも、私のパートナーは…」 「ちとせには、俺が同乗するよ」 タクトがゆっくりと、全員の前に歩み出る 「タクトさんっ?!」 「タクトぉ?!」 「タクトさんですって?」 「…タクトが」 「タクト、さん…」 「うん、ノアのシュミレーションの結果、現在、1番ちとせと相性がいいのは俺らしいから」 「ミルフィー先輩、ランファ先輩、ミント先輩、フォルテ先輩、ヴァニラ先輩…本当にありがとうございます でも、わたし…マイヤーズ司令といってきます」 「ちとせ…」 「それに、みんなには、俺たちの進む道を護ってもらわなきゃいけないからね!」 タクトはわざと明るく大きな声でいった 最初に 最初に涙をぬぐったのは、誰だっただろう 「仕方ないねぇ、あとのことは、このフォルテさまにまかせておきなっ」 「はい、お二人はわたしたちが、バーンっと護っちゃいます!!」 「えぇ、おまかせください」 「全力でお守りします」 「だから…かならず生きて帰ってくんのよ、二人ともっ!でなきゃ、承知しないんだからっ!!」 「はいっ」 「あぁ」 タクトとちとせの声が重なった
そのとき ビービービー 警報が白き月中に響き渡る 「きたかっ」 シヴァが空をにらんだ 「エンジェル隊、出撃準備だ!」 「はいっ」 バタバタ 全員が謁見の間をかけぬける が 「あ、そうだ」 タクトが思い出したようにつぶやいた 「どーしたんですか?タクトさん」 ミルフィーがたずねる 「忘れるところだった、今回の作戦名を発表しておくよ」 「作戦名?」 ランファがなにいってるのよ、という表情 「そう、名づけて”エンジェル・スラップ”でどうだ!」 「スラップ…びんた、という意味ですわね」 ミントがクスクスと笑顔をこぼし 「なーるほど、”天使のビンタ”ってわけかい?」 「そーいうこと。フォルテのビンタは痛そうだなぁ」 フォルテは豪快に笑い飛ばした 「賛成です。とても、良い名前だと、おもいます」 ヴァニラがこくこくとうなづく 「はいっ、きついビンタをかましましょう」 ちとせがぐっとにぎりこぶしを作ってうなづいた
全員が笑う そして誰ともなく、顔をみあわせると 謁見の間をあとにした が
「マイヤーズ司令」 シャトヤーンがタクトを呼び止めた 「え?」 「少しだけ、よろしいですか…?あまり時間はとらせまんから」 「…あ、はい」 タクトはエンジェル隊が全員去ったのを見届けると、うなづいて引き返す
「クールダラス副司令の意識は、まだ?」 「…はい」 「そうですか…」 「でも、大丈夫です。ご心配、ありがとうございます」 「エンジェルスラップ中の司令官代理はどなたが?」 「ウォルコット中佐が引き受けてくださいました」 「…」 シャトヤーンはゆっくりと、タクトの手をとった 「シャトヤーンさま?」 「先のクーデターのときといい、今回といい、貴方には本当に…辛い役目ばかりを負わせてしまいますね」 「…」 「許してください…」 「だいじょうぶ、です」 タクトは顔をあげる そして、精一杯微笑んだ 「確かに俺は、戦うのは嫌いです。でも…俺はひとりじゃないから… ミルフィー、ランファ、ミント、フォルテ、ヴァニラ…ちとせ。 …それと、今、ここにはいられませんが、いつだって俺の1番そばにいてくれるレスター。 エルシオールのクルーのみんな…それと、先のクーデターで亡くなった人だって… みんなが俺に力をくれるから、俺は前をむいて戦っていけるんです」 ふっ 手をタクトからはなした 「かならず、帰ってきてください。マイヤーズ司令…」 「はい、ありがとうございますっ」 「そうじゃ、タクト。お前は必ず帰ってこなければならんのだぞ。そうでなければレスターが起きたときが恐いわい」 「わかってますよ、ルフト先生」 「タクト…」 「シヴァさま」 シヴァは抑えきれなくなって、タクトにだきついた タクトはその頭を優しくなでながら 「かならず帰るんだぞ、わたしは、わたしは…お前のことが…」 「はい、かならず。約束します。シヴァさま」 「うむ…」 「では、タクト・マイヤーズいってまいります」 タクトは全員に礼をすると、その場をあとにした
わたしが… ちとせはすぅと呼吸を整えた 「わたしが、戦わなくては…」 もう一度 すぅ はぁ 「父さま、私に、ちからをかしてください」 祈るように手を組む そうしていると、通路の奥から足音が聞こえてきた
「あれ?ちとせが先にいってるはずなんだけどな」 通路には誰もいない もう先に格納庫にいってしまったのだろうか? タクトはそんなことを想いながら歩く そして、エルシオール各ブロックへ続く分かれ道にきた
ドッン
「え?」
鈍い、音 揺れる黒髪 腹部に鈍い、痛み?
それが、なにかを意識する暇もなく ずるずる ズルッ
タクトの意識は、漆黒の闇に覆われていった
| 2005年01月19日(水) |
290000ありがとうございます…の日 |
29万突破まことにありがとうございますv そんなわけで、29万記念絵は「無責任艦長タイラー」 アニメ版と、真タイラーの2ショットで!! タイラーは純粋に小説からはいったんですが アニメタイラーに惚れてしまい… アニメタイラーいいですよね あのダフダフのコートに、辻谷さんのお声v そして「ひとりぼっちの戦争」もう、すっごい大好きです><ノシ 「地上より永遠に」も好きですが。っていうか、セットでv そんなタイラーでお送りしました
さてと、明日はゲーム「ネギま!」ですね 今から楽しみッス(引き取りにいく時間があるのかどうかはおいといて)
第25話「パートナーラーメン替え玉無し」
覚えているのは、父の背中のこと
私の父は、私が幼いころに亡くなった 立派な最期だったと聞いている 父は軍人だった 覚えているのは、背中 優しくて、大きな…私の大好きな父の背中 そして…
『いつか、あの星の海へ…お前も連れて行ってやろう』
果たされることは無かった最期の、約束 私は、父の背中を追うように軍に入隊した
入隊してからすぐ、私は6番機シャープシュータ−との適正を認められた その後、何度かの検査とシュミレーションのあと 正式に、6人目のエンジェル隊として移動がきまって
嬉しかった
半年前のクーデター 誰もが絶望を知ったそのとき、希望を捨てなかった奇跡の部隊 そして、未知の軍隊相手に、見事、皇国を守り通した 英雄…
太陽のような、エンジェル隊の先輩たち 自己主張が激しくて 何千人の中からでも一発で見つけてしまえるような存在感をもっていて どこにあっても自分を見失うことなく 平等に光を振りまいて 輝いていられる 自分を暖かく迎えてくれて わけ隔てなく、接してくれた 大切な先輩たち
月のような、マイヤーズ司令 いつだって彼に「だいじょうぶ」といわれると なぜか自信がもてた 笑顔が柔らかくて 声が優しくて 子供のようで そのくせ、どこか悲しい それでいて 決意に満ちた眼差しのひと
影となって力を貸してくれたエルシオールのスタッフたち 紋章機のことを、我が子のように大切にあつかってくれるクレータ班長をはじめとした整備クルー 艦内のいろんなことを教えてくれたココやアルモといったブリッジの面々 いつだって体調のことを心配してくれるケーラ女医 エルシオールにはじめてきたとき”ようこそ烏丸少尉キャンペーン”を開いてくれたコンビニの店員 こっそり好きなものを多く盛ってくれる、食堂のおばちゃん そんな、ひとたち
本来なら口もきけないはずの、シャトヤーンさまやシヴァさま 職務で忙しいのに、なにかと気を使ってくれるルフト宰相 必死でかつ方法をさがしてくれた、ノア
そして… 暴言をはいた自分を、護ってくれた…クールダラス副司令
「わたしは…私は、こんなにしあわせものです…父さま」
父さま… 優しい父さま 大好きだった 大好きで 嫌われたくなくて いつだって良い子にしていた ぬいぐるみを 私が欲しいといってねだった犬のぬいぐるみを 届けてくれた 責任感の強かった、ひと… 自分が死んでも わたしに、ぬいぐるみを… 優しい 大好きな でも、だからこそ わかるのだ
「だから、父さま…見ていてくださいね…」
立派だった父さま 最後まで 仲間を護るために命をかけた
「先輩たちを、シヴァさまたちを…そして… マイヤーズ司令を、無事、クールダラス副司令のところに返すために…」
わたしだってそうだ 命をかけたい 大好きなエンジェル隊の先輩たち そして 今、この瞬間でさえも、隣りにいてくれるマイヤーズ司令 新人の自分にも分け隔てなく接してくれるエルシオールのクルー 威厳をもちながらも優しいシヴァさまに、シャトヤーンさま そんな、自分の大切な、全ての人たちのために
命をかけて戦いたいと
思う
ぽた
もっていたぬいぐるみに涙が落ちる それは、まるで、ぬいぐるみが泣いているように見えた
「私は、命をかけて戦います。…父さま、みていてくださいね」
| 2005年01月18日(火) |
まだ生きてます…の日 |
だいじょうぶ、だいじょうぶ。 まだ生きてますよv そして、今日、この日記を書いている現時点でMoonlitLovers編 書き終わりしましたv あとは地道にUPしていくだけですv どうか最後まで愉しんでくださればさいわいv
第24話「エンジェル・スラップのミックスジュース」
タクトが謁見の間にはいったときには、すでに全員がそろっていた 「遅れてすいません」 「いやかまわんよ。で、レスターの具合はどうじゃ?」 「体のほうは…あとは、意識さえ戻れば大丈夫だとケーラ先生が」 「そうかそうか、一安心じゃわい」 ルフトは教え子の安否に、ほっと一息ついた すると 「話をはじめてもいい?」 シャトヤーンのとなりにたっていたノアが口を開いた 「あぁ、お願いするよ」 タクトはそういうと、フォルテの隣りにたった
「じゃぁ、説明するわ。あのヴァル・ファスクの巨大戦艦オ・ガウブは周囲にネガティブ・クロノ・フィールドを貼っているの だからクロノ・ブレイク・キャノンといえど、無効化されてしまい、本体にまで届かないの」 パッ ノアの言葉にしたがって、全員の前にモニターが表示される 巨大艦オ・ガウブの周囲に広範囲の力場表示 「光の翼が生えた紋章機なら?たしか、黒き月のネガティブ・フィールドはそれで脱出したはずですが…」 「これは、黒き月のネガティブ・フィールドをヴァル・ファスクが更に改良したものよ。 改めてシュミレートしてみるとH.A.L.Oシステムのパワーアップ…あなたたちがいう光の翼状態の紋章機でも 機能させることは難しいわ。そもそも、あのクロノ・ブレイク・キャノンを無効化させたのだから」 「じゃぁ、そのネガティブ・クロノ・フィールドをどうにかしないかぎり、道はないということか…」 ピシッ フォルテの手の中で、ムチが苛立たしげに鳴る ノアはコクリとうなづくと 「そこで…」 ヴゥン モニターにてをかざす 画面がかわった 「ためしてみた結果、ネガティブ・クロノ・フィールドは逆位置の時空波による相殺が可能だという結果になったの」 「相殺?」 「そうよ、まぁ簡単にいうと、ネガティブ・クロノ・フィールドの波と」 赤い波線が浮き上がる そこに、ノアが対照的な青い波線を描く 「まったく正反対の時空波をぶつけることで…」 パッ ふたつの線が同時にモニターから姿を消した 「フィールドを一時的に無効化することができるの」 「なるほど!」 「それで、その時空波をぶつける装置は?」 「今、急ピッチで作らせています…敵がくるまでの72時間で、なんとか完成するでしょう」 「ただ、このフィールド・キャンセラー装置には欠点があるのよ」 ノアが新しい画面をだした そこには、白き月内部の兵器ドックが映し出されている 「あれが…?」 「そう、でも急ピッチで作っているがために、これはオ・ガウブに打ち込む形にならなければいけないの」 「なんだって?」 「有効射程距離が短いのよ。いま、これをオ・ガウブに運ぶ準備もあわせてすすめているわ…ただ」 「敵も、手をこまねいて見ているなんてことはしない…というわけですね」 「そういうこと」 パッ ノアが手を払うと、モニターが消えた 「で、そこであたしたちの出番ってわけだ!」 「そのフィールド・キャンセラーが敵に届くまでの護衛をすればいいのね」 「あ、なるほど」 「やっと希望が見えてきましたわね」 「はい…」 「がんばりましょう、先輩っ」 エンジェル隊から明るい声があがる そこに、声をかけたのはシヴァとシャトヤーン 「決戦は72時間後、それまでは皆、自由に行動してくれ」 「その間に、紋章機のリミッターは解除しましょう」 リミッター解除の言葉に、全員が反応する 「あ、じゃぁまたあの翼がバーンとなるんですね?」 「やったぁ、翼の生えた紋章機は宇宙最強だもんね」 「ありがとうございます。シャトヤーンさま」 「こいつは負ける気がしないねぇ」 「はい」 「ひかりのつばさ…」 シャトヤーンは全員の様子を微笑んでみつめている
「では、解散じゃ。みなハメをはずしすぎんようにな…それと、タクトとちとせはちょっと残ってくれるかの」 ルフトがパンパンと手を叩き、解散をうながした 「これから三日もあるのかぁ、なにしようかなぁv」 ミルフィーがうきうきしながら呟いた 「わたくしは買い物にいきますわ。ちょっと欲しいものがありますの」 そこにミントが嬉しそうに耳をピクつかせながら言った 「あ、いいな。ミント。あたしもついていっていい?」 「えぇ、かまいませんわよ」 「やったぁ、あ、じゃぁタクトさん失礼します」 「お先に失礼しますわ。タクトさん、ちとせさん」 二人はタクトとちとせに一礼すると、謁見の間をあとにする 「ランファはどーするんだい?」 「あたしはいつもどーりですよ。トレーニングして、占いやって、買い物して…」 指を折りながら今後の予定を数える 「あははは、ランファらしい。でもそうだね、あたしもいつもどーりかね。射撃練習して一杯ひっかけて」 豪快に笑いとばして、フォルテも予定を口にだす 「あ、フォルテさん。おごってくれるって前約束したじゃないですか」 「あん?そーだったかねぇ」 「そーですよ。ちょーどいいや、今日にしましょう」 「ったく、仕方ないね。と、じゃぁタクトあたしらもいくよ。ちとせをたのんだよ」 「じゃーねーvおふたりさん」 ランファとフォルテも連れ立って出口へむかった そのうしろから 「それでは、私も失礼します」 ぺこりとお辞儀をしてヴァニラが 「ヴァニラ先輩はなにをなさるんですか?」 ちとせがたずねると 「わたしは、いつもどおりです…みなさんのお手伝いを」 「お手伝い、ですか…あの、私もあとで一緒にいってよろしいですか?」 「はい、大歓迎です…おまちしています。ちとせさん」 「はいっ」 「では」 ヴァニラはもう一度お辞儀をすると、足早に謁見の間をあとにした。
「ところで、話ってなんだろう?」 全員がいなくなり、タクトが首をかしげると 「察しのいいあなたのことだから、もうきづいてるんじゃない?」 ノアが、壇上で、つぶやいた 「え?」 「…」 タクトの表情がゆっくりと真剣なものにかわる 「ほら、やっぱり気づいてた」 ノアは愉快そうに笑った 「…あの、どういうこと、ですか?」 ちとせはわけがわからなくて、タクトにたずねた すると 「フィールド・キャンセラーを運ぶのが誰か、ということですね?」 タクトの言葉は、ちとせへの返事ではなく、ノアとシャトヤーン、ルフト、それにシヴァへむけたものであった 「そのとおりじゃ…」 肯定の言葉はルフトから 「え、だれ?と、いいますと…」 「ちとせ。フィールド・キャンセラーをどうやってオ・ガウブの目前にまでもっていくかわかるかい?」 「それは、だから…うちこんで…」 「打ち込んで?どうやって?ミサイルみたいに?じゃぁ、誰が起動スイッチを押すんだろう?」 「…ぁ」 そこまでいわれて、やっと気づく 「そんな重要な装置をミサイルみたいに打ち込めばどんなにエンジェル隊が護衛したって打ち落とされる。 それどころか、衝撃で機能しなくなる可能性だってある。それに、構造はよくわからないけれど 波と波をぶつける繊細なシステムを、自動操縦で起動させるなんて、普通は考えない…ということは」 「そうよ。フィールド・キャンセラーは紋章機につけてオ・ガウブの目前に”運ぶ”の」 「紋章機に?!」 「…紋章機ほど今回の任務にふさわしい機体は、全銀河中を探したってないだろうね」 タクトは呟くと 「そして、俺と…ちとせが呼ばれたということは」 「本当にあなたって察しがいいのね。そうよ。フィールド・キャンセラーを搭乗した紋章機… 決戦兵器のパイロットには、烏丸ちとせ。あなたがなるのよ」 「わ、わたしが…?!」
父さま…
「わたしが、決戦兵器の、パイロット…?」 「シュミレーションの結果、1番成功率が高いのがあなただったのよ」 「ちとせ…」 「大丈夫です、マイヤーズ司令」 心配そうな声のタクトに、微笑みをかえす そして 「では、フィールド・キャンセラーはシャープシュータ−に?」 「違うわ」 ノアは手をふりかざした ヴゥン 再びモニターが映し出される 先ほどのフィールド・キャンセラー装置 そして、その隣りに映像がきりかわり 「あれは…?」 「実は、白き月から新たに発掘された紋章機は6番機だけではなかったのです」 答えたのはシャトヤーンであった 「これは、6番機シャープシューターと同時に発掘された、7番機」 「7番目の…紋章機…」 タクトとちとせの声が重なった 二人の視線は、解体されていく紋章機に注がれている 「7番機は、他の機体に比べ稼動部位がすくないために保留になっておったのじゃ」 「この7番機にフィールド・キャンセラーを搭載し、推進用のエンジンを追加するわ」 「でも、紋章機はパイロットとの相性が…っ」 「この7番機のH.A.L.Oシステムは他の6機のH.A.L.Oシステムと同化することができるのよ」 「え?」 「だから紋章機にのれる人間なら誰でも動かせるわ。ただし、今回は時間がなくて決戦兵器との調整が間に合わないの… そこで単座式のコックピットを、複座式に改造しているわ」 「複座式?ということは、パイロットは二人?」 「二人、というか…オペレーターをのせることになるのよ。紋章機に本来ないはずの フィールド・キャンセラー、推進エンジン、そしてクロノ・ブレイク・キャノンの管制用にね」 「クロノ・ブレイク・キャノンもつくんですか?」 「そうよ。フィールドがキャンセルされた時点で、そこからクロノ・ブレイク・キャノンを打ち込めば、いくらあの巨大戦艦も一撃のはず…」 「その、オペレーター役というのは?」 ちとせがノアの言葉をさえぎった ノアは、一瞬、むっとした表情をとりながらも 「それもシュミレーションで打ち出したわ。だから、タクトもここに残ってもらったのよ」 「…え、おれ…が?」 「マイヤーズ司令が?」 「そうよ。オペレーターに必要な条件はただひとつ、パイロットのテンションを最高の状態に保てる人間 シュミレーションの結果、1番いいとでたのが、タクト…あなたというわけ」 「ですが、マイヤーズ司令は…っ」 「いいんだ、ちとせ」 タクトが遮る ちとせはハっとタクトの表情を、みた 最初にあったときから、なにひとつかわらない 優しくて でも、どこか悲しい そのくせ 決意に満ちた眼差し 「わかりました。タクト・マイヤーズ。その任務、謹んでお受けいたします」 「すまぬ…タクト…お前も、こんな大変なときだというのに…」 泣きそうな顔で答えたのはシヴァだった タクトは、にっこりと、いつもの笑顔にもどると 「大丈夫ですよ。シヴァさま。俺が一度だってシヴァさまの期待を裏切ったことがありますか?」 「…タクト」 「かならず上手くいきます。だから、ここで俺たちの帰りを待っていてくださいね」 「あぁ…あぁ、それでこそ、わたしのタクトだな」 シヴァの顔に笑顔が戻る そして 「烏丸ちとせ、お前も無事に帰るのだぞ。エンジェル隊が一人でもかけることは、この私が許さぬからな」 「はい、ありがとうございます、シヴァさま…」 「うむ」 「二人とも、すまんの…」 「だいじょうぶですよ、ルフト先生」 「あぁ、あぁ…わかっておるよ、タクト。あとのことはわしらにまかせい。必ず、生きて帰るんじゃぞ?」 「はいっ」 「ちとせをたのむ、タクト」 「わかってますって」
タクトとちとせは、改めて作戦を確認すると、一礼して、謁見の間をでる
…タクトはさりぎわ 「ノア」 「なに?」 「この前、君がいっていた…その、残されたヴィジョンのことだけれど」 「…それが?」 「覚えていてくれて、ありがとう…できたら、どうかそのことを、忘れないでいてほしいんだ」 タクトはそういって、ノアの頭をくしゃくしゃとなでる ノアは 「あなたにいわれるまでもないわ。私の記憶を私がどうしようが、勝手でしょ」 照れたようにぷいと頬をふくらますと、謁見の間の奥へと引っ込んだ 「…うん、…ありがとう」
「マイヤーズ司令?」 「あ、ごめん。今行くよ、ちとせ」
タクトは最後にそう呟くと、謁見の間をあとにした
| 2005年01月17日(月) |
今週は残業WEEK…の日 |
今週と来週は残業強化週間です… 生きていられるんだろうか(遠い目)
第23話「重症焼き肉嘆き放題」
「では、レスターさんの意識はまだ戻らないのですか?」 「あぁ…命に別状はないらしいんだけど」 白き月でタクトのかわりにウォルコットたちを迎えたのは、フォルテだった 「それで、タクトさんは?」 「今、医務室のほうに…」 「中佐ぁ、いってやったほうがいいんじゃねーの?」 ココモがあまり気がのらない様子で声をかけた だが 「いえ、今はやめておきましょう」 ウォルコットは首を横にふる 「中佐…」 「今わたしがいってタクトさんを慰めるのは簡単ですが、それではレスターさんに悪いというものです」 「でもよ…」 「ココモ。それは僕たちが口出しすることじゃなよ」 「だけどさっ、中佐はタクトの親がわりなんだろ?!だったら…」 「だからこそ、だよ。ココモ。親っていうのは子供を甘やかすだけじゃだめなんだ」 珍しく大人の表情でフォルテがたしなめる ココモはしぶしぶ承知した すると、ウォルコット中佐は笑って 「心配してくださってありがとうございますココモさん。事態が落ち着きましたらあとでみんなでお見舞いにいきましょう」 そういって、ココモの頭を優しく撫でた。
医務室 息をきらせながらちとせはそこに駆け込んだ 「烏丸少尉?」 びっくりした顔で、ケーラ女医が声をかける そのうしろ 先ほどの戦闘での負傷者が手当てを受けている、後ろのほうのベット 一箇所だけ、カーテンが締められているところ まっすぐにそこにむかう カラッン 微かに音をたてて、カーテンの内側にはいれば 「…マイヤーズ司令」 「ちとせ…ご苦労さま」 タクトは少しばかり憔悴した顔で、だが、いつもの優しい表情で微笑んでくれた 「クールダラス副司令は?」 「ん…命に別状はないって。とっさの受身がよかったらしい。あとは意識が戻れば問題ないって」 タクトの視線がレスターに戻る 真っ白の医務室のベット 煤や血、小さな傷も綺麗にぬぐわれて、ただただ、眠っているだけのように見える 「もうしわけ、ありませんでした…」 「…え?」 「クールダラス副司令は…わたしをかばって…わたし、わたしが…」 「ちとせ…」 タクトがゆっくりと首を横に振る 「大丈夫、ちとせのせいなんかじゃ、ないよ」 「でもっ…」 「誰のせいでもないんだ。だから、だいじょうぶ」 「しかし…」
「あー、でも、まさかこんな日がくるなんておもわなかったなぁ!」
タクトはわざと大きな声で、ちとせの言葉をさえぎった 「ちとせ知ってる?俺ってさ、学生の頃くらいまで、こうやってけっこう入院することがあってね」 「…マイヤーズ、司令…」 「まぁ、だいたいはレスターが俺を病院につれていってくれたり、手当てしてくれたりしてね。 そんなときはいつだって、俺が病院のベットで目を覚ますと、レスターかウォルコット中佐がいてくれて… あ、そうだ。ちとせはウォルコット中佐とはあったことないんだっけ?」 「ま、まだ…ですが」 「そっかぁ、あとであうといいよ。初老の髭のおじさんで、凄く優しいんだ。エンジェル基地でのエンジェル隊司令だからね」 「はいっ」 「俺の…えっと、親代わりのような人なんだ。チェスが強くてね、でもノーマッドには負けてばかりでさ、少女漫画が好き。 あ、ノーマッドっていうのはピンクのぬいぐるみなんだけど、中身は1万ギガヘルツのCPUなんだ。元ミサイル。ヴァニラと仲良しで…」 「話だけは、ヴァニラ先輩から…」 「あと、ココモでしょ、マリブでしょ…メアリー少佐に…ちとせもきっとびっくりするよ。なんせエンジェル隊に負けないくらい個性強いから、みんな」 タクトはそこまでいっきにまくしたてた そして 「もしかしたら、レスターが起きる頃には、もう最終決戦も終わってるかもしれないなぁ」 ポツリ つぶやき 「そしたら、後始末は全部レスターにやってもらおう。この忙しい時に、まったく… でもそういうと、”普段、俺がやってるお前の分の仕事に比べればたいしたことない”とかいわれそうだ」 「…はい」 「あのころ…俺が目を覚ますと、そこにはかならずレスターがいてくれた …でも、まさか、俺がこうやってレスターが起きるのをまってる日がくるなんて………」 ゆっくりと 声が沈んでいく しばらくの沈黙 なにもいえなかった 声をかけることも その 震える手を握ることさえ 「ごめんね、みっともないとこ…みせちゃって…俺、こわいんだ」 手を組む 震えはとまることなく 「恐いんだよ…俺、しらなかった…まさか、目を覚ますのをまつことが…こんなに、こわいなんて…」 胸が痛む その場から逃げだしたかった あやまったのだし タクトはもういい言う だが ここで逃げることだけは、許されないのだと思った だから
「マイヤーズ司令っ」
ちとせは、その震えるタクトの背中に声をかけた 一呼吸 そして 「クールダラス副司令はきっと目を覚まされます」 「…ちとせ」 「副司令はおっしゃいました、あの格納庫で、わたしに…」 目をつぶる 思い出せるのは、あのときの、真摯なレスターの姿 子供のように感情をぶつける自分に 正直な気持ちを、真剣に答えてくれた
”俺はいつだってタクトのそばにいたし、これからだってずっとそばにいてやりたい… タクトの望むことはなんだって叶えてやりたい…俺は、タクトが幸せでいてくれればそれでいいんだ”
言葉をなぞる そして、目をあけるとタクトの顔をみて 精一杯の笑顔を作った 「だから、マイヤーズ司令が目を覚まして欲しいと望めばすぐに起きてくださいます。かならず」 「…俺が…」 「そうです。だって、クールダラス副司令ほどマイヤーズ司令のことを想っている方を、私は他にしらないんですから」 「…うん、う、ん…ありがとう、ちとせ。そうだな、俺が信じなくちゃ駄目だよな…誰よりも信じなきゃ駄目なんだよな」 タクトは自分に言い聞かせるように何度も何度も呟く ぽろっ すると、タクトの瞳から涙がこぼれおちた タクトはあわててそれをぬぐうと 「と、いけない…ちとせ。ごめん。今のナイショにしといてくれるかな? 俺、どうもレスターの前以外で泣くと、みんなにおしおきされちゃうらしいから」 「はいっ」 二人の顔を見合わせると、一緒に笑い出した
そこへ
「失礼します」 ヴァニラがはいってくる 「あれ?ヴァニラ…」 「ヴァニラ先輩?」 「タクトさん、手を出してください」 ヴァニラはそういうと、タクトの手をとった タクトは首をかしげる するとちとせが 「マイヤーズ司令っ、その手…」 「え、あぁ…あれ?いつの間に…」 タクトの手は火傷でボロボロになっていた あちこち皮膚がやぶれて、血がにじんでいる 「そういえば、なんか、さっきから手の感覚がないなぁ、なんて…あ、いた、なんか急に痛くなってきた…いたた」 「治療します」 パァァァ ヴァニラのナノマシンが光輝き、タクトの手を包む 「もしかして、あのとき…鉄材をどかしたときにっ」 思い出した そうだ、熱であつくなった鉄材の山を素手で掘り返したのは… 「あ、そうか…って、イタタ…」 「だ、だいじょうぶですか?」 「う、うん。ありがとうヴァニラ」 「いえ。本当はあのとき直せればよかったのですが、出撃でしたので…」 ヴァニラはそういいながら、もう一度、ナノマシンを輝かせる しばらくそうやって、治療すると 「とりあえずこれで応急処置は完了です。ですが、後日改めて治療してください」 「…うん、ありがとう、ヴァニラ」 「いえ」 ヴァニラはそういって立ち上がると、出口へむかう その途中で 「それと、ルフト准将から…1時間後に謁見の間に集合するよう言付かっています」 一言つけくわえると、ペコリとお辞儀をして、その場をあとにした
「では、私ももういきます…マイヤーズ司令、またあとで」 「あ、うん。ちとせ…ありがとう」 「いえ…あの、それと…」 すぅ はぁ 深呼吸 そして 「遅くなりましたけれど…わたし、やっぱりマイヤーズ司令とクールダラス副司令はお似合いだとおもいます」 「え?」 「お幸せになってくださいね」 バタバタバタ 最後に笑顔でつげると、足早にその場をあとにした 一気に医務室を出る そして 廊下にでて、人がいないのを確認すると 「はぁ…」 どっとため息 「やっと、いえた…」 その場にうずくまる どっと疲れが襲ってきた だが、不思議な心地よさも同時に心に広がっていくのを感じる
「レスター、きいたか?」 ちとせがいなくなったあとの医務室 タクトはその言葉をかみしめるように、つぶやいた 「ちとせが、俺たちに”幸せになってください”だってさ… お前、ちとせにいったいなにいってるんだよ。俺には普段、なにもいってくれないくせにさ」 思い出す
”俺はいつだってタクトのそばにいたし、これからだってずっとそばにいてやりたい…”
「うん、俺もだよ…俺も…ずっとレスターのそばにいたいよ…」
”タクトの望むことはなんだって叶えてやりたい…”
「だからかな?だから…お前は、ちとせを救ってくれたのか?俺が、喜ぶから? 馬鹿だ…お前はいつも俺のこと馬鹿っていうけど、お前だって馬鹿だよ、レスター」 ぎゅ 日ごろの恨みをこめて、ほっぺたをつねってみる あたたかい 生きているモノのぬくもりが、つたわってくる その心地よさにめをとじて 「でも、ちとせを助けてくれて…本当に、ありがとう…」
”俺は、タクトが幸せでいてくれればそれでいいんだ”
「俺は幸せだよ、ずっと幸せだ…お前のそばにいられるだけで、もう他に望みなんてないんだ…だから」
涙がこぼれた それはポタポタとレスターの頬におちる
「だから、はやく目を覚ましてくれよ…レスタァ…」
| 2005年01月16日(日) |
なんとか終われそうです…の日 |
GA日替わり連載小説も、なんとか終われるメドがつきました がんばりますともv
第22話「翼からボタ餅シャープシューターセット」
ピッピッピッピッー
赤いランプから翠のランプへ
ギュゥン コンソールパネルを操作し、起動ボタンを押す 音をたてて、頭上にある天使の輪が光を増した エネルギーを確認する よし
「シャープシュータ−、烏丸ちとせ。出撃します!」
声とともに、加速装置が働く 次の瞬間、機体は宇宙へと放り出された 背中から押される浮遊感 それを確かめながら、視線を前にむける
『いいかいみんな、今回はタクトが動けない、全体の指揮はあたしとミントでとるよ』 フォルテから全機に通信がはいる 「了解しました」 「わかったわ」 「了解です」 「はい、わかりました」 そこに、情報が送られてくる 戦艦が4機、突撃艦が12機、戦闘機が4機 そして… 『ダークエンジェルが…』 『く、やっかいだねぇ』 紋章機とよくにた機体が6機 『思案していても仕方ありません。二手に分かれましょう。ミルフィーさん、ランファさん、私は上からくる艦隊を フォルテさん、ヴァニラさん、ちとせさんは横からくる艦隊を』 「はいっ」
ドンッ バァン
光の渦があちこちで爆発する その合間をくぐりぬけながら ひとつ
ドンッ
ひとつ
ドッ
確実に破壊していく 調子が良かった
「かえる、わたしは、かえらなきゃ…」
ちとせのその呟きを聞いた人間はいない なぜなら彼女自身にもきこえてはいなかったからだ それを知っているのは、シャープシュータ−だけで
「帰る…なんとしてでも、かえって…そして、マイヤーズ司令とクールダラス副司令に…」
ドンッ
標的がおちた 次を策敵する
「おふたりに謝るんだ…」
見つけた 狙いを定め 撃つ ドッドンッ 2発命中 間髪いれずに、次を準備して ドンッ ドッ 4発目で仕留める
「あやまって、そうしたら…」
心は澄んでいた 不思議だ 焦っているはずなのに 気持ちは いますぐにでも、エルシオールに戻って、タクトやレスターにあいたくて仕方ないというのに 恐いくらいに頭がさえていた
次の機体に標準をあわせる ピタリッ 中心があった瞬間に、1撃、2撃っ 続けざまにぶちこむ 3撃っ 微調整、そしてとどめ
ギュンッ テンションメーターがはねあがったのを横目で確認すると 「いきますっ、フェイタルアローっ」 長砲身レールガンから、青白い閃光が放たれる バンッ あたった 「もう一撃っ、フェイタルアローっ!」 間髪いれずに、次を放つ ドンッ 空間がきしみ、爆発を繰り返す 調子がいい
そこに
『ちとせっ、横だ!』
「え?きゃぁっ」 衝撃 目がチカチカする 爆発音 体中が痛む だが 歯を食いしばって、瞳を開いた 「邪魔をしないで…」 敵の艦影を、捕らえる
「私は帰る…そして、クールダラス副司令とマイヤーズ司令にあやまって… 遅くなってしまったけれど、お二人に…”お似合いです”っていうの、だからっ!!」
そのとき
バサッ
シャープシュータ−の中で、たしかに、ちとせはその音を聞いた 「翼が開く、おと?」 たしかに、そんな音 ありえない話だと思った、ここは真空の宇宙空間なのだから けれど、それはたしかになにかが開く音だった
ピー
「な、に?」 目の前のコンソールパネルの一部が光りだし、それは連鎖を起こしながら広がっていく そして
ピーガガッ…ガー…
音をたてて、シャープシュータの中を新しいなにかが塗り替えていく
「こ、これは…」 画面が新しくなっていくのとともに、光が増し、それはいつのまにかコックピット全体を包んだ 白い光 酷く懐かしい そして、優しい 「まさか、これは…これが…」 そんなことを思っているあいだも、光はますます増えシャープシュータ−全体を包み込み 一瞬だけ塊となり収縮すると、刹那
バサァッ
今度こそ音をたてて、爆発する いや、正しくは開いたのだ 「ひかりの…つばさ?」
話には聞いていた あのクーデターのとき 黒き月のネガティブ・フィールドで窮地におちた、エンジェル隊とエルシオールを救ったという 紋章機の秘められた、力
『ちとせっ』
通信がまいこむ
「フォルテ先輩っ」 『どういうことだい?なんで、光の翼が…』 「そ、それが、わたしにもわからなくて」 『すごーい、どうやったの?ちとせ』 『やるじゃないっ、ちとせ』 「ミルフィー先輩、ランファ先輩」 『ちとせさん、大丈夫ですか?』 「はい、ヴァニラ先輩」 『どちらにしろ、このチャンスを逃すことはありませんわ。ちとせさんを軸に体制をたてなおしましょう』 「了解しました、ミント先輩」
通信をきり、光をたたえるシャープシュータ−に手を伸ばす 「すごい…これが、シャープシュータ−の本当の、ちから…これなら…」 テンションメーターをみる さっき、フェイタルアローをうったのに、まだテンションメーターはMAXを記していた 「力を…かしてくれるの?シャープシュータ−?」 つぶやき その問いに答えるように、シャープシュータ−の輝きが、増す まぶしい けれど、優しい光 「ありがとう…」 ぽたり 涙が、おちた ぬぐう そして
「退きなさいっ!フェイタルアロー!!」
三発目の光の矢が、銀河を駆け抜けた
「光の翼だって?!」 ブリッジになんとか戻ったタクトは、その光景をみた 漆黒の宇宙に、柔らかい白光の翼を広げる六番機 「ちとせ…」 そのとき 「マイヤーズ司令っ!敵の増援です」 「くっ、1番近い紋章機は?」 「トリックマスターとハッピートリガーです」 「トリックマスターのほうが足がはやいはずだ…ミント、聞こえるかい?」 『こちらミント・ブラマンシュ。タクトさん、よろしいんですの?』 通信を開く めずらしく、ミントの驚いた顔がみれた タクトは力なく笑うと 「なんとかね。それよりも…」 『増援ですわね、わかりました。トリックマスター戻ります』 ドッン 「うわっ」 通信が切れるのとほぼどうじに、敵からの攻撃がエルシオールを襲う タクトはその衝撃を、司令席につかまってなんとかやりすごすと 「シールドっ!ピンポイントで!それからゆっくり後退だ!エンジェル隊がくるまで、みんながんばってくれ」 「はいっ」 「了解しましたっ」 ブリッジのあちこちで、返答がくる だが (レスター…) ただいるだけで、安心感を与えるレスターがいないのは大きな痛手だった だが (馬鹿だな、だからこそ、俺がしっかりしなきゃ) 普段怠けている姿を思わせない勢いで、タクトが次々と支持をだしていく ドッ ドンッ 「きゃぁっ」 「うわっ」 衝撃がエルシオールをゆらす 光と音がせわしなく、襲い掛かり
ドゥンッ
ひときわ大きい衝撃が、ブリッジを襲った 「ぐっ」 タクトの体がはねあがり、司令席から放り出される 痛む体をおさえて、たちあがりながら 「どうした?!」 ほぼ、怒鳴るように状況報告をもとめた すると
『おや、めずらしいですねー、いつも一緒のナイト様はどうしたんですか?』
画面いっぱいのピンク、ピンク、ピンク 「え?…ノーマッド?」 『タクトさんだけなんですか?レスターさんは?』 『あ、ほんとだ。めっずらしー』 次々に飛び込んでくるのは 「マリブ…ココモ?」 『そうですよ。嫌だなぁ、タクトさん、僕のこと忘れちゃったんですか?』 『遅れて悪かったよ、だからそんな情けない顔すんなよな、タクト!』 それは、ペイロー兄弟の姿であった 更に二人にかぶせるように映像がうかぶ 『ココモ、マリブッ、戦闘中は戦闘に集中しなさいっていつもいっているでしょう?』 『まぁまぁ落ち着いてください、メアリー少佐…タクトさん、だいじょーぶですか?』 そして その優しい笑顔が、スクリーンに浮かぶ タクトの瞳に涙がにじんだ 「…ウォルコット…中佐ぁ…」 緊張が切れ掛かる だが 『おいおい、タクト…いったいどうしたというんじゃ?』 「な、なんでもありませんよっ」 ルフトの声で正気に戻ると、あわてて涙をぬぐった そして 「よし、反撃だ!!」 タクトの言葉に、希望に満ちた返答がブリッジの至る所で聞こえた
はーい、遅れましたが、アニメ「まほらば」の感想です。 とりあえず、こっちも雑誌とかみるかぎりで心配していた作画が 意外に綺麗でびっくりー。いい感じでした。 というか、あのまほらばの雰囲気がでていて、かなりいい仕上がり ずっとこのレベルなら心配なさそうです。最初の絵本風のやつも素敵だし。 でも、OPないのは仕様なんですかね? (でも、鋼もそうだったんで、次からありそうですが)
第21話「副官の多い寿司」
交代のためにブリッジへいこうとしたレスターは、格納庫でその姿をみつけた 「烏丸少尉?」 「…クールダラス副司令」 「なにを…あぁ、紋章機の調整か」 なんとなく無視をするわけにもいかなくて、ちとせのそばによる 「はい、決戦も、間近ですから」 ちとせはそういって、紋章機の整備の手をとめようとはしない 「がんばるのもいいが、あまり根を詰めすぎないようにな」 その必死の姿と形相に、なにかただならぬものを感じて、レスターは呟いた すると 「…ご忠告ありがとうございます。ですが、いまがんばらなければいつがんばるというのでしょう?」 かなり棘のある言葉が返ってきた (なにか気に障ることをいったか…) しまった と、思ったときにはもう遅い 「クールダラス副司令こそ、早くブリッジにいかれたほうが宜しいのでは?」 (どうも、タクトのように上手くはいかんもんだな) ため息 こういうときは、少しだけ、お気楽能天気な相方を尊敬したりもする そのまま ”すまなかった”と一言あやまって、さっさとその場をあとにすればよかったのだ だが レスターのため息に、さらに苛立ちを募らせたちとせの言葉が一瞬早く、でた 「マイヤーズ司令がお待ちですよ」 むか…っ あまりの言われように、流石のレスターもカチンときた 「君にそこまでいわれる筋合いはないはずだが?」 「…っ」 売り言葉に 買い言葉 二人のただならぬ気配に、整備班班長クレータをはじめ、まわりのスタッフが非難をはじめる 「それに、俺たちのことは君には関係ないだろう」 「…関係なくなんてっ、マイヤーズ司令は私たちの司令官です」 「だからといって、君に心配される必要もないし、口をだされる必要もない」 「………っ」 「それに今は仕事中だ、個人的私情をはさむのは関心しないな」 「私情なんてはさんでいませんっ」 ちとせの声が、格納庫中に響く 物陰からソノ様子を見守っていた格納庫スタッフが身を縮めるほどの怒号であった 「ふぅん?」 「私は、ただ…マイヤーズ司令が心配なだけで…」 言葉が上手くでてこない 「それを私情というんだと思うが?」 「ちがいますっ!」 必死になって否定する姿に説得力はなく なく …はぁ レスターはもう一度ため息をついた そして 「あぁ、わかったよ。すまないな、こういう言い方しかできなくて」 折れた。 そのままもう一度”すまない”と謝ると 「じゃぁ俺はもういくから…それと、わかっていると思うが、紋章機には体調も関わる。休養はとるように…」 クルリとむきをかえ、さっさと出口をめざす 「どうして、ですか…?」 その歩みをとめたのは、声 「ん?」 「どうして、私のような人間に、ここまでいわせておいて、それだけですませられるんですか?」 言っている意味がよくわからなかった そんなことを思っていると 「私のような新人にここまでいわれて、どうして罰則もなにもなしで…」 「…」 「私が…反対なんかしたから、お二人はなかなかお会いになることもしなくなったのに…どうして…」 言葉を捜す 今度は少し慎重に 流石に、さっきの二の舞はごめんなので それ以上に 彼女の問いに、精一杯答えるために 「タクトのためだからな」 「え?」 「普段冷静な君がそこまで怒るのは、つまり、それだけタクトのことを大事にしてくれているからだろう?」 言葉を紡ぐ 慎重に 「意見が食い違うのは、人間だから仕方ないが…それが、タクトのためになることなら、俺は別になんだっていいんだ」 誠実に 本当の気持ちを 「俺が許せないのは、タクトに危害を加えるモノだけだしな」 「マイヤーズ司令に…?」 「あいつはあれで、自分には無頓着な部分があるからあぶなっかしくてな」 やれやれと 「だから、タクトを利用しよとしたり傷つけたりするような言葉や行動には容赦はしない だが、誰かがあいつのことを思って行動してくれる分には干渉しない」 「…」 一度として、その瞳は、そらされることなく
「俺はいつだってタクトのそばにいたし、これからだってずっとそばにいてやりたい… タクトの望むことはなんだって叶えてやりたい…俺は、タクトが幸せでいてくれればそれでいいんだ」
「クールダラス副司令は…」 「ん?」 「クールダラス副司令は、それでいいんですか?ご自分のことは…」 「俺のことは、タクトが幸せにしてくれる…らしい(笑)…期待は、してないがな」 「………」 「俺の幸せは、タクトの幸せ。タクトの幸せは、俺の幸せ。 俺たちは今までそうやって生きてきたし、これからだってそうやって生きていく」 言葉はかえってこなかった ふと、視線をあげると
ぽろっ
「なっ;」 ちとせの瞳から、涙がこぼれている 「そんな…」 声が 「ちょ…おい、烏丸少尉っ」 慌てた エンジェル隊を泣かせた なんてことが、タクトにばれたらとおもうと、流石のレスターも青くなる
「そんな…おふたりに、なんて…わたし、勝てないじゃないですか…」 小さなちとせの、つぶやき 言って、じぶんでも、びっくりした 飾り気のないレスターの言葉 だが、それが逆に心に響いた そうだ もう、納得していたんだ ただ、認めたくなかっただけなんだということを ずっと ずっと… だって、タクトは似ていたから それが、恋人にとられてしまうようで ただ、寂しくて、認めようとしなかった それだけなんだと 自分でやっとそのことに気づく
「あぶないっ」
思考を遮ったのは、そんな怒号と騒音だった
何かが崩れる音 そして、遅れて届く ビービービーッ 警報 「な…、に?」 バタバタバタ 人が走りまわる、おと そして、赤 赤、赤、あか、赤… 「え…?」 それが、炎だと気がついたのはいつだったろう 随分と長い間、そこに座り込んでいた気がする
『敵襲…エンジェル隊は紋章機で出撃してください…敵襲…各クルーは持ち場に…』
放送 そして 「敵?あ、…うそ…っ」 それが、敵の急襲による攻撃でおきた事態だと認識する 艦内放送はせわしなくながれ、出撃を要請していた 消化班や救護班、そして、紋章機の出撃準備を整ええる整備班 「そうだ、出撃…っ」 強い衝撃に打たれて、まだ、あちこち痺れる体を動かす 少し痛むが大丈夫 確認しながら、手をつく 手をついて 立ち上がり 出撃をしないと…
ベチャッ
「…?」 滑った 手が上手くつけない 「え?…な、に」 不思議に思って、目を向ける
赤
一面の、赤い絨毯
「…?」 わけがわからない ここは格納庫で 床が赤い、なんて だから 最初、それは、エマージェシーの赤いランプの色を反映しているのだと、思った この辺りに立ち込める鉄の匂いは 先ほど、落ちてきた鉄材の匂いなのだ そうだ そうに、きまっている でなければ
「ぁ、う…そ、うそっ」
で、なければ そこで 直前まで、自分がいたソコに、かわりにいる人は誰だというのだろう? あのとき 『あぶないっ』 そういって、自分を突き飛ばした人間が誰だったと? 鉄材の下で そんなことはない そんなことは、あってはならない あってはならいのだ そうでなければ 落下した鉄材の下に見えている、手は…
「クールダラス副司令っ?!」
絶叫 「うそ、うそぉっ、いや…へ、返事を…してくださいっ、クールダラス副司令っ、副司令っ」 駆け寄ろうと、した した、が 手が滑って動けない 動かない 「いやです、いやっ…そんな、だれか…助けて、タスケテクダサイッ、副司令がっ」 ずるっ べしゃっ 立ち上がろうとする 血がまるでぬかるみのように足をからめとり 前のめりに倒れた
「いやぁぁぁぁっ」 「ちとせっ?」
声が、届く それは それは、この場に、一番いて欲しくない人の声だった
「ちとせ、無事か?」 「マ、マイヤー…ズ、しれ…」 隠そう 一番最初に思いついたのは、その考えだった あわてて、手を後ろに隠す だが、床に広がる血の絨毯をかくせるわけはなく 「…え?」 タクトがそれに、気がついて…
ガシャンッ ガラン
そんな音で気がついた 音は自分の背後から うしろを、むく ここ数週間でずいぶんと慣れ親しんだ背中 どこか、父ににている、その人の後ろ姿
ガシャンッ ガラガラ
彼はなにかを…探している 鉄材を崩しながら… 熱くは無いのだろうか? いや、熱いはずだ 攻撃で落ちてきた鉄材は、火災で熱されて それを 素手で… 「…ぁ」 「レスターっ」 言葉は、彼の声で遮られた
「息が…っ、レスター、レスタァッ!!」 ガラッガラガラッ 音をたてて、その鉄材の山から長身の体を引きづりだす 救護班がかけつけてくる そこに 「だいじょうぶ、息はあります…落ち着いてください、タクトさん」 声 ヴァニラは、レスターの呼吸と脈を確かめてそういった 「でも…っ」 「大丈夫ですっ!」 タクトには、それがなにか、最初わからなかった 「意識はありませんが…声をかけてあげてください…」 優しくそういわれて、やっと、今のが、ヴァニラの怒鳴り声だったのだと知る 「…うん…う、ん…レスタァ…」 言われてやっと、タクトはレスターの顔に手を伸ばす いつもの端整な顔が、汚れて、若干青みがかかり、胸を締め付けた だが、触れた肌は暖かくて あかたたかくて… 薄い皮膚を通じて、微かに血の動きが伝わってくる 「よか、った…れすたぁ…」 涙がでた
「ちとせ?!」 放心していたちとせに声をかけたのは、フォルテだった 駆け寄ってくる ミルフィー、ミント、ランファ エンジェル隊がそろう だが 「わ、たし…わたし!!」 「どうしたの、ちとせ?!」 「なにがあったんですの?」 「わたし、わたしの…せ…ク、クールダラス、副司令…が、かばって…わたしっ」 ブルッ 震えが、きた それは瞬間、体中に伝わる ガクガクブルブル とまらない 「わ、たし…あ、あぁ…わたしっ」
バンッ
平手打ちはミルフィーユから 「ちとせっ、しっかりして!」 「…せ、んぱ…」 「しっかりしなさい、烏丸ちとせ!」 「…は、はい、はいっ」 コクコク 迫力におされて、うなづく 「わたしがわかる?」 「…はい、わかります、ミルフィー先輩」 「よし」 ミルフィーは笑うと立ち上がった そして 「ちとせ、出撃だよ」 「で、でも…クールダラス副司令が…」 「レスターさんのことは、タクトさんにまかせるの」 「そんな…でもっ」 「ちとせ!」 「は、はいっ」 「シャープシューターには、ちとせしか乗れないんだよ?」 「…っ」 「そして、戦えるのは紋章機しかない。わかる?」 「はい、わかります」 うなづいた 立ち上がる 今度は、ちゃんと立てた 震えも、いつのまにか、止まっている 「ちとせ、自分のしなければいけないこと、わかる?」 「はい、ミルフィー先輩」 深呼吸 瞳をあける
フォルテが見えた タクトに声をかけている ランファが見えた 出撃調整をしながら、それでも心配そうにこっちをみてくれる ミントが見えた ヴァニラに声をかけている ヴァニラが見えた 残って救助に参加したいだろうに、それでも出撃準備にむかっている そして ミルフィーユ
「烏丸ちとせ、出撃します。エルシオールと白き月を護りにいきます」
すいません、あからさまにペース配分まちがえてます; ちょっと詰め込みが続きますが、最後まで全力疾走の方向で!
第20話「しんそうねこまんま」
本当に欲しかったものは…
「あれ?ちとせだ」 ミルフィーは味噌を溶かす手をとめる バタバタバタ 普段はおちついているちとせが、なにやら必死の形相でかけぬけていったのだ どんなに忙しくても、かならず自分にあったときにはあいさつをしてくれるのに そんなことを思っていると 「どーしたんだい?ミルフィーユちゃん」 冷蔵庫から追加の食材をもってきた食堂のおばちゃんがたずねてきた 「え…あ、なんでもありません」 ミルフィーはあわててそういうと、止まっていた手を動かしだす 「すまないねぇ、決戦前でいそがしいっていうのに」 「そんなことありませんよ。お料理大好きですし、おばちゃんにはいつも世話になってますから」 「そういってもらえると、助かるよ…」 そこへ 「そうだよ、おばちゃん。ミルフィーは料理をつくってるときが一番幸せなんだからね」 声をかけたのは、フォルテであった いつきたのか、カウンターに肘をついてこっちをみている 「あ、フォルテさん」 「いい匂いがするねぇ、今日の宇宙日替わりメニューはなんだい?」 「えっと、ごはんにお味噌汁、メインが宇宙イセエビチリソースかけスペシャル、それから筑前煮にお漬物です」 「お味噌汁はミルフィーユちゃん特製だよ」 「そいつはたのしみだ」 フォルテはかかかと豪快に笑った ミルフィーは 「あの、フォルテさん。さっきちとせが凄い勢いで走っていったんですけれど」 「あぁ、なんでも面会人がきたらしいよ?」 「お客さんですか」 「親父さんの知り合いらしい」 「なるほど、そうだったんですか」 納得して、ミルフィーは再び味噌汁に神経を集中させる フォルテはその様子を満足そうにみつめながら 「そういえば、フォルテさんはどうしてここに?」 味噌汁の準備がおわり、宇宙イセエビの下準備を始めたミルフィーがやっと気づいたように口にだした 「いや、特に理由はないよ。ミルフィーが食堂にいたんでなにしてるのかきになっただけさ」 「そうですか」 「よかったらなにか手伝おうか?」 「あ、ほんとですか?だったら、ちょっと頼みたい力仕事があるんですけど…」 ミルフィーはそういって、パタパタと奥のほうへ引っ込む その後姿を見守りながら 「フォルテちゃん、なんかあったんじゃないのかい?」 亀の甲より年の功、食堂のおばちゃんが鋭い問いをなげた フォルテはミルフィーがまだ戻ってこないのを確認すると 「…ちょっとね。タクトが忙しそうだから代わってあげたのさ」 「マイヤーズ司令が?へぇ、あの司令さんでも忙しいってことがあるのかい?」 「あはははは、あれでもタクトはよくやってるんだよ。ただ、今回ばかりはちょっと新人の力になってやってほしいからね。 本当はアイツも自分で見回るつもりだったんだけど、無理矢理かわらせたのさ」 「優しい娘たちだねぇ、あんたたちは…」 おばちゃんがしみじみと呟く フォルテは照れたように笑った、そこへ 「おまたせしました。フォルテさん、この宇宙チリソースをですね…」 「おっけーおっけー、このフォルテさまにまかせておきな」
「あら、ランファさん」 コンビニでランファはそう声をかけられた みると、駄菓子コーナーに白い耳 「なによ、ミントじゃない」 「ごきげんよう。ランファさんはなにをお買いになられたんですの?」 ミントはにこやかにわらって、ランファの買い物袋の中をみる そこには 「宇宙激辛清涼飲料?」 「はいー、大人気のー商品なんですよーとくにーフランボワーズ中尉にはーよく買って頂いていますー」 どこか不思議に間の抜けた宇宙コンビニの店員の声が説明をしてくれた 「い、いいじゃないっ、人がなにをかおうとっ」 ランファはミントから袋をとりもどす 「飲み物、ということはランファさん、またトレーニングですの?」 「悪い?もう決戦前なんだから、占いだなんだとかしてるわけにはいかないし、司令官がアレだからあたしががんばらないとね」 「クスクス…ランファさんらしいですわ。そういえば、その司令官がなにをなさっているかご存知で?」 「え?あぁ、そういえば…ちとせのおとーさんの知り合いとかいう人がきてるからとかいってたわね」 「あら、ご存知だったんですの?」 「あったりまえじゃない、艦内のことで私の耳にはいってこないことはないのよ」 ランファはふふんと、自慢そうに髪をかきあげる ミントはその様子をほほえましくみながら 「でしたら、ランファさんにフォローの必要はありませんでしたわね」 「フォローって?…あぁ、白き月と黒き月のことね」 「えぇ…」 二人は同時に、先ほど、白き月の謁見の間であった出来事を思い出す
シャトヤーンとノア 二人の「月の管理者」が発動させたのは、白き月に封印されていたEDENとヴァル・ファスクの戦いの歴史であった 先代文明EDEN その高い科学力をもっていたが故に、ヴァル・ファスクと戦うことを余儀なくされた先祖 番人たる双子、楽園を囲み輪舞を踊る それは「白き月」と「黒き月」という二つの巨大な兵器工場を生み出した 「白き月」は人が管理する 真白は不確か、されど無限 人の心やテンションといった不確定要素を取り入れるがために無限の可能性を生み出す「白き月」 「黒き月」は機械が管理する 漆黒は確か、されど有限 逆に人をいう不確定要素を完全に取り払い確実な成果を発揮するが故にその限界が限られる「黒き月」 二つの兵器工場は互いに競い合い成長し そしてその「融合」によって、究極の兵器を生み出すためのモノであったのだ
「べっつにもう驚かないわよ。半年前に”実は白き月は兵器工場でした”っていわれた時点でね」 「それもそうですわね」 「なによ、あんた、あたしたちのフォローなんてして歩いてるの?」 ランファはやれやれとあきれた声をだした ミントは、やっと決めたのか、いくつかの駄菓子を買い物カゴにいれながら 「タクトさんの代理ですわ」 「タクトの?」 「タクトさんは今、ちとせさんといっしょにちとせさんのお父様の部下という方にお会いしに行っていますの でも、本当はその合間に、わたくしたちのフォローにまわられるつもりだったんですわ」 「馬鹿じゃないの?普段働いてないんだから急にそんな動き回ると、どっか壊すわよ」 アノ馬鹿、とランファが呟く それは酷く優しい響きで ミントはその言葉に気持ちよさそうに耳をかたむけながら 「えぇ。そうしたらフォルテさんが反対されまして…。表向き、ちとせさんの助力に全力を注いでほしい。ということで納得していただきました」 「ふーん…」 宇宙コンビニ店員のありがとーございますーという声とともに、二人はコンビニを出た
クジラルーム ヴァニラはサクサクと砂浜を歩いていた 見えてくるのは管理人室 だが、そこへたどり着く前に 「あれ?ヴァニラさんじゃないですか」 先に自分をみつけて、声をかけてきてくれたのは 「クロミエさん、お久しぶりです」 「はい、おひさしぶりです」 にこにこと、クロミエが近寄ってくる 「今日はどのような御用ですか?」 「ムギムギたちをお散歩に…最近、忙しくてかまってあげられなかったので…」 「そうですか。それはムギムギたちも喜びますよ」 クロミエはにこにことそういって、ムギムギたちがいる温室の鍵をかしてくれた 「もうじき決戦なんですね」 「…はい」 「そういえば、宇宙クジラがびっくりしていましたよ?」 「え?」 「”災厄が目の前にあるというのに、この船のクルーの心は穏やかで静かだ… しかし、諦めているわけでもない…実に不思議”とね」 「…たしかに、正体不明の敵は恐いです…ですが」 ヴァニラは視線を宇宙クジラのいるビーチへむけた 「勝つためにこの船のクルーすべてががんばってくれています。だから…」 「勝てる見込みは?」 「いま、シャトヤーンさまとノアさんがお話を…きっとなにか活路はあるはずですから」 そこへ 「うきゅぅー」 飛び込んできたのは 「あ、こら駄目だよ、子宇宙クジラ」 ぺしり ヴァニラに飛び込んできた子宇宙クジラをクロミエがおさえる が 「かまいません…」 ヴァニラはそういうと、子宇宙クジラをなでる 「うきゅぅうきゅ…うきゅー」 「すいません」 「子宇宙クジラは寂しいのかもしれません」 「え?」 「タクトさんが、いそがしいから…」 「…ヴァニラさんも?」 「わたしは…」 つぶやかれた言葉 子宇宙クジラがヴァニラの手をはなれる そのまま、ヴァニラがむかうムギムギたちの温室へとんでいく ふたたびあるきだしながら 「寂しくなんてありません…ただ、タクトさんが無理をされていないか、それだけが心配です」 「…」 「私の力は心まで癒してあげることはできませんから」 「だいじょうぶですよ」 そんな会話をしていると、温室の前についた クロミエが鍵をつかって、扉をあける 「きっと、だいじょうぶですよ…根拠は、ないんですけどね」 扉をあけながら、ふりむく いつも優しいクロミエの笑顔 その笑顔にヴァニラもつられた 「…はい、わたしも、そう思います」
本当に欲しかったものがある
「ちとせ?だいじょうぶかい?」 「あ、はい」 声をかけられて、正気にもどる 「だいじょうぶです」 「そっか」 「マイヤーズ司令こそ、私なんかよりも、みなさんを見回らなくても…」 「あぁ、いや、それはフォルテがやってくれるらしいから」 「フォルテ先輩が?」 「あぁ、”中途半端な努力より、全力でひとつのことにとりくみな!”だってさ」 そのタクトの言い方があまりにも似ているので、やっと笑いがこぼれた そこへ 「失礼します。ヒュウガ少佐をおつれしました」 扉が開き、中にはいってきたのは、初老間近といった男 「失礼いたします。ヒュウガです」 「遠いところをご苦労さまです。ようこそエルシオールへ。俺が司令官のタクト・マイヤーズです」 めったにきけないタクトの社交辞令に耳をかたむけながら、その男へ視線をなげる どこかであったことがあるか?といわれればあるような ないような… そんなことを思っていると 「彼女が?」 「そうです。彼女が、烏丸ちとせ少尉です…ちとせ?」 「あ、はい…っ」 名前を呼ばれて、あわてて頭をさげた ヒュウガ少佐は酷く優しい視線をむけていて それは、まるで 「なるほど、あなたが…面影がお父様にそっくりだ」 「ありがとうございます…」 「お忙しいところにお邪魔して申し訳ない、ですが艦長のお嬢さんがエンジェル隊にいらっしゃるとききまして…」 「いえ、かまいません。それで、お話というのは…?」 「失礼ですが、ちとせさん…あなたは、お父上のことをどこまでご存知ですか?」 「…父のこと、ですか?」 「其のことで、実は…私はあなたに謝りたかった」 「え?」 今まで優しく微笑みをたたえていたヒュウガ少佐の顔が悲しみで崩れる 鼓動が ウルサイ… 「謝ることで許していただけるとはおもっていないのですが…しかし…」 「聞かせてくださいっ」 「え?」 「父のこと…とうさまのこと、どうか、教えてくださいっ」 「ちとせ…」 ヒュウガ少佐の重い口が開く ドキドキ 「………あの事故は、整備班のミスが原因でした…」 どきどき… 鼓動がうるさい 話が聞き取りにくい ヒュウガ少佐は、その時の状況をできるだけ詳しく説明してくれているというのに ドクンドクン 鼓動が… 「艦長は最後まで全員が無事に逃げられるよう全力をつくされました…わたしが…」 うるさくて 「私が…あの最後の瞬間…艦長を無理矢理にでもつれていっていれば…」
父さま… 優しい父さま 大好きだった 大好きで 嫌われたくなくて いつだって良い子にしていた ぬいぐるみを 私が欲しいといってねだった犬のぬいぐるみを 届けてくれた 責任感の強かった、ひと… 自分が死んでも わたしに、ぬいぐるみを… 優しい 大好きな でも、だからこそ わかるのだ
「ちとせ…」 「だいじょうぶ、です」 声が震えた だが、涙はこらえた 大丈夫だ 顔をあげる 「父のこと、話してくださって、ありがとうございました」 「…ちとせさん」 「だいじょうぶ、です。わかっています…父は軍人でしたから…立派な軍人でしたから」 そうだ 立派だった父さま 最後まで 仲間を護るために命をかけた 「わかっています。だって、私の大好きな父さまですから…父さまは誰も恨んでいませんし、私も誰も恨みません」 わたしだってそうだ 命をかけたい 大好きなエンジェル隊の先輩たち そして 今、この瞬間でさえも、隣りにいてくれるマイヤーズ司令 新人の自分にも分け隔てなく接してくれるエルシオールのクルー 威厳をもちながらも優しいシヴァさまに、シャトヤーンさま そんな、自分の大切な、全ての人たちのために
命をかけて戦いたいと
思った
遅いですが、アニメ版「ネギま!」の感想。第一回。 とりあえず、ネギ先生かわいいです。でも出番すくないなぁ。 原作はとりあえずネギ先生視点で進むのに、アニメは、アスナ視点だったためか 嫌にネギ先生の出番が少なく感じました…。 赤松せんせPUSHのOPは確かにいい感じです。大好きですv でも、EDのカモくんの動きも大好きだ(とりおまてぃっくみたいで) 後半はそれでも、魔法の出番とかもあったんで、それなり。よかったよかった。 やっぱり魔法シーンはアニメでみると迫力ありますよねv あと、すごい彩色が綺麗です。(液晶でみたせいかもしれませんが) 正直、アニメ雑誌とかのカットだと不安だったんですが、やっぱ実際に見ると ちがいますね。 次回もたのしみっす。
第19話「懐古御膳」
カフカフの樹の下でミルフィーユをみつけた 「あ、タクトさん」 「ミルフィー。なにしてるの?」 ザワザワ 空気循環のために吹く風が、樹をゆらす それはやわらかな光と影の幕をつくりだして 「お祈りしてました。みんなが、無事でいられますようにって」 「そっか。よし!俺も祈ろうかな」 手を組み目をつぶる 1000年に一度だけ花をつけるカフカフの樹 みんなでお花見をしたのは、つい半年前のこと 「…また、みんなでお花見がしたいです」 ふいに、ミルフィーが呟いた それは語りかけるような それでいて、どこか、自分に言い聞かせているような 「この木の下で…ランファやミントやフォルテさん、ヴァニラ… もちろん、タクトさんにクールダラス副司令も…それから、ちとせ… みんなでわいわい楽しく…私、腕によりをかけて美味しい料理を作りますから… みなさんに”美味しい”っていってもらえる料理、たくさん作りますから それを、みんなで…食べたいです」 「ミルフィー…」 「戦うのは嫌いです…あのときだって、本当は誰も失いたくなかった…」 そのとき タクトはミルフィーが祈る手の中に握りしめているものに気がついた 赤い 赤い薔薇の押し花 「…ごめん…」 言葉が続かなかった ふんわり 暖かい手が触れる かすかなお菓子の匂い 「そんな顔しないで下さい、タクトさん。私たちは戦いにいくんじゃありません。みなさんを護りにいくんです」 「…うん、そうだ。ミルフィーのいうとおりだ」 「はいっ」 小さくガッツポーズ そして最後に、彼女はこうつけたした 「でもタクトさん。ここで泣かないで下さいね…タクトさんが泣いていい場所は一箇所って決まってるんですから」
トレーニングルームにはランファがいた 「あ、タクト」 「やぁランファ。あいかわらず精がでるね」 「あったりまえよ。もう決戦なんだもの。気合いれなきゃ!」 ランファはそういって、バンバンとサンドバックをなぐると 「そうだ、タクト。あんたもやる?」 「…え、あー、いや。俺はいいよ」 「そう?すっきりするわよ。その辛気くさいのもぶっとぶほどにね」 パァン 豪快なパンチが炸裂 その音を聞きながら 「俺、そんなに辛気臭い顔、してるかな?」 ミルフィーにもいわれたんだけど、とつけたした と 「気づいてないの?重症ね」 やれやれ はぁとため息をつきながらそういって、ランファは手近にあったスポーツドリンクに手を伸ばした 「いっとくけど、ここで泣くのは許さないよ」 「…ぅ」 「あんたが泣いていいのは、ここじゃないんだからね」 ガコン 空いたスポーツドリンクの空瓶をゴミ箱に放り込む ナイスシュート 「ふふん♪さてと、次はなにやろうかなぁ」 ランファは上機嫌に鼻歌まじりでトレーニングマシーンを見回していく 「あんまり根を詰めるなよ」 「だいじょーぶよ。それにこれくらいで根をあげてるとどっかの熱血野郎に涅槃で馬鹿にされそうだし? ”情けないぞぉ!ランファ・フランボワーズ!我が終生のライバルよぉぉぉ!”とかいってね」 「あははは、に、似てるなぁ」 「ま、全部このランファさんにまかせておきなさいよ!ミルフィーもミントもヴァニラも、フォルテさんも ちとせも…もちろんクールダラス副司令vも。バッチリ護ってあげるんだから」 「うん…うん、頼むよランファ」 「ま、あんたはどうでもいいんだけど、あんたがいなくなるとミルフィーとかが悲しむから…仕方ないわよねぇ」 「俺はオマケかよ?!」 「あははははは」 もうしばらく、ランファがトレーニングに励む様子を見届けると 新しい差し入れのスポーツドリンクをベンチにおいて、トレーニングルームをあとにした
ミントがいるのはティーラウンジだ 「あまりあの方のことばかり考えていると、またクールダラス副司令が嫉妬されますわよ」 開口一番 「ミント…たのむから、もうちょっと歯に衣をきせたような言い方をさ…」 「ふふ、今更ですわ」 ミントの前の席に座る 紅茶がゆるゆると温かい湯気をあげていて 「タクトさん。もちろん私の前でも泣くのは厳禁ですわよ」 「…みんな厳しいよ」 「タクトさんがつかんだ幸せに比べれば、ささいなことですわv」 「………ミントはさ」 その先を 言葉にするのをためらう 言ってしまうと、止められなくなる気がした すると 「クーデターのときのことを、後悔はしていませんわ」 「…」 「あれはあの方たちが選んだ道ですもの」 こんなときはとくに、ミントの能力をありがたく感じる 「そう、だね。ごめん、変なこと聞いて」 「いいえ。こうして、どなたかと話ながら、自分の考えを整理するのもいい暇潰しですから」 にっこりとミントが微笑んだ その笑顔に、どこか救われる 「タクトさん、どんなに理想を説こうと、結局、人は自分ひとり分の毎日しか生きれませんわ」 「…」 「でしたら、やはり…月並みですが、その毎日を生きることが一番の供養というものです。 亡くした人に思いを馳せるのも結構ですが、だからといって、そばにいる大切な人を失わないようにしてくださいね」 「…うん、ありがとう」 その短い一言に精一杯の感謝をこめていうと、席をたった だから 去ったあとで、ミントが呟いた言葉は、タクト自身もしらない 「…そう、人にいうのは簡単なんですけれど………わたくしも、まだまだですわね」
銃声の響く射撃場にはフォルテがいる 「やぁ、司令官殿」 ダァン 銃声とほぼ同時の言葉 「フォルテ…」 「おや、めずらしいね?タクトでもそんな神妙な表情ができるのかい」 クックックッ シニカルに笑われる 「フォルテもきっついなぁ」 はぁ ちょっとばかり回る順番を間違えた気がしてきた ダァン ダァン 「なにがあったのか…聞いてやってもいいけど、ここで泣くのは許さないよ」 「わかってるよ。俺がないていい場所は決まってるんだろ?」 そのとおり!という言葉のかわりに銃声 ダァン ひとつ 「ふふ。拗ねなさんなよ。あんたを慰めることはできないけど、そのかわり、このあたしがみんなを護ってやるからさ」 ダァン 「期待してるよ。フォルテ」 「フォルテ様だろ?」 「はいはい、フォルテさま」 ダァン 最後の一撃 ガシャン バラバラ 手際よく古い弾をすて、新しい銃弾を詰め込む その動作にみとれながら 「タクトも一発、打ってみるかい?」 「今日は遠慮しておくよ…」 「そうかい…銃はいいよ。一発撃つたびに震動が伝わってくる」 ダァン 「この一撃」 ダァン 「一撃が…」 ダァン 「命の重みなのさ」 「…命の?」 ダァン 「そうだよ。この一発には、撃たれた誰かの命と、その失われた命によって護られたあたしの命と… そして、あたしが生残ったことで助かる仲間たちの命…その全てが詰まっているのさ」 「…」 ダァン 「生残るためにはそういう選択をしなくちゃいけないこともあるんだよ。大事なのは… そのときの気持ちを忘れないってことだ」 ダァン 最後の一発が的にすいこまれていくのを見ながら ただただ、その言葉に耳を傾けていた
医務室ではヴァニラとケーラ女医が珈琲を飲んでいた 「ヴァニラ」 「タクトさん、見回りですか?」 「うん。ケーラ先生。おひさしぶりです」 「マイヤーズ司令も元気そうでなによりだわ」 椅子のひとつに座ると、ヴァニラが新しい珈琲をもってきてくれる それを受け取るときに 「タクトさん」 「ん?」 「ここで泣くのは駄目です」 ブゥッ 吹きだした 「ヴぁ、ヴァニラ???」 「と、タクトさんがきたら言うように、みなさんから言われました」 「…はい」 がっくりうなだれて返事 「あははは、あいかわらずねぇ」 「笑い事じゃないですよ。ケーラ先生…まったく、ヴァニラにまで根回しするなんて」 ヴァニラが笑うケーラ女医のとなりに戻る 「わたしはよくわかりません…」 つぶやき だが、その言葉の芯には、不思議と決意のようなものがあって 「わかりませんが、お話をきいてさしあげるくらいならできます」 「…ありがとう、ヴァニラ。でも大丈夫だから」 「そうですか」 「うん、ちょっと…無くしたモノの重さに今ごろ気づいて、俺が勝手に驚いてただけ」 「驚かれたのですか?」 「そう。自分でもびっくり…でも、もう大丈夫だよ」 「問題ありませんか?」 「問題ありません」 ヴァニラのいつもの口調を真似してみる すると、彼女はキョトンとした表情を作り (あ、やば…はずした?) そう、おもったそのとき 「…似ていません」 クスクス 小さく、笑ってくれた
「…マイヤーズ司令?」 ちとせは足をとめてつぶやく 彼はそこでぼんやりと宇宙をみていた 「あぁ、ちとせ。寝ないのかい?」 声をかけられたことに気がついて、タクトが振り返る 「いえ、ちょっと…紋章機の調整にとまどいまして」 「そっかぁ、あいかわらず熱心だね」 「わたしは、経験が浅いものですから…マイヤーズ司令こそ、おやすみにならないのですか?」 「…うん?」 タクトはあいまいな返事をかえすと、再び宇宙を見上げる 見えるのは 「白き月…もうすぐですね」 「あぁ…白き月に帰ったら………」 言葉は続かなかった なにか考えているのかもしれない いや、ちがう 暗い艦内 星と月の光をうけるその姿はまるで… まるで 「マイヤーズ司令?なにか、あったのですか?」 「え?」 「あ、いえすいません…その、泣…沈んでいらっしゃるようなので」 泣き出しそうで、といいかけた言葉を寸前で飲み込み なんとか別の言葉で取り繕う と 「あはははは、ちとせにもバレちゃうか…重症だな」 タクトは困ったように笑った 「ちょっとね、半年前のことを思い出していたんだよ」 「…クーデターの?」 「そう、シヴァ様をかばって銀河をわたって…最後にはやっぱり、この白き月へ帰ってきて… そのときも”白き月に帰ればなんとかなる”って思ってたんだよなぁ」 「今回は…どうでしょう?」 思い出を懐かしむタクトをみていたら なぜか、ふいに、そんな言葉が口をついて、でた 不安で でも、けっして口にはだせなかったこと それが、なぜか、あっさりと 「この戦いに勝てるか?…か。そうだなぁ…」 うーん タクトは少し考えると ゆっくりと、ちとせの顔を、みて 微笑み 「それは、ちとせ次第かな」 「え?」 ドクン 鼓動 どきどき、する あまりにもソレがうるさくて その答えの意味を聞き損ねる 「さてと、もう寝なきゃね。ちとせもゆっくりお休み」 「マ、マイヤーズ司令!」 背伸びをして、去りかけた後姿に声をかけた 「ん?」 タクトはたちどまると、不思議そうな顔でこっちをみている だから 「その…泣きたいときは、泣かれたほうがよろしいかと思います」 「…え」 「私…わたし、なにもできませんけれど、話をきいてさしあげるくらいのことしか、できませんけれど… 精一杯がんばりますから…だから、そんな悲しい顔、なさらないでくださいっ!」 声は 言葉は 通路中に響いた 馬鹿だ いくら夜中といえど、ここは艦内で しかも通路の一角で 他に誰か通るかもしれないというのに そんな後悔が、ぐるぐる自分の思考を圧迫しはじめると 「ありがとう、ちとせ…」 「いえ…」 顔があげられない だから、タクトの表情はわからなかった 「クーデターの時にね、高い理想をもっている人がいたんだ」 それは、まるで独り言のようなつぶやき 「その人は、その理想の高さゆえに、決してやってはいけないことをやってしまった」 (…それは) 思わず言葉にしかけた思いを寸前で止める 「酷い人だった…でも、優しい人でもあった…優しいからこそ、時には非情で、そして愚かだった」 「マイヤーズ司令は…その方のことを…?」 「好きだったのかな?それは俺にもわからない…でも、嫌いじゃなかったんだと思う。 彼はどこか俺と同じモノをもっていたから…嫌いには慣れなかった」 (それは…) その人物の名前にこころあたりがある だが、それを口にすることはできなかった 「彼の理想は高くて…高すぎて、そのせいで”黒き月”に利用されるかたちになってしまったけれど… 彼は最後まで、自分の気持ちには正直だった…本当はね、本当は………俺は、彼を救ってあげたかった」 耳が痛い 「救ってあげたかった…救えなかったけれど…本当は、みんな救いたかった…高い理想をもつ彼も、 その理想に命をかけた人も…そして、力のためにみずから人間を捨てた彼らも…もちろん、犠牲になった人たちも」 ちがう 痛むのは、心だ その刹那さが、心に染みて痛く 知らない ちとせは、彼らのことを、なにもしらない だけれど 「ノアのデータに残っていたヴィジョンはね彼のものなんだ」 「…はい」 「ノアは…いや、黒き月は彼を利用していただけのはずなのに、どうしてそんなものが残っていたんだろう? 不謹慎だけれど、それが嬉しくてね…だから、俺はもう一度、思い出していたんだよ… 救いたかった人たち、救えなかった人たち、かわりに、俺が選んだモノ…俺が選んだ人たち… そんなことを、最終決戦前に、再確認しておきたかったんだ」 言葉が でなかった なにか喋らなくちゃいけない だが、言葉がみつからない 形にならない 気持ちだけが、胸のなかに、どろどろと渦巻く タクトはそんな、ちとせを察したのか 「でも、これは、俺の勝手なきもちだから…みんなにはナイショにしてほしいな」 「は、い…はい…」 コクコク うなづく そして、その勢いで顔をあげた 少しだけ悲しそうな それでも、どこか、さっぱりしたようなタクトの微笑みが目に入った 「だいじょうぶ、俺は泣かないよ。…どうも、俺が泣いていい場所はレスターの隣り限定らしいから」 「え?」 「さ。そろそろ本当に寝なくちゃね。おやすみちとせ」 ありがとう 去り際に小さくつぶやいて、タクトはその場をあとにした その後ろ姿に 「おやすみなさい」 とあわててつけたして 彼の背中が見えなくなるまで見送る 「…再確認、か」 それは、実際のつぶやきだったのだろうか それとも、自分が呟いたように感じただけだったのだろうか 「わたしが護りたいものは…」 目を閉じる 覚えているのは、父の背中のこと あのころは、父だけだった 大好きな父さま でも、いまは… いまは こんなに、護りたいものが増えるなんて、思いもしなかった だから 見上げる 白き月は、かわらない優しさで、決意に満ちた表情を照らしていた
寝不足です…
第18話「真相つなぎ手打ちそばキヲクなし」 褐色の肌に金の髪をたゆたわせた少女は、音もなく降り立った 「ノア…」 タクトが少女の名をつぶやく ノアは先ほど消えたときと変わらない、不機嫌な顔で 「なに、本当にまってたの?」 つぶやいた なんのことかわからずにいると 「はい」 ちとせの返事 その心地よい言葉にノアは少し驚きをみせると あきらめたようなため息とともに 「人間って、ほんと、わからないわ」 首をかしげた そこへ 「ノアさん、約束です。根競べは私の勝ちです。だから…」 「わかってるわよ。私は、人間と違って嘘はつかないもの」 ノアはそういうと トンッとおりたち 「とりあえず白き月につくまでの暇つぶしにでもするわ。なんでもききなさいよ」
ブリッジに現れたノアに敵意をあらわにしたのはシヴァであった 「ノアっ、きさまっ…」 「さっきからうるさいけれど、あんた誰?」 「なっ…私を忘れたとはいわさんぞっ」 それはもっともな言葉であった クーデターの時、名指しで狙われつづけたのは、他の誰でもなくこの幼い少女だったのだから そのシヴァをとめたのは 「シヴァ様…彼女はきっと、あのノアとは違う存在なのですよ」 「な、に?」 シヴァの勢いがとまる 他の誰が止めても無理だったろう それがタクトの言葉でなければ 「タクトっ、お前もノアには辛い目にあわされたのだろう?」 「…ですが、彼女の反応をみる限り、あのときのノアと同一人物とは思えません」 「…っく」 シヴァがおとなしくひく その様子を眺めて 「ふぅん、人間にしては察しがいいじゃない… そうね、たぶんあなたたちがいってる“ノア”というのは“黒き月”が“白き月”を見つけるために作った“端末”のことよ」 ノアは興味深そうに笑う タクトは珍しく、厳しく作った表情を崩すことなく 「端末?」 「えぇ、そうよ。黒き月の管理者であるあたしのデータを元に作られたんじゃないかしら?」 「その管理者というのは?」 「あんたたち白き月で“聖母”といわれている人間がそうよ。文字通り、月の全てのシステムを管理する者のことね」 「システムというのは…つまり、白き月本来の役割である“兵器工場”のことだね」 「詳しいのね。そうよ…白き月は人が管理し、黒き月は機械が管理する」 「ということは君も…」 「私は黒き月の管理者にして、黒き月自身。そして、黒き月で唯一意志をもつ存在」 「だから、黒き月の軍隊は無人戦闘機ばかりだったのか」 そこでちとせが口をはさんだ 「ど、どういうことですか?」 「つまり黒き月は、ノア以外のもの全てが機械、または人を必要としないシステムで成り立っている、ということだと思う」 「あなた、本当に飲み込みがはやいのね」 ノアの絶賛の言葉にもタクトは耳をかさず 「ところでノア、あのネフェーリアっていうのは何者なんだ?」 「あの女は”ヴァル・ファスク”よ」 「ヴァル・ファスク?」 全員がその名前を繰り返す タクトの反応に少しばかり機嫌よさそうにしていたノアも、再び不機嫌な表情に戻ると 「そうよ、忌々しい…我らがEDENの敵」 「EDEN…それは、600年前の”時空震”で滅んだ先代文明のことだね」 「貴方たちがなんといっているかわからないけれど、たぶん、そう…」 「ヴァル・ファスクが敵というのは?」 「そのままの意味よ、あれは外宇宙から突如としてやってきてEDENを滅ぼそうとした敵。 そして、私と白き月はそんな外敵からEDENを護るために作られた防衛システムなの」 「なんだと?!」 激昂するシヴァ タクトはシヴァを制しながら 「それがどうして?」 「知らないわ。どうしてヴァル・ファスクが600年も出現しなかったのか。どうして私が辺境惑星なんかで眠っていたのか。 情報が欠落しているのよ。どうもその”時空震”っていうのが関係しているみたいだけれど…」 「白き月にいってみないことには、ということか」 「そういうこと」
「認めぬぞっ」
「シヴァさま」 「さっきから、本当にうるさいわね」 うっとうしそうにノアが髪をかきあげる シヴァはその様子に怒りを抑えながら 「だからどうだというのだ、どんな理由があろうとも、お前と黒き月の残した傷は消えぬのだっ!」 「私の端末が勝手にやったことを、私が知るはずないでしょう?」 「無責任にもほどがあるっ!」 「なんですって!?」 「シヴァさま、シヴァさまおちついてください…っマイヤーズ司令っ」 抑えられない様子に、ちとせがこまってタクトに視線をおくる タクトは タクト、は… 「マイヤーズ司令…?」 ゾクッ ちとせの背中を冷たい何かがすべりおちた ぞくぞく、する 底冷えするような、視線 それはまるで、冬の夜に浮かぶ月のように 暗くて、冷たくて、どこか、美しい こんな彼は、知らない 知りたくない そう、思っていると 「タクト」 誰かが、彼の名前を、呼んだ ふいに 「…わかってるよ」 氷が溶けるように、表情が落ち着いた ゆるやかに、空気がぬるくなっていく そして、それはすっかり元にもどると 「シヴァさま、落ち着いてください」 「タクトっだが…」 「落ち着いてください…今は、”ヴァル・ファスク”の手からトランスバールを護るのが先です」 「…う、うむ」 「確かに黒き月の残した傷は深い…ですが、だからといってあの強大な敵に勝てる可能性を潰すのは賛成しかねます」 「…そう、だな……すまぬタクト。辛いのは…私だけではないのにな」 「いいえ、シヴァ様はお優しい…だから俺は、あなたのために命がかけれるんですよ」 シヴァの表情に赤みがさした 照れているのだろう 彼女はふいっと出入り口までいくと 「私は…もう休む。タクト、あとはまかせた」 「はい」 そういって、ブリッジをあとにした
はぁ 誰からともなく、ため息 「ノア、話してくれてありがとう。白き月まではもう少しかかるから、それまで自由にしていいよ」 「…あなた、変な人間ね」 「よく言われます」 そう、ノアと会話するタクトは、優しくて、ちょっとたよりない感じがする、いつもの彼である ちとせはほぅっと知らずのうちに胸をなでおろす そのとき 「ねぇ、私からも一つきいていい?」 ノアからの予想外の言葉に、全員の視線がわずかに彼女にむいた 「なんだい?」 タクトはわずかばかり首をかしげて聞く と 「今もいったように、私は600年分の記憶が欠如しているの」 「うん」 「だから、貴方たちが言う半年前の黒き月のこともわからないのだけれど…」 「…それで?」 「データのすみに、気になるビジョンがずっとあるのよ…消そうと思ったのだけれど、どうしても気になるから消せないの」 そのときの ノアの顔は 今までの、どこか威厳めいたものではなくて ただ、ただ、その年頃の少女にふさわしい そんな、表情で 「わかったらでいいんだけれど、それが何か心当たりがあるなら教えてくれないかしら?」 コクリ 喉を鳴らしたのは、タクトだったろうか? ちとせは、彼が、緊張していることに気がついた 「そのヴィジョンというのは?」」
「長身で、金髪をひとつにくくっていて、肌の黒い…綺麗な男が…どこか寂しそうな表情で私の頭を優しく撫でるの」
「………」 「どうしても気になるのよ…」 タクトはなにも答えなかった いや タクトの真後ろにいたちとせにだけは 彼の、その、零れ落ちるような小さな呟きが わずかに、だが、確かに聞こえたのだ
「エオニアさま…」
と。
拍手のほうにですね「第二弾がHPのほうにUPされるのはいつですか」 というコメントがきたんですが 第一弾のときのように、全部書きあがってからUPしようかなぁと 思っていたりもしたんで・す・が、一部、知人友人から「反転するのが面倒」 とか「一番新しいのが一番上っていうのが面倒」という意見もきているので 流石に1日1話UPは難しいとしても、1週間分くらいをまとめて程度の ペースでUPしようかなぁ。なんて…おもったりとか、するわけなんですけど… するわけです。はい。しますよー。 年末の遅れも無事、取り戻せたことですし 毎日なんとかがんばりますv
第17話「無謀横暴棒々鶏」
ちとせはじっとその赤いコアを見つめていた
「ちとせっ」 バタバタ タクトが駆け込んでくる 「ちとせ、なにをやってるんだ?」 倉庫クルーから連絡をきいてあわててとんできた
”烏丸ちとせ少尉が、黒き月のコアの前でずっと座り込んでいるんですが…”
「マイヤーズ司令」 姿勢を正す そして 「勝手なことをして申し訳ありません。私、どうしてもノアさんとお話がしたいんです」 「え?」 「だから、彼女がでてきてくれるまでここで待つつもりです。どうかお願いします」 「でも…」 「私はミルフィー先輩のように料理をつくることも ランファ先輩のように格闘技で護ってさしあげることも ミント先輩のように作戦をたてたりアドヴァイスをすることも フォルテ先輩のようにみなさんの状態に気を配ることも ヴァニラ先輩のように傷を癒すこともできません ですが、私だって、みなさんのために…マイヤーズ司令のためになにかの役にたちたいんですっ」 「ちとせ…そんなことは…」 「お願いしますっ」 タクトがどうしようか悩んだ そのとき プシュー 倉庫の入り口が開き誰かがはいってくる それは
「ミルフィー」 「ミルフィーユ先輩」 「あれ?タクトさんもきてたんですか?」 ミルフィーユは手にお菓子が山盛りにつまれた皿をもって入ってきた それをちとせの前におくと 「はい、ちとせ差し入れ」 「ありがとうございますっ」 二人は仲良くお菓子をわけだす その様子をみて 「よし、わかった。でも俺もいっしょにまつぞ!」 「え?」 「わぁいvじゃぁタクトさんも食べてください。力作ですよv今日のクレープ」 「うん、いっただきまーす」 タクトはどさっとその場に座ると、ミルフィーが差し出したクレープを手に取った そこへ 「あれ?タクトまできたのー?」 「あらあら、仲がよろしいこと」 はいってきたのは 「ランファ」 「ミント先輩」 「はい、クッション。女の子が体冷やしちゃ駄目じゃない」 ランファはそういって、どさどさっと持っていたクッションやら座布団を配る その一つにちょこんと先に腰掛けてミントが 「飲み物もたくさんありますわ。それとミルフィーさんの手作りお菓子もよろしいですが、たまには駄菓子もよろしいですわよ」 そういって何本ものペットボトルに紙製のコップ さらにジャンクフードやらおつまみ系のお菓子の袋を広げる 「うわぁv」 「あ、ありがとうございます」 「ちょっとタクト、もうちょっとそっちつめてよ。あたしが座れないじゃない」 「あ、ごめんごめん」 ざわざわ そこへ 「おー、やってるねぇ」 「はい」 仲良く現れたのはフォルテとヴァニラ 「二人とも…」 「あたしらだけのけ者なんて酷い話だよ」 「はい」 「あ、フォルテさーん、ヴァニラさーんv」 「のけ者になんてしてませんよー。今、よぼうとおもってたところなんです」 「お二人もこちらにどうぞ」 「先輩、私のとなりに…」 更に二人分のスペースがあけられる フォルテは「どっこいしょ」といいながら豪快に座ると 軍服のポケットから 「じゃーん、これなんだ?」 「あぁっ、それは”GAアドバンストランプ”!」 「わぁい、私それで一度あそんでみたかったんですv」 「はい、遊びましょう」 言うがはやいか、カードが次々配られていく ババ抜きからはじまって 「よし、俺の勝ち」 ギャラクシーレース 「あ、か、勝ちました!勝ちましたよ!先輩っ」 GA風ブラックジャック 「わぁい、かっちゃいましたv」 「って、誰よ!ミルフィーがいるのにこんな運まかせのゲームやろうっていうのは」 ブラインドポーカー 「わぁい、またまたあがりですv」 「だから!ミルフィーは反則だって、もうあんた抜き」 「そんなぁ…ひどいよぅ、ランファ…」 バラババ抜き 「勝ちました…敗者は黙って去るのみ」 そんなこんなで時間はあっというまに過ぎて…
「はぇぇぇ…もう駄目です」 パタリっ 深夜すぎ ミルフィーがバタリとその場に倒れた その隣りでは、ランファがすでに心地よい寝息をたてている 「ふぁぁ…私も、そろそろ…」 ミルフィーが寝るのを横目でみて、ミントもそのばにコテンとおちる そこへヴァニラが 「風邪を引きます」 毛布をかけた そんなヴァニラのそばでは、同じようにフォルテがかすかな鼾をかいていて 「ふー、遊んだ遊んだ」 「タクトさん、どうぞ」 「…ありがとう」 ヴァニラが髪コップにジュースをいれて差し出す タクトはそれを受け取ると、いっきに飲み干した 「うまーいv」 「はい」 「ヴァニラも眠いだろ?先に寝てていいよ」 ヴァニラはしばし考え 考えてから 「では、お言葉に甘えさせていただきます」 そう告げると、フォルテのとなりのあいているスペースに寝込んだ タクトはそれを確認すると 「ちとせは寝ないのかい?」 「あ、はい…私は大丈夫です」 「そっか」 会話がふいに途切れる 聞こえてくるのは、5人分のかすかな寝息
先に口を開いたのはちとせであった
「マイヤーズ司令」 「ん?」 「その…先日は、無神経なお話をして、申し訳ありませんでした」 「え?」 心当たりがなくて、タクトはちとせをみる 後ろ姿のため、表情がよみとれない そんなことを思っていると 「わたし、その…知らなくて、まさかマイヤーズ司令のご両親が…」 「あ、あぁ、なんだ、そのことか…大丈夫だよ、全然気にしてないから」 いわれてやっと思い出す タクトはもう一度、きにしてないからとつけたした 「ですが…」 「本当にいいんだ。それに、俺には…親よりも大切な人もいるしね」 「…すいませんっ」 何度いってもちとせはすいませんと繰り返す なんとか慰めるべきなんだろうけれど なんとなくおかしくて タクトは悪いとは想いつつも、不謹慎に笑ってしまった そうしているうちに ふと 思い出す
『あの子は自分に厳しそうだからね、なんか簡単なことでいいんだよ、トイレ掃除とかそういったもので 自分を許すきっかけをつくってあげるべきだったのかもね』
(…ふむ) その考えに至り そして 「あの、マイヤーズ司令?」 呼ばれて 「それだ!」 ポンッ タクトは手をたたいた 「え?え?」 「じゃぁ、ちとせ。許してあげるからさ…」 「は、はい…」 許す、という言葉にちとせが反応する ドキドキ 随分と緊張した表情 タクトは笑いたいのをこらえ そして、精一杯、厳しい表情を作ると
「俺のこと”タクト”って呼んでよ」
「…は?」 「そう、なーんか気になってたんだよな。ちとせって俺のこと”マイヤーズ司令”って呼ぶんだよね」 「それは、もちろん…」 「ちとせもさ、みんなみたいに、”タクト”とか”タクトさん”って呼んでよ」 「え、えぇー?」 そうちとせが驚きの声をあげた そのとき
「うるさいわよ、あんたたち!」 二人の頭上から声が降ってきた
今回のGA日替わり小説第2弾「fly me to the moon」ですが 残念ながら…
エロ無し
デス。ごめんなさい… ちょーっといれてる間がないかなぁ、なんて… 残念っ><(でもこれでいれてたら切腹モノですから斬り!)
第16話「副官つきカルビ丼恋くちソース」
ちとせは再び、銀河展望公園にきていた タクトに一言 せめて、さっきの無神経な自分の発言を謝ろうと思ったのだ そして
「マ…」 声は出なかった 最初の一言が、こぼれたような いや、でもそれは自分の中の言葉だったかもしれない そんな風に
風が吹いた
「…んー」 さわさわ 頬をなでていく風が気持ちよくて、自然と瞳が開いた そして 「はぇ?!」 びっくりして飛び起きる 「なんだ、おきたのか?」 「レ、レスター?!なんでここに…っ」 ずざっ 1メートルほど後ろに下がる 「なんでって、交代の時間になってもこないから、探しにきたんだ」 「…あ、ごめん」 「別にかまわんさ、正直、クロノドライブ中はすることもないしな」 「…もしかして、俺、ずいぶん寝てた?」 「いつものことだろ」 「起こせば…よかったのに…」 「今さらだろ」 「…レスターは」 「ん?」 「レスターは、俺を…甘やかし、すぎるよ…」 「ふっ、いつもは厳しいだなんだ文句ばかりのくせに、なにいってるんだか」 いいながら、レスターはもっていた報告書のたばから、草を払った その優雅な動作にしばらくみとれる みとれ… 「タクト」 「へっ、え?」 「どうした?…なにかあったか?」 「な、なんでも…」 ないよ…という言葉は続かなかった なにもいえなくなる こんなときは、ふいに昔を思い出す 本当は
実は、自分はまだ、からっぽなんじゃないか…って
ピッ 機械音 「俺だ」 『クールダラス副司令ですか?マイヤーズ司令は…』 「いや、ちょっと見つからないんだ…すまんがブリッジを少したのむ」 『はいっ』 答えていたのは、アルモだろうか?ココだろうか? その会話の意味を理解する前に
バサッ タクトの視界が急に暗くなった 「?!」 微かな香りに、それが、レスターの上着だと知る ゴソゴソ動くと、引き寄せられた
「なにがあった?」 低い 優しい 声… 駄目だと、思う ここで、この声に、甘えちゃ駄目なのだと 思うのに 「…な…んでも…」 声が、続かない どんどん乾いていく 酷く、喉が渇いた 「…いかなきゃ…」 ばさっ 最期の力をふりしぼって、上着から顔をだす そして、レスターの顔をみようとしないで、その手を振り払おうと 「離せよ…俺、いかなきゃ…」 「いかせない」 つかまれた手は、ビクリとも動かなかった 「はなせったらっ、俺、行かなきゃ駄目なんだから!」 搾り出すように かすれた声で大声をだす それは、まるで、ハリボテみたいな声で 「駄目だ」 「じょ、上官命れ…」 「タクト」 「…っ」 名前を呼ばれる 体の芯が痺れた ただ、名前を呼ばれただけなのに、急に力がはいらなくなる その隙を逃してもらえるわけもなく 「んっ」 最初に触れたのは唇 その次に、舌 言葉は簡単に飲み込まれてしまう 「はぁ…はっ…」 「なんだ?キスで感じたか?」 「…っ、レ、レスターの…キスは………エッチくさいんだよ」 「そうか」 笑われる 「くそぅ、こまると、すぐ…これで口封じ、するんだから…たまったもんじゃない」 「口先三寸のお前を黙らすには、これくらいしかないからな」 それに… 「キスは嫌いじゃないんだろ?」 「う…うぅ…」 うなる そこに バサリ 再び上着 「さ、タクト…観念しろ」 優しい香り 「だ…って…しゃ、しゃべったら…俺…泣くもん…」 涙声 「俺の前以外で、どこで泣くつもりなんだ,お前は? いっとくが、一人で泣かすつもりはないぞ」 あきれたような、でもそれ以上に優しい声 だから 「……レ、スタ…レスタァ…」 もう、それに逆らうだけの力はなかった
風が吹く
まるで幼い子供のように泣くタクトと 父親のように、母親のように、なにより恋人として、それを慰めるレスター その、優しい風景を ちとせは声もだせずにただただ見ていた
| 2005年01月09日(日) |
007おもしろかったです…の日 |
体調が悪いので、ごろごろ寝ながら、007みてました どうも、年末からこっち具合が悪くて仕方ないです ごろごろ… ごろごろ… 007、おもしろいなぁ 他のもみたいんですが、いっぱいありそうなんで 見る気がちょっと失せます そういえば、今日は大阪インテでしたね 俺はいけませんでしたが、相方と友人たちはいったもよう …いきたかったなぁ(お会いしたい方がいっぱいいた) 次、がんばります!
第15話「うっかりちとせの土瓶蒸し」
「え?タクトさんのご両親?」 それは、お茶の席でのこと 先ほどの会話の内容をきかれて、素直にちとせはそういった 自分の父のこと ぬいぐるみのこと タクトと父が似ていること そして タクトの両親をたずねたこと 途中までは、ほのぼのと会話をきいていた全員の表情がそこで止まった 「え?」 「…そうか、ちとせさんはご存知ないんですわ」 ミントが頬に手をあて、困ったような顔をする 「わ、私…もしかして、なにかまずいことを…?」 不安になる 晴れないエンジェル隊の表情が、それを肯定していた 「でもさ、仕方ないじゃない、ちとせは知らなかったんだし!」 ランファがかばった でも、かばわれたちとせは、なぜ自分がかばわれたかがわからない 「そうだね、ちとせも、知っておいたほうがいいかもしれないね」 フォルテが呟いた 「フォルテさん、でも、他人のプライベートを…」 いいかけてミントがとまる フォルテの意図を読み取ったのだ 「と、いいたいところですが、そうですね。ちとせさんだけが知らないというのも不公平ですし」 うなづいて、同意する 「あの…」 意外にも、最初に語ったのはミルフィーであった
「タクトさんのご両親は、クーデターの時にエオニア軍に…」
「…ぁっ」 いわれて思い出す タクトは貴族だ そして 半年前のクーデターのさい、ただ一人シヴァを除いた皇族の全てと その皇族と係わり合いの深かった貴族諸侯は、首都制圧時、エオニアによって処刑されたのである
「わ、わたし…」 カップをもつ、ちとせの手が震える
「いいのよ、ちとせ」 「でも…」 「かまわないんですよ。ちとせさん。子供を虐待するような親は、死んだほうがマシですわ」 「…っ」 ミントの物言いに、全員が顔をあげる ちとせは抗議しようとし しかし その言葉に、声をだせずにいた 「ミント」 フォルテが、やれやれといった声をだす (それはいくらなんでもいいすぎじゃないかい?) (いいんですわ。これくらいいっておかないと。死んだあとくらい、役にたっていただきませんとね) (恐いネェ) 小さな会話 だが、フォルテは結局とめるようなことはしなかった タクトがなんと思おうとも フォルテとしても、それを許すことは出来なかったからだ 「ぎゃ…」 「タクトさんは、幼少時から、それはもう酷い虐待をうけていたそうです」 感情のこもらない声 それが、逆に、事実味をおびさせていた 淡々と、かたる 「病院に送り込まれることも、一度や二度ではなかったそうですわ」 「そ、そんな…ことって…」 誰も言葉をはさまない それが、エンジェル隊全員が知る事実なのだと、裏付けるように 「そのうえ、タクトさんが成長するにつれて虐待しにくくなると、育児を放棄したんだそうです」 そこまで語ると、ミントは紅茶を一口 ふぅ 軽くため息 ちらりと視線をちとせにむける 青ざめた顔 それに、少しだけ良心が痛むのを感じながらも 「タクトさんはおばあさまに預けられ、そこから学校へ通われていたそうなんですが、長期の休みなどで ご実家に帰るたびに、虐待は繰り返されたそうですわ」 「そんなことって…」 「えぇ、決して許されることではありません」 「酷いです…」 「ほんと、それが同じ人間のすることかと思うと…人間やめたくなっちゃう」 「………はい」 ミルフィー、ランファ、ヴァニラがうなづく フォルテはちらりとミントに視線をむけた ミントは全員の顔をみわたし、そして最期にフォルテに小さく合図をおくると 「本当に…クールダラス副司令がいらっしゃらなければ、今ごろ…タクトさんはどうなっていたか」 「え?」 突然でてきた名前に、ちとせが反応する 「あぁ、ほんとーにそうだよ。副司令がいなけりゃ、もしかしたらタクトはいまココにいないかもしれないんだからなぁ」 フォルテがミントにつけくわえるようにうなづいた 「クールダラス副司令…ですか?」 その言葉に きらーんと、ミントとフォルテの目が光った 「そうそう、クールダラス副司令が、ずっとタクトさんの力になってたんだよー」 「すっごい武勇伝がいーっぱいあるのよね」 それを見ていたミルフィーとランファが状況を飲み込み、話を大きくする 「そう、なんですか」 「怪我したタクトを病院につれいったり、虐待されているところに飛び込んだり、入院やらなんやらで遅れがちな勉強の世話をしてやったり」 「すばらしい関係です」 ヴァニラがうなづいて肯定する 「で、まぁタクトはそのあと、おばあさんが亡くなったのをきっかけに家とは縁をきって、とある軍人に世話になっていたというわけさ」 「あ、おばあさまは、お亡くなりに…」 「…あぁ、家族で唯一タクトの味方だったらしいよ。良い人間ってのは早くに亡くなるからね…残念だけど」 「………」 「でも、そのおかげってわけじゃないですけど、タクトさんは、ウォルコット中佐の家で暮らせるようになったんですよね?」 「そういうこと」 「ウォルコット中佐?」 どこかで聞いたことのある名前に、再びちとせが反応する そして 「ウォルコット中佐というのは…エンジェル基地でのエンジェル隊司令で…」 「そ。さえない中年親父。まぁ、むかしは”超新星の白き狼”なんて呼ばれてたらしいけどね」 「ウォルコット・O・ヒューイ中佐さ。このどんちゃん騒ぎがおわったら、ちとせも世話になるんだからね」 「中佐がタクトさんのお父さんがわりなんだよ」 「そ、そんな方が…」 あわあわあわ ちとせはもう、何に驚いていいのかわからない常態だ 全員がしてやったりとアイコンタクト 「まぁ、だからというわけではありませんが…タクトさんとクールダラス副司令の関係というのは理想的ですわね」 「そうだねぇ、羨ましいよ」 「クールダラス副司令だって、タクトさんのこと大好きですからね」 「そうよねぇ、ほんと、タクトにはもったいないわ」 「お二人は一緒が一番です」 そう、口々にいって、しめくくる 「…そう、だったんですか」 ちとせは、真剣な顔で、その意見に耳を傾けていた
GA日替わりSS第二弾もやっと半分ほどきました ぼちぼち折り返し地点です 思ったよりも本筋はあっさりすすんでいるので これからじっくりと、サイドを… かためられたらいいなぁvなんて いや、しかし、日替わりSS 日記にかいててよかった(でなきゃ絶対に挫折してました) 後半戦もがんばりますv (あのキャラもこのキャラもちゃんとでますんで、「まだでなーい」という そこの貴方も、楽しみにおまちくださいませ)
第14話「激闘お子さまランチ」
「これが、黒き月のコア…」 ゆっくりと、クレーンで下ろされるその赤い塊を、タクトとエンジェル隊は複雑な気持ちで見上げていた
黒き月 半年前におきたクーデターの原因
(これさえ…黒き月さえなければ…) ポツリ ふいに 心に落ちた、真っ黒な染み (これさえなければ、あの人は………) それは、ありえない話だ どのみち、彼は、自ら禁忌をおかし そして 自ら選んだ道だったのだから でも それでも… 暗い考えがぬぐえない
「タクトさん、だいじょうぶですか?」 「…っ」 声がした 顔をあげる ミントが心配そうな顔で、自分をみていた 「………ぁ」 「なんだいなんだい、夢から覚めたような顔しちゃってさ」 「たったまま寝てたんじゃないでしょーね」 フォルテとランファが笑い飛ばす 「二人ともひどいですー、タクトさん、だいじょうぶですか?」 二人に抗議して、ミルフィーが心配そうにタクトに声をかけた 「あ、うん…だ、だいじょうぶだよ。ありがとう」 タクトは精一杯の笑顔をつくって、うなづいてみせる
「なんだ?」 その横で、シヴァが不思議そうな声をだした 全員が注目する 黒き月のコア 赤い、まるで巨大な宝石のようなソノ前に、なにかがぼんやりと浮かび上がり それは、徐々に色を濃くしていくと ふいに 人の形に収まった
「ノアっ」 タクトが声をだす そこには、たしかに、黒き月でみた、あの少女がたっていた ノアはゆっくりと目を開くと 「ここは?白き月?」 一言 「ここは、エルシオールですよ」 ミルフィーが律儀に答えた 「ふぅん、で、白き月の管理者は?あんた?」 「か、管理者???」 「あんたみたいなアホっぽい娘が管理者のわけないか、じゃぁあんた?」 興味なさそうにミルフィーを見るのをやめると ノアの視線はランファにうつる 「へ?」 「筋肉馬鹿じゃないだろうから、あんたもちがう」 「き、筋肉ばかぁ?!」 その次はミント 「なんでここに子供がいるの?」 「こ、子供ですって?!」 更に隣りにうつる、そこにはフォルテが 「おばさん?」 「お…おばさんだぁ?!」 「違うみたいね」 「…フォルテさん、みなさん、おちついて…」 そう、全員をなだめるヴァニラに至っては 「へぇ、よくできたロボットね。もうちょっと人間味があれば完璧じゃない」 「…ロボットではありません」 「はいはい」 言ったノアに 「なんてことをいうんですかっ!!」 抗議 「ん?」 「先輩たちになんて失礼なことを…謝ってくださいっ」 「ちとせ…」 アホ娘呼ばわりされたミルフィーがうるうると泣きながら、ちとせに視線を送る 「ミルフィー先輩はアホっぽい娘じゃありません!お料理が上手で、とても楽しい方です!!」 「…」 「ランファ先輩も筋肉馬鹿じゃないです、格闘技の達人で、凄く強くて、でもお部屋の中は占いグッズいっぱいの女の子らしい方です」 「きゃー、いっちゃだめ、ちとせっ」 「ミント先輩はエンジェル隊で一番優秀な頭脳をお持ちですし、フォルテ先輩は私たち全員のお姉さまみたいな方なんですっ」 「ちとせさん」 「…ちとせ」 「そのうえヴァニラ先輩にロボットだなんて!ヴァニラ先輩ほど思いやりがあって、優しい方を私は他にしらないんです」 「ちとせさん」 むきになりすぎて、ちとせの目に涙が浮かんでいる 「先輩たちに謝ってくださいっ!!」 「ふぅん」 ひとしきり語りおわって、肩で息をととのえるちとせを全員が見守る ノアは、小さく、声をだすと 「連中を先輩よばわりするってことは、あんたも違う、と」 そういって、その視線はタクトとシヴァにうつった 「…っ」 流石のちとせも二の句がつげない ポロポロ 涙が溢れてくる それは、自分の言葉が伝わらなかったというよりも 弁護を自分がいっさいできなかったことへの悔し涙であった ちとせをミルフィーをはじめ、全員がせっせと慰める その光景をみて、タクトは状況を忘れて、微笑んでしまうのだ 「あなたね?」 「へ?」 そこに、ノアから声 タクトがノアのほうをむくと、彼女の視線はこっちに釘付けになっている 「あなたが、白き月の管理者ね?」 「へ?え?…あ、俺???」 「そう、聖母とかいってたから女かとおもったけど、今は男がやってるの」 ノアは一人納得してうなづく 「い、いや…俺は、ちがうんじゃないかなぁ…なんて」 タクトはしどろもどろに付け加えた 「それは、私の母上のことだ!」 タクトとノアの間にシヴァがわってはいる それは、まるで、小さな騎士のようであった 「タクトは関係ない!お前がいう、白き月の管理者とは、私の母上のことだ」 「…へぇ、違うの」 ノアはシヴァを無視し、タクトを上から下まで値踏みするようにみつめると 「じゃぁ、その母上とやらをだしなさいよ」 シヴァのほうをむかず、そういった 「母上は白き月だ」 「…きて、ないの?」 「あたりまえだろう!」 負けじとシヴァがつめよる ノアは、しばらく考え 考え そして 「なに、それ」 かなり冷たい声で、つぶやいた 「白き月の管理者がきていないって、どういうことよ?あなたたち、私のメッセージをうけとってここまできたんでしょ?」 「あのメッセージは君が?」 「…そうよ、なに、そんなこともわからないでこんなところまできたの?」 「う、うん…」 ノアは、しばし考え 「話にならないわ」 あきれたように、いや、むしろ、見捨てるようにぼやくと 「じゃぁ、さっさと白き月へいきなさい!ついたらよんでちょうだい!!」 そういい残し、姿を、消した。 一同呆然 その次に
「な、なんなんですかー?!」 「なによ、あの娘ーっ!!」 「なんですのっ、失礼にもほどがありますわっ!」 「ふざけるんじゃないよーっ」 「…(怒)」 「先輩たちにあやまってくださいっ」 「なんなんだいったいーっ!!」
大激怒。 「な、なんなんだろうねぇ、ホント」 タクトは困った顔でノアの消えた場所をみていた。
「というわけで、とりあえず、白き月へむかってくれ」 通信 『わかった』 「敵の動きは?」 『いまのところは、まだないが…』 「そっかぁ」 タクトはうなづき 「じゃぁ、あとはよろしく…なにかあったら、すぐに連絡をくれ」 そういって、通信をきった
「はぁ…」 ため息をついて、寝転がる 距離をおくために、戦闘時以外は、完全に二交代制にしてあるのだ 「なんか、さみしーよなぁ」 今まで、通信がつながっていた、クロノクリスタルに触れてみる 「…」 それを、指先で遊びながら 見上げた空は 「あぁ、いい天気だなぁ」 見渡す限りの青い空 ほどよい風 揺れるのは、木々 「…って、映像だからあたりまえなんだけどさ」 自分で自分にツッコミ それもむなしい 「っと、いけない。がまん、がまんだ」 言い聞かせる 「俺は我慢がたりないって、レスターもいってるから、ちょっとくらい、がまんしなきゃな」 そもそもそれは、自分から言い出したことでもあるのだし そうだ、それは、自分から言い出したことなのだ なの、だけれど 「…はぁ」 ため息がでてしまうのを、とめることはできない
そんなことを考えながら、タクトがごろごろしていると ふいに影がさした 「え?」 それは 「あ、お、おやすみ中でしたか?」 「あぁ、ちとせ」 タクトはよっと、起き上がる 「すいません、起こしてしまったでしょうか?」 「ううん、寝てないから大丈夫だよ」 「そう、ですか…」 ちとせは、ほっと胸をなでおろす タクトは、そんなちとせに小さく笑みをこぼし それに気がついた 「あれ?そのぬいぐるみ…」 「え?」 気がついたのは、ちとせのぬいぐるみ たしか、部屋でも同じモノを見た 「それ、たしかちとせの部屋にあったよね」 「は、はい」 「大事にしてるんだね」 そのぼろぼろの様子からも、かなり幼少時から彼女がそれをもっていたと推測される どちらかといえば、物持ちが良くないほうのタクトは感心しながら言った すると ふいに、ちとせの顔が寂しく曇って
「父さまの、形見なんです…」
つぶやき 「え?」 返した言葉は届いたのだろうか? ちとせは、ぬいぐるみをだいたまま、タクトより前にでてしまったので表情がわからなかった
「私の父は軍人でした…」
ぬいぐるみ 「父さまは立派な軍人でしたから、凄く忙しくて、でも…優しい、優しい父でした」 少し不細工な犬の形 「私は父さまが大好きで…嫌われたくなかったから、ずっとききわけの良い子でいたんです」 欲しい、とねだった 「このぬいぐるみは、そんな私が数少なく父さまにおねだりしたものなんです」 クルリッ ちとせが、振り向く 笑顔だった おもわず、まぶしくて、目を細めてしまうほどの
「父さまは、もどりませんでした…でも…このぬいぐるみを約束どおり…わたしに…」 「ちとせ…」 「最期まで…死んだ後でも…本当に、優しい、父だったんです…」
ごめん、とは、いえなかった それは、ちとせの思い出にふさわしい言葉ではなかったから だから
「優しいお父さんなんだね」 そう笑顔を贈る ひとつはちとせに もうひとつは、ちとせの思い出に そして、今は亡き、ちとせの父親に
「はいっ」
泣き出しそうだったちとせの顔に、笑顔が戻った そして
「タクトさんは、父さまに、似ています…」 「え?」 ふいに呟かれた、ことば 上手く聞き取れなくて、聞き返す と ちとせは照れたように笑って 「マイヤーズ司令のご両親は?」 素朴な疑問 「…え?」 「マイヤーズ司令のご両親はどのような方ですか?」 「あ、うん…えーっと」 タクトはふいにふられた話題に言葉を捜した そのとき
「タクトさーん、ちとせーっ」 公園入り口のほうで声 見ればミルフィーがこちらにむけて手をふっていた 「お菓子とお茶を用意しましたー、こっちでいっしょにたべませんかー?」 「は、はい、御相伴に預かりますっ!」 ちとせはかけだす が 「マイヤーズ司令?」 いつもなら、自分もかけだしてくるタクトが動かないことに気づき、足をとめた 「あ、ごめん…俺は今日はパスするよ」 タクトは申し訳なそうに笑って手を振った 「え?」 「さっきご飯食べたばかりなんだ…もう少し、ここで…ゴロゴロしてる」 「そうですか」 残念です、といってちとせはミルフィーのあとについていった
二人の姿が見えなくなる それを、確認、すると
「両親…か………」 見上げた空の色は青 目に痛いほどの あまりにも痛くて タクトはごろりと寝転がった 横にならなければ 涙がとめどもなくこぼれおちそうだったから
| 2005年01月07日(金) |
せんせいのお時間の日 |
というわけで、JACKちゃんから借りた「せんせいのお時間」を読みましたv ちなみにDVDのほうも一緒に借りたので、あとで見ようと思います 絵柄はよくみかけていたので、ちょっときになっていたんですが 借りる決心がついたのは
「上田さんでてるよ」
の一言でしたv(てへーv) 俺、正直すぎっ!(うわぁーい) 工藤くんっていうホモの男の子役なんですがー もう、すっごいかわいいんですよー><v しかもリバ(笑)片思い中なのがめらめらかわいいんですっ♪ はぁ、うえださん…(ほやほやほやーん)
第13話「激ノア フォーチュンクッキー」
「というわけで、しばらく距離をおくから」 「は?!」 ブリッジにでてきた、タクトは開口一番そういった バサリッ レスターの手から、書類の束がおちる どよどよ ブリッジ内を動揺が駆け抜けていく 「ちとせが落ち着くまで、恋人っぽい行動は控えるってことで」 「ちょ、おい…ちょっと、まて、タクト」 レスターは、頭を抑えながら、つぶやく いきなりすぎて、優秀なレスターの頭でも、流石に理解できなかったようだ 「どーした?」 「………あー」 混乱する頭を精一杯働かせる とりあえず わかるところから 「どーしてそういう結論になるんだ?」 「どーしてって、ちとせが男同士は駄目だっていうから」 「だからって、どうして俺たちが距離をおかなければならんのだ?」 「どうしてって、だってちとせが…」 「ちとせはわかったから」 堂々巡りの会話にストップ むぅ タクトは、”どうしてわからないんだ?”といった顔でこっちをみている わけがわからんのはこっちだ! と、いいたいのを、ぐーっとこらえて 「ちとせが男同士を快く思っていないというのは、わかった。 だが、それと俺たちが距離をおく必要性はどこにあるんだ?」 わかりやすく 噛み砕いて 言ってみる (レスターさん必死だ…) (あんな真剣なクールダラス副司令、はじめてみちゃった) (まぁ、男にとっては死活問題だもんなぁ) (がんばれ、レスターさんっ) (っていうか、あの人もけっこう好きなんだ) (相手がマイヤーズ司令だしなぁ…) ヒソヒソヒソ ブリッジクルーのひそひそ声がひしひしと聞こえてくる 聞こえてくる、が、このさい、そんなことは些細な問題だ 「必要性っていうか、だから、紋章機はエンジェル隊のテンションによって性能が変わるだろ?」 「…あぁ」 「だから、エンジェル隊の信頼を得て、テンションを下げさせないよう気を配るのが俺の仕事」 「そう、だな」 「ちとせのテンションが下がらないよう気を配るのも、司令官としては当然だろ?」 「…なるほど」 理屈は通った だが 「だがな、タクト」 (おおっ、反論した) (まぁ、ねぇ) (がんばれクールダラス副司令) ブリッジクルーのひそかな応援を背に 「だったら、別にちとせがいる時だけでいいじゃないか。俺たちは元から、そんなに人前でべたべたしているわけじゃないんだし」 「…うーん」 (良く言うよな…) (うん…) (クールダラス副司令、がんばって) 「そもそも、お前は、俺と距離を置いて平気なのか?」 「そ、それは…」 (もう聞いてらんないっ) ブリッジクルー全員の心の声が一つになった 「平気じゃない、けど…」 「だったら…」 はぁ なんとか丸め込めそうだ、とレスターが安堵のため息をついた 「でもっ!」 (うわ、今回、マイヤーズ司令も譲らないなぁ) (この前のアレも関係してるんじゃない?) (だよなぁ) (がんばれ〜) 「俺たちは完璧にちとせの行動を把握しているわけじゃないだろ?」 「ま、まぁ、な…」 「だったら、いつ突然の事態があるかわからないじゃないか。そこからフォローしてる時間があればいいけど 敵はこっちの事情なんておかまいなしなんだし、間髪いれずに出撃なんてことになったらどうするんだ?」 「…それは」 「エンジェル隊のテンションは、そのまま彼女たちの死活問題になるんだぞ」 「…」 「俺だって、レスターと離れるのは嫌だけど、なにもわかれるっていってるわけじゃないんだし」 「あ、あぁ、そうだな」 はっ 全員が気がついた時には、すでに遅かった 熱く語っていたタクトの顔に、ぱぁっと笑みが広がっていく それを止めることは、レスターにはできなかった 「タ、タクト…」 「わかってくれたのか、レスター。ありがとうっ」 「いや、その…タクト、そのだな…今のは了承っていみじゃなくて…」 「やっぱりお前は俺の一番の理解者だよ、大好きだーv」 (あーあぁ…) 全員が哀れみの視線をレスターにおくった
「レナ星系の駐留艦隊とはまだ連絡がとれないのかい?」 ブリッジにフォルテをはじめ、エンジェル隊がはいってきた それはつい数日前のこととなる 合流のため、連絡をとっていたレナ星系の駐留艦隊との通信が突如として途絶えたのだ 以降、何度通信をおくっても返事がかえってくることはなく 「このクロノドライブからでれば、もう資源衛星レナミスなんだけれど」 「これは、万が一…ってこともあるかもね」 「そうだな、フォルテ。エンジェル隊は、紋章機で出撃準備をとってくれ」 「了解っ」 全員が真剣な表情で敬礼をかえし、ブリッジをあとにした
「ドライブアウト、しますっ」 少し緊張したココの声がブリッジに響いた 光が収束していき 音もなくはじけとぶ そして、暗闇と静寂 残っていたのは
「あれはっ」 絶望が広がる、ということがある それはたしかに、そんな言葉が似合う光景であった
「黒き月…」
ざわざわ ブリッジ中…いや、艦内中に動揺がはしった 「どういうことだ?!」 シヴァが叫ぶ 「シヴァさま」 「タクト、あれは黒き月だ…間違いないっ」 「はい…」 「黒き月は、あのとき、たしかにクロノ・ブレイク・キャノンで破壊したはずだ、それがなぜっ」 ここにある という言葉は最後まで続かなかった 「通信、はいりますっ」
ザァザァ しばらくの砂嵐 それが収まると、ともに
『ようこそ、エルシオールの諸君っ』 現れたのは 「レゾムっ」 『ふはははは、どうかね、これこそが、真の”黒き月”だ』 「なんてことを…」 『光栄に想いたまえ、再生した”黒き月”の最初の的になれるのだからなぁ』 そこまでいって、通信は途絶えた 「タクトッ」 「だいじょうぶですよ、皇子…クロノ・ブレイク・キャノン、充填開始っ」 「はいっ」 心配そうな声をあげるシヴァににこりと微笑むと、タクトは次々と指示をだしていく
「ミルフィーユ、いきますっ、ハイパーキャノンっ」 バーン 盛大な光線とともに、直線上の敵が蒸発する その光の筋にそうように、飛び回るのはランファのカンフーファイター 「覚悟しなさいっ、アンカークローッ」 赤いアンカーが、赤い軌跡を描きながら、次々と敵機に命中していく 「まけていられませんわ、フライヤーダンス」 ミントを中心に円形状に広がったフライヤーが一斉に攻撃をはじめる そこからは、すこしばかりはなれたところ 狙いを定めていたのは 「おらおらぁ、いっくよ!ストライクバーストっ!」 威勢のいいフォルテの掛け声とともに、ハッピートリガーから大量の攻撃が放たれる それは目標の一つにあたると、周囲をまきこみながら、爆発を大きくさせ 「カンフーファイター、トリックマスター…耐久値がおちています…修理を…リペアウェーブ」 ヴァニラのハーベスタ−から放たれたナノマシンが、紋章機の故障箇所に魔法のようにおりたつ
”……え…ら……を…………て…”
「え?」 フェイタルアローが敵に命中したのを見届けたちとせは、その声を、きいた 「いま、なにか…」 なんの声だろう? 空耳、だろうか そんなふうにおもっていると 『ちとせ、どうした?』 タクトから通信がはいる 「いえ、なんでも、ありませんっ」 あわてて、そう返す (いけない集中しなきゃ) そう自分にいいきかせ
「クロノ・ブレイク・キャノン…充填完了しましたっ」 「よし…標準、黒き月…」 「エンジェル隊各機は、クロノ・ブレイク・キャノンの射程からできるかぎり離脱してくれ」 『了解っ』 軽やかな返事とともに、それぞれの機体が後退していく タクトはそれを確かめると 「クロノ・ブレイク・キャノン…発射っ!」
右手が差し出される その動きにかぶるように エルシオールから、怒涛の光が黒き月めがけて延びる
「そ、そんな馬鹿なっ、ネフェーリア、ネフェ…」 エオニア戦役から小ざかしく生残ってきた男、レゾム・メア・ゾムの最後の台詞はそこで途切れた
「よし、命中だ…っ」 その様子をモニターで確認しながら 全員が、ほっと胸をなでおろした そのとき
「あ、新しい反応がっ」 モニターをみていたココの声が、空間を裂いた 「え?」 「どういうことだ?」 「く、黒き月の中から、なにか…きょ、巨大なものが…」 全員がモニターに注目した クロノ・ブレイク・キャノンの残滓が上手く映像を届けない それでも 徐々に収まる爆炎の その中心からは 「…なんだ、あれはっ………?」
黒き月から姿をあらわしたのは、惑星よりも巨大な戦艦であった
『フ…フフ………ふははははは』
「なんだ?!」 「つ、通信です」 パッ スクリーンに投影されるのは 「ネフェーリアっ」
『あははは、どうだい?この”オ・ガウブ”の姿は…なつかしいだろう?EDENの末裔どもよ』
「なんだと?」 タクトとネフェーリアが、モニターをはさみ対峙する その横では、レスターがクロノ・ブレイク・キャノンの最充填をいそがせていた
『くっくっく…忌まわしきEDENの末裔どもよ、600年前の恨み、いまこそはらしてやろう』 「お前は…いったい…っ」 『ふふふ…』 「っち、考えるのはあとだ…クロノ・ブレイク・キャノンは?」 タクトが声をあげる オペレーターのアルモが返した 「発射準備、OKです」 「いくぞっ」 タクトが再び右手をつきだす 再び、光の路が飛ぶ それは、同じように音をたてずにぶつかり … そう、それは 確かにぶつかったはずであった
「な、なに?」 「そんな、クロノ・ブレイク・キャノンは確かに命中したはずだっ」 タクトとシヴァが同時に前にのりだした そこには 無傷のオ・ガウブが浮かんでいる
「あはははは、情けないネェ…これが今のEDENの姿かい?…くだらない」 オ・ガウブのブリッジ ネフェーリアは愉快そうにわらったあと 酷くつまらなそうな表情になると 「さぁ、遊びは終りにしよう」
ヴゥンッ
音をたてて、エルシオールから光が、消えた 「なっ」 「これは…っ」 突然の出来事に騒然となる 肉眼でしか確認できないが、紋章機も停止しているようだ 悪夢がよみがえる 「ネ、ネガティブフィールド?」 「くそっ」 最大の武器であったクロノ・ブレイク・キャノンが無効となり そこにくわえて、ネガティブフィールドで身動きもとれなくなる 「考えろ…なにか、手が…考えろ…」 タクトは司令席に深く腰かけなおし、ぶつぶつと繰り返す 「かんがえろ、なにかあるはずなんだ…なにか…」 何度も言葉を繰り返す 頭の中で論理を組み立て ばらばらにくずしては、何通りもある形に構成しなおす そこに
「え?」 通信席のアルモが不思議な声をあげた 「どうした、アルモ?」 其の変化に気がつき、レスターが声をかける アルモは 「つ、通信が…」 「なんだと?」
ブゥンッ 次の瞬間、光が瞬く 全員が、まぶしさに目をつぶる 次の瞬間
『…る?…返答…さい…えてるの?…きこえてるの?』
「誰だ?」 タクトは不思議な通信の声に誘われるように、席をたちあがった 『聞こえているなら、返事をしなさいよ、白き月』 「きみは…?」 聞いたことのある、声 誰の声だったっけ? タクトが、それを、思い出そうとした、瞬間
「っ」 夢を見た… 懐かしい夢 青年は優しい人だった その優しさ故に非情であった そして愚かでもあった 『タクト…』 名前を呼ぶ 『災いが…くる…そらから…』 「え?」 『ノアを…』 「エオニアさま?」 彼の人は、たしかに、そういったのだ
『ノアを、よろしく頼む…』
「ノア?」 『そうよ、なんだ、聞こえているんじゃない』 タクトが名前を呼ぶと、モニターにその少女の姿が映し出された
ノア
辺境で眠っていた黒き月 流刑の先でそれを偶然、発見したエオニア そのエオニアの野心を利用し 黒き月のために、彼をずっと操っていた少女 否 正しくは、少女の形をした黒き月の端末
「どうして、君が…」 『話はあと、この辺いったいに張られていたネガティブフィールドは一時的に解除したわ』 「え?」 『逃げるわよ、私のルートを追跡できる?』 「できるのか?」 言葉をきき、レスターが反応して、指示をだす ココが 「で、できます」 「タクトっ」 会話をききながらも、タクトは少女から目を離せずにいた 「できる」 『じゃぁいいわ、ついてきなさい』 そういって、通信は一方的にきられた 宇宙を見る エルシオールのわずか先で、赤く輝く黒き月のコアがクロノドライブしたのが見えた タクトはそれを確認すると 「エルシオール、一時戦線を離脱する!」 「はいっ」 ブリッジクルーの顔に、わずかばかり希望が浮かぶ それを確認してから 「エンジェル隊、きこえていたかい?」 『あぁ、クロノドライブ先であたしらは落ち合ったほうがいいね?』 「そうしよう、そっちはたのむよ。フォルテ」 『了解っ』
その通信終了とともに、エルシオールとエンジェル隊はクロノドライブに成功した
| 2005年01月06日(木) |
せつない恋だぜ…の日 |
すいません… いわゆる、ボーイズ・ラブ系CDドラマに手を出してしまいました 理由はひとつです 上田さんが受 しかも、キャラ的にタクトっぽいーv つーか、むしろ… タクトーっ うわぁ、かわいい、かっこいいー、た、たまんないよー><v 泣き出すところとかかわいいですーv(きゃーきゃーきゃー) ちなみに、お相手はキング・オブ・BL、子安っちー。 激萌えですー 幸せですー でも、あえていうなら 本番もうちょい、長くてもよかった(雀の涙程度だったんで) そして、お話自体は凄い直球ど真ん中青春モノで 聞いてるこっちが恥ずかしくなりました…(照////) 上田さん受のCDドラマは、実はもう1枚あるらしんで 次はそっちも狙ってみたいです (というか、持ってる!という方は連絡くださるとうれしいなぁvなんて)
第12話「説得のごった煮 恋くらべ」
「ちとせが俺にあいたくないって?」
ティーラウンジ ミントからのアドバイスで、ちとせを追ったのは ミルフィー、ランファ、ヴァニラ その三人が戻ってきて 「はい、というか、わたしたちにもあってくれないんですけど」 「いったいぜんたい、なんだっていうのよ」 「こまりました…」 はぁ 誰からともなく、ため息が 「ちょっとちとせには衝撃的だったのかもねぇ」 やれやれとフォルテがいった 「え?」 「あんたとレスターが恋人だっていうのがさ」 「そうなんですか?」 ミルフィーから驚愕の声 「っていうか、普通は誰でも少なからず驚くものよ」 ランファがあきれながら忠告した 「えー、そういうものなんですか?」 エルシオールでは、なんだか、至極あっさりと受け入れられていたので、誰も気にとめなかったのだが (むしろ、タクトとレスターがくっついてから、同姓同士のカップル率があがったりもした) 「で、そのちとせは?」 「いちおー、まだミントさんが残って説得してます」 「ふぅん」 全員が一息 そこへ 「ちとせというのは、どのような娘だ?」 今までおとなしく会話をきいていたシヴァが喋った 「どのような、と申されますと?」 「率直にお前たちの感想がききたい、それだけだ」 飲んでいた冷やし飴のコップをコトンとコースターにおいて、シヴァが正面をむく 最初に口を開いたのはミルフィーだった 「凄くいい子ですよ。すっごく素直でv」 その意見にうなづいて、ランファが 「すじもいいですし、飲み込みもはやいしね、よく気もつくし」 「優しい方です」 「まぁ、ちょっとお堅いのがたまに瑕ですけどね」 フォルテがしめくくる ふむふむと、何度かシヴァはうなづき 「だ、そうだが…タクト、お前からみてどう思う?」 「え…」 「そのちとせという娘、大丈夫かときいている」 いたずらをしかけるような、瞳 タクトはしばらく考え 考え そして… 「えぇ、もちろんです。彼女はもう、立派なエンジェル隊ですよ」 頷いた 「ふむ…そのわりには、なにやらてこずっておるようだが………」 「それは、少々のトラブルくらいあります。でも、それがなければ、エンジェル隊とはいえませんから」 笑いながら、つけたした とたん 「えー、それってどういう意味ですか?」 「ちょっと、適当なこというんじゃないわよっ!この馬鹿タクトっ!」 「聞き捨てならないネェ」 「…(じとっ)」 一斉抗議 その様子を興味深そうに観察し そして、シヴァは 「そうか…」 酷く満足そうに笑って、残った冷やし飴に口をつけた
「あ、ミント」 全員からの抗議を逃れれて、ティーラウンジの入り口まできたタクトはミントの姿をみつける ミントは入り口のカウンターで店員にミルクティーを注文すると 「ふぅ…駄目でしたわ」 そういって、席についた 「そっかぁ…」 タクトが残念そうに呟く 「一体全体、どういうことなんだい?ミント」 フォルテがおでんをつつきながら、たずねる 「なにか考えがあって、タクトにちとせを追わせなかったんだろ?」 「え?そうなのか?」 「えぇ…」 ミントは困った表情で、頬に手をあてると 「ここで、ちとせさんの態度や反応をみてまして…もしかしたら、と思っていたんですが」 前置き それは、ミントが自分の能力(テレパス)を使った、という暗黙の了解だ
「ちとせさん、どうやら…タクトさんに恋をしているようですわ」
「こ、恋ぃ?!」 言われた本人が一番驚いた 「それ、ホント?!」 「なんだってこんな馬鹿に?」 ミルフィーとランファが同じように驚いてみせる その横でフォルテは 「あーぁ、やっぱりねぇ」 やれやれ、とため息 更に隣りのヴァニラも、流石に驚いているようだ
「まぁ、恋といっても…憧れが少し強くなったような感じなんですけどね」 ミントがそういったとき、ミルクティーが運ばれてきた 優雅な動作で、一口 「なるほど、だから、あんだけタクトのことになるとムキになったのね」 一番つっかかられたランファがうなづく 恋する相手にあれだけベタベタされれば、怒ったりもするだろう 「あいかわらず、タクトはモテモテなのだな」 シヴァがうなづく 経験者は語る(笑) 「こまったねぇ…」 「困りました」 はぁ 全員が再び、ため息
「俺、ちょっといってみようかな」 しばらくしてから タクトが席を立った 「タクトさん?」 「逆効果なんじゃない?」 「うん、駄目そうだったら、すぐ引き上げてくるからさ」 タクトは、少し困ったように笑うと 「じゃぁ、ちょっと失礼します。シヴァさま」 シヴァにそういうと、ティーラウンジをでていった 全員がその後ろ姿をみまもり 「タクトさん…少し、寂しそう、でした」 ヴァニラがポツリとつぶやいた 「まぁ、受け入れられないってのは、けっこう、きついからねぇ」 フォルテがボリボリと豪快に頭をかく 「でも、タクトさんなら、もしかして…」 ミントが、不思議と、期待のこもった声をだした 「うむ」 シヴァがそれに、うなづいてみせる 全員は、もう一度、タクトがでていった、ティーラウンジの出入り口に視線をむけた
ちとせの部屋 「ちとせ?」 コンコン 軽いノック音 「…はい」 微かに声 「あの、その…ちょっと話があるんだけど…」 切り出し方がわからなくて、ストレートにいってみる 沈黙 (駄目かな…) そう、おもった、次の瞬間 プシュー 空気の抜ける音がして 扉が開く 「…おはいり、ください」 「あ、うん…」 声がするまま、タクトは中に一歩足を踏み入れた
「うわ、すごい…」 中にはいると、草の香りが、した 「あ、これの香りかな…なんだろう、これ…」 タクトは、ちとせの部屋に敷き詰めてある翠の床に視線をむける 「あの、マイヤーズ司令…靴は脱いでもらえますか?」 そこに、奥からでてきた、ちとせが声をかけた 「え、あ、うん…ご、ごめん」 タクトはあわてて、靴を脱ぐ そして 「おじゃまします」 行儀よくいうと、一歩中に足を踏み入れた 「…あ、かたい」 「マイヤーズ司令は、畳は初めてですか?」 「タタミ?」 「はい、私の故郷では、一般家屋の床にはこれを敷くんです」 「へぇ…良い香りがするね」 「イグサという草を編んで作ってありますから、イグサの香りでしょう」 ちとせはそういって、タクトに座布団をだした 「どうぞ、お座りください」 「あ、うん」 腰をおろす 「それで、ご用件は…」 「あ、いや…その…」 たずねられて 困った (しまった、勢いできちゃったけど、とくになにも考えてなかった) それ以前に (っていうか、自分のことってどうやっていえばいいのやら) 考える そうこうしていると 見かねたのか、先に、ちとせが口を開いた
「マイヤーズ司令、先ほどは、失礼な態度をとって、もうしわけありませんでした」 「え?あ、いや…」 「ですが、やはり…その…どうしても私には、そういったことは受け入れられないんです」 「ちとせ…」 タクトは目の前に正座するちとせに視線をむける うつむいた顔が苦しそうだ 膝のうえに並んでおかれた手も、震えていて 「すいません、勝手なことだとは、充分、承知しているのですが…」 「あ、うん…いや、それは…いいんだ」 無理しなくても、と付け足す 「俺もちょっと忘れてたよ、エルシオールのみんなは、けっこうあっさり… というかむしろ、積極的に応援してくれたからね…」 思い出す ダンスパーティーのパートナーをきめるとき、逆に、自分の気持ちに正直になれと後押しをしてくれたり 告白しやすいように、花束を用意してくれたり エオニアの手から救い出してくれて そのとき、レスターを説得してくれたり その後も なにかあるたびに、自分たちの背中を押してくれたのは、エンジェル隊をはじめとした エルシオールの仲間たちだったから 「だから俺も、ちょっと勘違いしてたのかもしれない…万人に受け入れられることなんて、ないんだしね」 笑顔 にっこりと でも 寂しい笑顔 ちとせの胸が鳴った いつもとは、違う キリキリと しめつけられるように、苦しくなる 「だから、ちとせが受け入れられないんなら、それはそれで仕方ないと思うよ」 ちょっと寂しいけどね 困ったように、笑う ひとしきり、笑うと すっ タクトは姿勢をただし 表情を引き締めると 「でも、ちとせ…俺を毛嫌いするのはかまわないけれど、レスターや、他のみんなまで嫌わないでいてほしいんだ」 「そんな…」 「レスターは凄くいいやつで、俺は恋愛感情とかそういったもの一切ぬきで、あいつを信頼しているし ミルフィーも、ランファも、ミントもフォルテも、ヴァニラも…大切な仲間で…でも、俺はちとせも大好きなんだ だから、俺や俺とレスターのことで、ちとせが他のみんなと一緒に居てくれないのは、すごく、寂しい…」 駄目かな? タクトがたずねるのと ちとせの声が重なる 「そんなことありませんっ、わたし、私も、みなさんが大好きです…」 「…ちとせ」 「クールダラス副司令も、ミルフィー先輩も、ランファ先輩も、ミント先輩も、フォルテ先輩に、ヴァニラ先輩 みなさん大好きです…もちろん、マイヤーズ司令も、嫌ってなんかいませんっ」 だから だから、そんな悲しい顔をしないでください ちとせの言葉は続かなかった 視線の先の、タクトの顔は、いつまでも寂しそうに笑ったままだったから 「…っ」 言葉が続かない 彼にその表情をさせたのは、自分だ だけど でも… 「でも…でも、混乱、してしまって…ただ、受け入れられない、だけなんです…だから、す、すみません」 見ていられなくて 目を、つぶった
「うん、ありがとう…ちとせ。今は、その気持ちだけで充分だよ」
タクトの声がする 今までで、一番、悲しい声 目をつぶっているのに、表情が浮かんでくるような それは、聞いた中で一番優しい声だったくせに まるで泣いているかのような響きをもっていて
「俺たちはティーラウンジにいるから、落ち着いたらおいで?シヴァ様も君にあいたがってたよ」
タクトは最後にそういって、ちとせの部屋をあとにする ちとせは… ちとせは結局、タクトがでていくまで、目を開くことができなかった
| 2005年01月05日(水) |
ひぐらしのなく頃に解の日 |
ひぐらしのなく頃に解をプレイしました 今回もノンストップ、徹夜プレイです(うふふー) えーと はい みぃちゃんがアレでなかったのは嬉しかったんですが 今度は詩音が…(あわわわ) あと、たぶんいきているであろう圭ちゃんがやっぱり死んでたのが 悲しかったです つーか、入れ替わり立ち代りしてるとおもったら、入れ替わりは一回だけ だったんですね(びっくり) でも、これでやっと他キャラが生残るEDがでてきましたね というか、オマケがっ><ない、さみしーっ、つーか、Kの立ち絵が でてきたのになんでないんですか?!(しょっきんぐ) もしかしたら後日配布とのことで、期待してまってます。はい。
第11話「駄目だしヤオイパイ」
「ルフト先生っ」
「おー、元気そうじゃの」 「どうしたんですか?」 バタバタバタ 「タクト、騒がしいぞ。落ち着かないか」 かけよってくるタクトに、レスターが一喝した 「レスターはうるさいなぁ」 はぁ、タクトはひとつため息 そこへ、続いて、エンジェル隊も到着する 「ルフト司令、おひさしぶりです」 ミルフィーがにこにこと頭をさげた 他のメンバーも一礼する 「君たちも元気そうでなによりじゃ…あぁ、ちとせ」 「は、はいっ」 「ひさしぶりじゃの。タクトとは無事に合流できたようじゃな」 「はい」 「こんなやつで驚いたじゃろう?悪気はないんじゃ、ゆるしてやってくれ」 「そ、そんな…そんなことはありません、マイヤーズ司令はすばらしい方です」 「ほぅ」 彼女にしてはかなり珍しく、きっぱりと反論をかえされ、ルフトは興味深そうに目を細めた 会話をさえぎったのは、レスターだった 「ところで、先生までどうしてエルシオールへ?」 「ふむ、それなんじゃが…」 そこまでいったところで 「あぁっ!!」 絶叫 「タクト、さっきからうるさいぞ。少しは静かに…」 そこまでいって、レスターもかたまった エンジェル隊もかたまっている 全員の視線の先には
「うむ、出迎えごくろう」
幼いながらも威厳のある声で一言
「シ、シヴァさまっ?!」 「タクトっ、ひさしぶりだな!元気そうでなによりだ」
現トランスバール女皇 シヴァ・トランスバールはにこやかに降り立った
「どうしてシヴァ様までここに?」 「それはだな…」 シヴァが口を開くのとほぼ、同時 「タクトッ」 今度はめずらしく、レスターが叫んだ 「へ?」 「これをみろ…」 差し出されたのは、補給品のリスト一覧だ タクトは、上からそれを、みていき そして、ある一点で目がとまった 「どーしたんだい?」 フォルテが声をかける と
「ほ、補給品の中に…”クロノ・ブレイク・キャノン”がある…」
「えぇーっ?!」×6 エンジェル隊全員の声が重なり 「クロノ・ブレイク・キャノンだって?!」 「それって、黒き月をバーンってやっつけたあのバーンって凄いやつですよね?」 「どーしてそんなものが?」 「そのために、ルフト司令とシヴァさまがいらしたんですね」 「…」 「ク、クロノ・ブレイク・キャノン…そんな…」 くちぐちに、感想をのべる 代表してタクトが 「シヴァさま、これはいったい…」 「うむ、実は先日お前たちから報告のあった”メッセージ”なのだが…」 「は…」 「母上がおっしゃるには、あれは白き月の聖母が代々受け継いできた伝承と関係があるらしい」 「シャトヤーンさまが?」 「母上は白き月を動けぬ、だからこうして私がその真意をお前たちにつげにきたのだ。 そして、万が一にそなえて”クロノ・ブレイク・キャノン”を用意したのも私だ」 シヴァは自分が降りてきた戦艦をちらりと見た そこからは今まさに、クロノ・ブレイク・キャノンがドッグにおろされるところである 「白き月に伝わる、ただしい伝承は…
番人たる双子、楽園を囲み輪舞を踊る 漆黒は確か、されど有限 真白は不確か、されど無限 双子は絶つ者、時を越えて災厄を絶つ者 双子は待つ者、時の果ての結びを待つ者
と、なっておる。これは…代々の月の聖母のみが受け継ぐことの一つなのだそうだ」 「…それは、つまり、閉鎖区間のような?」 「そうだ」 シヴァはこっくりとうなづいてみせた。
「あのぅ」 そこに、ミルフィーから声がした 「どうしたの?ミルフィー」 「えっと、立ち話もなんですから、みんなでティーラウンジにいきませんか?」 「あ、それはいいわね」 「えぇ、賛成ですわ」 ランファとミントがにっこりと賛同する 他のエンジェル隊も 「そうだね、シヴァさまもおつかれだろうし」 「いい案です」 口々に同意した タクトも 「うん、それがいいね」 にっこり笑顔でうなづいた そして 「じゃぁレスター、俺たちは移動するよ。ブリッジをたのむ」 「あぁ、わかってる」 いつものやりとり それをみていたシヴァは 「ふむ。あいもかわらず、クールダラスとお前の仲は睦まじいな」 「へ?し、シヴァさま?」 「…恐縮です」 いきなりの発言におろおろするタクトと 逆に、冷静にひとつ礼をかえすレスター 「照れるでない、恋人同士の逢瀬とは良いものだ」 「シ、シヴァさま?!なにをっ」 タクトが真っ赤になって講義する それを、シヴァはおかしそうにみつめると 「タクトは変わらぬな…せいぜい、クールダラスに幸せにしてもらえ。お前が幸せなら、わたしも嬉しい」 にこにこときりかえし 「さ、移動するぞ。ティーラウンジとはどこだ?」 そういって、歩き出した 「な、な、な…」 「タクト、おいてかれるぞ」 いつまでも、赤面しながらおろおろするタクトにレスターが声をかける
それは、そのとき、おこった
「だ、だめですっ!!」
絶叫は 「ちとせ?」 全員の視線が集中 そこには、今までにみたこともない必死の形相でたっているちとせがいた 握られた手が震えている 「ち、ちとせ?どうしたの…」 タクトがそう声をかけるのとほぼ同時に 「お、男同士だなんて、そんなの、間違ってますっ!!」 「へ?」 あまりの大声に、格納庫のクルーも、固唾を飲んでそのようすを見守っていて 「えーっと…」 「駄目です、そんな、反対ですっ」 「ちとせ?お、おちついて…」 そういって、伸ばされた手を
バッ
振り払って ちとせは駆け出していった
「彼女は…?」 突然の出来事に、全員が混乱するなか ポツリと呟いたのは、シヴァであった 「あぁ、そうかシヴァ様はまだお会いになっておりませんでしたな… 彼女が6番機シャープシューターのパイロット、烏丸ちとせですじゃ」 ルフトが横から耳打ちをした 「うむ、そうか…彼女が」 シヴァの視線は、ちとせがかけだしていった出口のほうをむき固まった
今日は仕事始です。 今年も一年がんばりますv
と、いいつつ、学園ヘヴンをプレイ。 まぁ、可もなく不可もなくおもしろいです。 ただ、ヴィジュ・アらしい欠点が…ちらほら(巻戻しボタンが推し難い、とか) 下作業ができない、と、オート機能なし、と演出etcの設定変更なしという ADVとしてはいささか致命的な不備もあるにはあるんですが、1キャラが かなり短いので、なんとかがまんできる範囲… あと、18禁のわりに、肝心のシーンが物足りなく感じるのは俺だけで… (ごふごふごふ)←後日訂正:中嶋ルートはすごかったです(笑) 一番きになるのは、和希にーちゃんの歳!いくつなんだよ、あんたっ ストーリーは、どれも、無難っちゃー無難… キャラの関係と設定と、なんといっても雰囲気がいいので楽しかったです ただ、上でもいったんですが、1キャラが短すぎなので、ちょっとついていけない 部分があちこちに…男性向けみたく、無駄に長いのもどうかと思うんですが 無意味に短いのもどうかと思われます… あと、途中でなんとなく察してたんですが、主人公総受じゃないんですね(ふっ) これで、彼と先生も攻めだ!っていうんならはまってたかもしれないんですが まぁ、いっか。 ともかく、凄く楽しいゲームでした。これなら、18禁抜きでも楽しめたかも しれないですね。
第10話「レスタクバナナのわだい売り」
銀河展望公園
「しくしくしく」 ベンチに腰かけて、さめざめと泣くタクトをかこむエンジェル隊 「これはまた、こてんぱんにやられたねぇ」 カカカとフォルテが笑った 「ったくもう、あんたがレスターさんに勝てるわけないんだから。馬鹿ねぇ…ほらっ、涙ふきなさいよ」 ランファはそういって、タクトにハンカチをにぎらせる 「こわかったですー」 ガタガタと震えながらいうのは、ミルフィーユ 「タクトさん、泣きすぎで水分が不足しています。補給してください」 ヴァニラは用意していたスポーツ飲料をさしだした そこに 「あら?ちとせさん…」
ミントの声がして、全員がそこをみると、ちとせが立っていた わずかに肩で息をしているところをみると、はしってきたようだ
「どうしました?」 にっこりとミントが笑顔でたずねる 全員が何事か…と、注目した
「あ、あの…そのっ…マ、マイヤーズ司令の…恋人って…」
「おれ?」 ランファからもらったハンカチで、涙をふきながら、タクトが首をかしげた ちとせは、すぅ、はぁと呼吸をととのえ そして、意をけっしたように
「マイヤーズ司令の恋人というのは…もしかして…クールダラス副司令なんですかっ!?」
一息で言い切った。 全員は 今更なにを…という表情をつくり
「うん、そうだけど?」
当の本人である、タクトがうなづいて、返答した。
「そ…そんな…」 ばさりっ ちとせの手から、書類の束がおちる 「あ、ちとせ…おちたよ?」 状況をのみこまないミルフィーが、それを拾い上げ 「どーしたのよ、ちとせ?」 ランファがたずねた
「そんな…だ、だって…お二人は…その、お、男同士じゃないですか?」 「あー、うん…そうなんだけど…なんとなく」 照れたような笑いをこぼす (ついさっき、あんだけ虐められたのも忘れて) 「そんな…」 一人、ショックをうけているちとせをおきざりに 「なんだ、ちとせは知らなかったのかい?けっこう有名なんだけどねぇ、タクトとレスターの仲は」 「まぁ、クーデター後の話ですし、エルシオールスタッフという枠もありますから、仕方ないでしょう」 「でもさー、けっこうわかりやすいとおもうけどなぁ。あ、もしかしてちとせってけっこう鈍い?」 「恋愛ごとに興味がなければ、意外と、気がつかないこと、かもしれません」 「お、ヴァニラがこの手の話題に加わるのはめずらしーねぇ」 わいわいがやがや 好き勝手騒ぎ出す
「はい、ちとせ。全部拾えたとおもうけど?」 そこへ、ミルフィーが拾い終わった書類をさしだした 「ちとせ?」 反応がないので、首をかしげて、もう一度名前をよぶ 「…そ」 わずかばかり、ちとせが口をひらきかけた そのとき
『連絡します…マイヤーズ司令とエンジェル隊は格納庫に集合してください…繰り返し連絡します ルフト宰相のザーフ級戦艦が到着しました…マイヤーズ司令とエンジェル隊は格納庫に集合してください…』
艦内放送が響いた 「ルフト先生が?」 タクトがパッとたちあがる 「お、やっと到着したのかい」 「いそぎませんと」 「ちとせ、なにぼーっとつったってんの?集合よ、集合」 バタバタとあわただしくかけだしていく 「は、はいっ」 条件反射で返事をかえし、ちとせもそのあとに続いた
| 2005年01月03日(月) |
今日で正月もおわりです…の日 |
今日でお正月も終りです みなさんはどんなお正月でしたか? おいらは寝正月あらためGA正月でした(いつものこと) 明日からお仕事です がむばります
第9話「べったべたサラダバー」
「ちとせが?」 射撃場 銃撃音と銃撃音の間に、タクトの声 「あぁ、落ち込んでたらしいよ?」 カシャンっ パラパラ 硝煙の匂い 「どうしたんだろ?この前の、きにしてるのかなぁ」 「罰則なしっていうのはまずかったねぇ」 「え?」 タクトが首をかしげるのと、銃撃が重なる タァンッ タァン 休まずに2発 それは、綺麗に的に命中した 「あの子は自分に厳しそうだからね、なんか簡単なことでいいんだよ、トイレ掃除とかそういったもので 自分を許すきっかけをつくってあげるべきだったのかもね」 タァン 「なるほど…」 タクトは、的に吸い込まれるように放たれた弾をみながらつぶやく タァン 「ところで、あんたのほうは旦那と仲直りしたのかい?」 「うっ…こ、これからしにいくところだけど」 「一人でだいじょーぶかい?なんだったら、フォルテ姉さんがついてってやろうか?」 タァン 最後の一発と、可笑しそうに笑うフォルテの声が重なった
「ちとせさん、ですか?」 「うん、元気がないってきいたんだけど」 ブリッジにあがる途中、コンビニでミントを見かけた 声をかけるついでに、話題をふってみる テレパスであるミントなら、なにかいいアドバイスをくれるかもしれない 「…問題ありませんわ」 少し考えるそぶりをみせてから、ミントはにっこり笑ってそういった 「そっかぁ」 「えぇ、ちとせさんのことは、わたしたちにおまかせください」 「うん…」 なんとなく、拒否を感じて、タクトは歯切れ悪くうなづく 「それよりもタクトさんは、クールダラス副司令と早く仲直りなさったほうがよろしいかと」 ミントが話題をかえた 「ミ、ミントまで…わかってるったら」 はぁ、とため息 「ふふ、お二人にうまくいっていただかないと困りますものv」 くすくす 意味ありげなミントの言葉は、含み笑いに消されてしまった
ちとせはそのころ、ブリッジにむかって歩いていた 謎の通信文の報告書ができたのである …口実であった 「やっぱり、先輩方のだれかなんだろうな」 小さなつぶやき ここにきてから 自分がじぶんでなくなっていくような不安ばかりが胸をしめる 今もそうだ 「わたし…どうしちゃったんだろ…」 自問自答を繰り返しながら歩く 最初は、雰囲気からフォルテ先輩だと思った けれど、あのときのミント先輩の言葉はフォルテ先輩に対したものだ 仲が良いというなら、やっぱりミルフィー先輩だろうか? ”ちとせも知ってる人だよ”というのは、自分、という意味なのかも いや、あのミルフィー先輩がそんな遠まわしな表現をするわけがない じゃぁ、これも違う すると、ランファ先輩? そうだ、だとしたら二人の過激なスキンシップの理由もわかる気がする あ、でも、ランファ先輩は”あんな恋人ほしい”っていってたっけ ということは違うのか 残ったのはヴァニラ先輩だけれど…
考えているうちに、ブリッジについてしまった ドキドキ、する すぅはぁ 深呼吸をしてから なんとなく、手にもっていた書類を確かめる よし 自分で自分に気合をいれて 扉を開けた
口論のきっかけは、たぶんどちらも覚えていない 「レスターのわからずやっ」 「どっちが」 エンジェル隊は普段からは想像もつかない、タクトの姿に呆然と 「そんなに俺のことが信じられないならっ、もうほっとけよ」 「落ち着いて俺の話をきけっこの馬鹿っ」 ブリッジクルーは今まで一度として見た事がない、レスターの姿に唖然と 「普段はなんにもいわないくせに、こんなときばっかりっ」 「…」 タクトが図星をついた レスターがだまる ざわっ 空気が動いた ”すごーい、タクトさんがレスターさんに言い勝った” ミルフィーが声にださずいった ”ほんと、ほんと、これが惚れた弱みってやつね” ランファもそれにうなづく
「なんとかいってみろよっ」 「………」
てごたえに、タクトがもう一押しした 誰もがタクトの勝ちと、レスターの次の行動に注目していた そのとき
ぷしゅー 扉が開く
「失礼します、烏丸ちとせですが…」
最初にちとせが見たのは、レスターの腕だった 普段から長めの彼の腕が、さらにのび 誰かをつかんで 引き寄せる
「え?」 「なっ?」
二人の声が重なった瞬間
「んぅっ!!」
悲鳴すらあがらなかった 誰もが、その唐突の出来事に、ただただくぎ付けになる 農耕なディープキス 口論のとばっちりをくらわないよう、遠巻きに眺めていた全員にすら、その舌の動きがわかるほど くちゅ…ちゅっ…ぐちゅ… 心なしか、そんな音まできこえてくる 「んっ…んぅ…ふっ」 しばらくして、自分の置かれている状況がわかったタクトが抵抗する ばたばた つかまれて思うように動かない手足をばたばたと それが効かないと悟ると、精一杯突き放すように だが、基礎体力が違いすぎるのか レスターはビクリとも動かないどころか、逆にさらに強く抱き寄せて、キスを深いものにしていく そうして、もうどれくらいたっただろうか 「んくっ…」 コク、ゴクッ、コクンと小さく、飲み込む音がして やっとタクトからレスターの手がはなれた
「はぁ…はっ…ぁぅっ」 どさっ タクトがその場に座り込む それを 「うわっ」 ぐいっどさっ 引き上げ、司令席におしこむという一連の動作を流れるようにやると 「タクト…」 低い、低い、まるで地獄の底からのような、低い声で名前をよんだ 「は、はい…」 毒気をぬかれたのか、素直な返事 そのあまりの怖さに、まわりの人間は、体の芯に氷の線が一本はいっているかのような錯角を覚えながら 「これ以上…ガタガタ、くだらないことで、なにか言ってみろ」 にっこり 笑顔、だった 今まで、誰もみたことがない、すばらしい笑顔だった ”怖っ!” 全員の心の声がひとつになった 恐怖のまなざしを一身にあつめる中 にっこり、えがおで、ひとこと
「この場で、犯すぞ?」
かわいそうなくらい、ちいさくなって、震えながら、タクトは何度もうなづいてみせた 「どんだけ泣こうが騒ごうが、全裸にむいて、前戯なしでツッコムからな?」 「あ、あぅ…ぅ………」 「誰がとめようが何がおころうか、おまえの腹がパンパンに膨れるまで、なかだしするからな?」 「ひっ」 「ほら、立派な愛の告白だろーが?もっと喜べよ」 ”鬼畜モード全開ですっ!!” 「あぅーえぅーあぅぅぅ…」 ついにタクトが泣き出した そりゃそうだ、見ているこっちが泣きそうだからな 誰ともなく、そんなことをおもいながら、タクトに同情する レスターは、涙をみて、ふぅとため息をつくと 「さぁ、おまえらも仕事に戻れっ」 見世物じゃないぞ といいながら、パンパンと手をたたいて解散を促した 「エンジェル隊はその馬鹿をつれていってやってくれ」 「は、はいっ」 ミルフィーが返事をするよこで、 フォルテとランファがすっかり屍と化したタクトを引きづっていった
みなさん、今日見た夢が初夢でした なにをみましたか? おいらは見たけど忘れちゃ今したー(駄目人間)
第8話「おろおろパスタ」 「もうしわけありませんでしたっ」
ブリッジにはいるのとほぼ同時に、ちとせはそういって頭を下げた 全員が何事かと視線をなげる タクトは…
「おかえり、ちとせ」
にっこりと変わらない笑顔で、ちとせを迎えた ちとせが次の言葉をつなごうとした、そのとき
「おー、タクトじゃないか。ひさしぶりだねぇ。元気にしてたかい?」 「おひさしぶりですわ、タクトさん」
フォルテ・シュトーレンとミント・ブラマンシュ ちとせに続いて二人がブリッジにはいってくる 「フォルテっ、ミントっ」 タクトが二人にかけよる かけよったところで がしっ フォルテに頭をつかまれた 「あぅー」 「あははは、元気そうじゃないか!司令官どのv」 ぐりぐり、がしがし そのまま、豪快にあたまを撫でられる 「フォルテもあいかわらずだなぁ」 「フォルテさん、あまりいちゃつきますと、タクトさんの恋人ににらまれちゃいますわよ」 いつまでも止まない抱擁に、ミントがストップをかけた チラリ 2人の視線が、レスターにいく レスターは、我関せずといった感じで戦闘の事後処理に勤めていた 「お前の旦那も相変わらずなんだなぁ」 「んー」 そこへ
「フォルテさーんvミントさーんっv」
ブリッジの扉が開くのと同時にミルフィーユが飛び出してきた そのまま、二人に抱きつく 「うわぁ…おいおい、ミルフィー…あんまりはしゃぐんじゃないよ」 フォルテが仕方ないねぇと苦笑しながら受け止める 「ミルフィーユさんらしいですわ」 ミントも少し困った風にみせながら、まんざらでもなさそうだ ミルフィーは、えへへと笑うと 「あ、ちとせ。大丈夫だった?」 呆然とつったっているちとせに声をかける だが 「………」 返事がなく もう一度 「ちとせ?」 「っえ?…は、はい、ミルフィー先輩、すいませんでしたっ」 「?」 あわてて、頭をさげるちとせに、ミルフィーが疑問符をだす 助け舟はエンジェル隊のリーダーから 「なにいってるんだい、ちとせはよくやってるよ」 「ですが、私は生意気を言って命令違反を…罰則をうける覚悟はできております」 今にも泣き出しそうな悲痛な表情で、顔をあげる 「命令違反?おれ、なんか命令なんかしたっけ?」 タクトはのほほーんとかえした 「マイヤーズ司令っ!」 「お願いならしたけどね」 いったところで
「そうよ、それに元はといえばタクトの作戦が甘かったのが悪いんじゃない」 「ちとせさんは、なにも悪いことはしていません…問題、ありません」
やや遅れていたランファとヴァニラが到着する ちとせは 「ランファ先輩っ、マイヤーズ司令は悪くありません、わたしが…っ」 「あのねぇ、ちとせ。タクトなんてかまうことないのよ?」 「そんな…そんなことをおっしゃらないで下さいっ、マイヤーズ司令はすばらしい方です 今回の指揮も見事でした、私が…私が生意気さえいわなければ…」 「すばらしいって…あんたちょっと、タクトのこと過大評価しすぎよ、この前から」 「ランファ先輩っ、わたしはっ!」 二人の会話は続かなかった
「うぇぇぇーんっ」
ミルフィーユが泣き出したせいだ 「ミルフィー?」 「ミルフィーユさん?」 「ミ、ミルフィー先輩っ?ど、どうされたんですか?」
「うえぇぇーん、やめようよ、ランファもちとせも、ケンカしちゃ嫌だよー」 声がブリッジにこだまする 「ミルフィー、な、なくなー」 「ミルフィーユさん」 「泣きやんでくださいまし」 タクト、ヴァニラ、ミントがおろおろとミルフィーをなぐさめる 「ケンカしちゃ嫌だよぅ、せっかく、せっかくエンジェル隊がみんなそろって、タクトさんもいるのにぃ」 えぐえぐえぐ ボロボロ涙をこぼしながら訴える 「ケンカなんかしてないわよ、だから泣き止みなさいよ」 「そ、そうです、ミルフィー先輩、泣き止んでください」 「ほらほら、泣くんじゃないよ、ミルフィー」 ランファとちとせ、そしてフォルテも慰めに加わった 全員で頭を、よしよし、となでる そうしてやっと 「ほんとに、ケンカしません?」 「してないわよ」 「はいっ、だから泣きやんでください」 「…うん」 グスン、グスン 鼻をすすりながら、やっとミルフィーは泣き止んだ
「タクト、うるさいぞ、そういうことは外でやれ」 流石の大騒ぎに、ついにレスターからクレームがつく 「わかったよ…じゃぁ、みんなティーラウンジにでもいこうか?エンジェル隊集合記念で俺が奢るよ」
「やったぁv」×6
全員の声がそろった…
ティーラウンジへの通路途中
「タクト、あんたの旦那、なんか悪いものでも食べたのかい?」 フォルテがピシピシと、愛用のムチを手で遊びながらたずねた 「へ?」 「いやにさっきの態度が冷たかったからさ」 「あぁ、うん…えーっと」 「ケンカでもしたのかい?」 「したといえばしたし…してないといえば、してない」 どっちなんだよ、はっきりおしよ、とフォルテがため息をついた 「まぁあんたたちのことだから心配はしないけど、さっさと仲直りおしよ」 「…うん、そうするよ」
「ミントさん、どうかしましたか?」 ヴァニラが、少し心配そうにミントに声をかけた 「え?」 「なにか、考えておられるようなので」 「…んー、ヴァニラさん。ちとせさんって、ずっとあぁですの?」 ミントは後ろを歩くちとせに声が聞こえないことをたしかめながら呟いた 「?意味がわかりかねますが」 「つまり、ずっと…タクトさんにああいう態度を?」 「それがどういう意味をしているのかわかりませんが、私たちが合流したときから ちとせさんは、タクトさんに対する態度をかえてはおられません」 「そうですか…まだ間に合うといいんですけれど」 はぁ、と小さなため息
「ランファ先輩、ミルフィー先輩、すみませんでした」 「あー、もうその話やめやめ。きにしてないから」 「うんvねぇちとせ、なに食べる?私はねぇ…」 ケーキの名前を口にだしはじめたミルフィーの言葉をさえぎって 「あ、あの…ひとつ、伺ってもよろしい、ですか?」 「ん、なに?」 「なぁに?」 二人がふりむく ちとせは、チラリと、先頭を歩くタクトをみると 「その…さっきミント先輩がおっしゃっていたんですが、マイヤーズ司令の恋人って…」 小さな声でぽつりと呟いた 「タクトさんの恋人?それが、どうかした?」 「いえ…っ、そ、そう、ですか…やっぱり、恋人…いらっしゃるん、ですね」 「あれ?あんた知らなかったっけ?けっこう軍内部じゃ有名なんだけど」 「ど、どのような方なんですか…?」 震える声をおさえて、絞り出すような問い 二人は気づかず 「どんなって、完璧よ、完璧。あーぁタクトがうらやましー!私もあんな素敵な人ほしいー」 「ちとせも知ってる人だよ?」 「えっ?!」
ティーラウンジに到着したので、会話はそこで中断されてしまった。
| 2005年01月01日(土) |
新年あけましておめでとうございますの日 |
新年あけましておめでとうございます 今年も一年、どうかよろしくお願いいたします(ぺこり)
2005/1/1/元旦 かみぃ拝
第7話「集合エンジェルサバ当たりつき」
「通信の解読ができたって?」
その日、おくれてブリッジにやってきたタクトは、開口一番にそういった ブリッジにはすでに、ミルフィー、ランファ、ヴァニラとちとせがそろっている タクトは司令席に腰かけてから 「それで、内容は?」 そう、解析担当であったちとせに声をかけた
「はい、先日宇宙クジラからもたらされた謎の通信ですが、あれはメッセージであることがわかりました」
それは、タクトがエルシオールにうつってからすぐのこと 宇宙クジラが頻繁に謎の通信を受信するようになったのがはじまり 解読不能とおもわれていたそれの解析を志願したのは、ちとせであった
報告書を読みながらの進言する 「発信源はわかるか?」 レスターの問いに 「はい…その、発信源なのですが、レナ星系の中心部かと思われます」 「レナ星系?それって…」 「今現在の目的地じゃないっ」 「メッセージの内容はなんと?」 ミルフィーとランファの声がかさなり、やや遅れて、ヴァニラの声がした ちとせは、姿勢を少しただすと
「よみあげます…
EDENの子らよ。今、時をこえ大いなる災いが再来した。我が元へ急げ… 白き月よ。今こそ、有限と無限を結び。古より定められた使命を果たせ… 白き月よ、EDENの子らよ、急げ。我らに残された時は少ない… 己が使命を果たせ、世が災いに覆われる前に…
あとは、同じような意味が繰り返されていました」
「さっぱりわけがわからんな」 「レナ星系の中心で、誰かが俺たちを待っている…ってことだけはたしかだけどね」 「敵か味方かは、わからんがな」 「まぁ、ここで危惧していても仕方ない…」 タクトはそういうと 「ちとせ、解読ありがとう。おつかれさま」 にっこりと笑って、ちとせの労をねぎらった 「は、はいっ…少しでもお役に立てたのなら、光栄…です」 「もちろんだよ、とっても助かった」 そこに、ミルフィーユの声 「タクトさん」 「ん?」 「そのメッセージ、シャトヤーンさまにお伺いしてみたらどうでしょうか?」 「はぁ?いきなり何いいだすのよ」 「だって、白き月あてのメッセージなんだから、白き月の管理者、シャトヤーンさまならなにかご存知かも」 「…そうか」 タクトは、ぽんっと手をうった 「それだよ、ミルフィー!それはいい案だ」 「まぁ、打倒な判断だな」 レスターが珍しく賛成した 「それもそうよね、めずらしくさえてるじゃないミルフィー」 「すばらしい案です」 「流石、ミルフィー先輩ですっ」 全員の羨望のまなざしをうけて、わぁいとミルフィーユが無邪気に喜ぶ そこに…
「ドライブアウト、しますっ」
ココの声とともに、視界が開けた
無限に広がる大宇宙 「もう少しで、ザッハ星系だな」 「ミントやフォルテともやっと合流できそうだな」 「エンジェル隊全員集合!です」 「はぁ、やれやれ、またさわがしくなるのか」 レスターが重いため息をついた そこに
ビービービーッ
「警報?!」 「どうした?」 何度聞いても慣れない、嫌な警告音とともに、エマージェシーランプが点滅を繰り返す 「て、敵影ですっ!」 「しまった、まちぶせか…っ、みんな」 「了解っ」 タクトが全員に視線を投げる 返答もそこそこに、エンジェル隊は駆け足でブリッジをぬけていった その横では、レスターがなれた指示で、第一級警戒態勢をしく 「マイヤーズ司令、敵艦から通信がっ」 「…あまりきがすすまないなぁ」 「そういうわけにもいかんだろうが、口先三寸はお前の得意分野だろ?紋章機がでるまで時間を稼げ」 「ちぇー」 パッ 二人の会話をよそに、司令席前のモニターに映像が浮かぶ もうじき初老という感じのがたいのいい男と、どこかしら不気味な雰囲気をまとった女 男が口を開いた 『ふはははははっ、今日こそ貴様たちの最後だっ』 レゾム・メア・ゾムはどこからきているのかわからない自信たっぷりの声で宣言する タクトは、はぁ…とあからさまにため息をついてみせた 『なんだ、その態度はっ』 「いやいや、エオニアの部下だったときから、ここまで変化がないのも珍しいなぁとおもいまして」 口調こそ丁寧だが、あからさまに侮蔑の言葉が混じっている ぷっ ブリッジのあちこちで、失笑が漏れた 『くぅーっ』 怒りで真っ赤にゆであがったタコのようになった、レゾムを止めたのは 『レゾム閣下、格下のモノのいうことにいちいち反応していてもキリがありませんわ』 ピクリッ タクトがわずかばかり反応をした それは、べつに”格下”呼ばわりされたからではない 本能的に ”本当に危険なのはあっちだ” と警戒しているせいだ 一見は忠実な部下の態度をとっているが その裏で、実権をにぎり、レゾムという操り人形を隠れ蓑にしている 今回の、本当の、黒幕は… 『…うむ、…そうだな、ネフェーリア。ふっ、エルシオールよ、今のうちに遺書のひとつでもかいておくことだっ』 通信は一方的にはいり そして、一方的にきられた
ネフェーリア
それが、彼女の名 正体不明の艦隊をひきつれ レゾムに”真・正統トランスバール”を名乗らせる、その真の目的はなんなのか… 「………」 ふいに 同じように、黒き月に操られていた彼のことを思い出す 高い理想を持った人 そして、その理想ゆえに、歩んではならない道を選んだ男… 「…」 「タクト」 「ん?」 「物思いにふけるのはあとにしろ。…エンジェル隊がでたぞ」 「………わかってるよ」 「ほんとーにわかってるんだかな」 「…」 いつも以上に冷たい物言いは、自分が今、誰のことを考えているか知っているからだろう 普段は冷静なくせに、そういうところでは直情的なのだ タクトは愛想笑いでごまかすと ピッ エンジェル隊との、個別通信回線を開いた
「ミルフィーとランファはレゾムの旗艦を狙ってくれ!ヴァニラとちとせは二人の援護を」
『はいっ』 『了解っ』 『わかりました』 『がんばります』
4っつのかろやかな返事がして、次の瞬間 ギュンッ 光も音もおいていき、紋章機が星の海へ飛び出していく
「ふふ、かかった」 目前の艦隊を爆破しながら、一直線にこちらを目指してくる紋章機 それをみながら、ネフェーリアはひっそりと怪しい笑いをこぼした 「ネフェーリアよ、本当にこれでいいのか」 不服そうな顔をして、声をだしたのはレゾムだ 「えぇ、もちろんですわ。これで、あの邪魔な紋章機と、エルシオールを吊り上げてみせます」 「…そ、そうか」 その言葉に納得して、レゾムの表情から曇りがぬけた 「………ばぁか」 自分にすら聞こえない、小さな、つぶやき
「まずい…」 同じ頃 モニターをみながら、タクトは小さくこぼす そして 「ランファ、ミルフィーっ、前にですぎだ、一度エルシオールまで戻ってくれ」 紋章機とエルシオールの空間がどんどん広がっていくのをみながら、急ぎの通信を打つ 『はーい、ラッキースター了解です』 『カンフーファイター、おっけー』 「ヴァニラ、ちとせ、戻ってくる二人の護衛を頼む」 続けざまに、残った二人にも次の指示をだした ほっと一息 そこに 「タクト、やばいぞ…」 「わかってる」 足の遅いエルシオール とりわけ、移動力の高い4っつの紋章機との差がおもったよりもあいている 二人が危惧するのは、同じ空間であった そこに
「シャープシューター?ちとせっ」 ヴァニラのハーベスタ−とは違い、その場を動かないのは 「ちとせ、なにをしている」 レスターがモニターに回線を開いた 映し出された彼女は 『ぎりぎりまで私がここで援護します』 「駄目だ、戻れっ、これは命令だぞ」 一瞬、ひるむ しかし 『私の上官は、マイヤーズ司令です』 「?!」 「へ?」 かたくなに、意志を変えようとしないちとせ 更に 『マイヤーズ司令、シャープシューターの移動速度、加速性能、射程距離を含めて考え、 ここから援護したほうが効率が良いと、提案します。お願いです、私にここで…』 「…ちとせ?どうしたんだ?」 タクトは、慌てず騒がず、静かな声で説いた 『え?』 「タクト、戦闘中だぞ」 すっ 右手が、レスターの前にゆっくりと差し出される。制止を意味する形で。 『…』 「なにかあったの?」 『わ、わたしは…ただ、効率の良い戦闘の方法を…』 「ちとせ、あせらなくてもいいんだよ」 『…っ』 「確かに、シャープシューターがそこで敵を食い止めてくれるなら、3人は比較的無傷でここまでこれる でも、君はどうなる?シャープシューターは?自分の力を過信しちゃいけない」 『過信など、していません…わたしは…』 「うん、わかってるよ。でも、あせらなくていいから、みんなといっしょにエルシオールに戻っておいで」 『それは、命令、ですか?』 ぼりぼり タクトは盛大に頭をかいた そして 「うーん、俺、あんまり命令するの好きじゃないんだよね…だからこれは、お願い」 「…タクトっ」 砕けたものいいに、レスターから激が飛ぶ それをのらりくらりとかわして 「ここにきて、俺たちと、エルシオールを護って欲しい」 『…わかり、ました』 プツッ 通信はきられた ふぅー 誰からともなく、息がもれる 「どうしたっていうんだ?」 「もうちょっと、あとちょっとって、結構恐いんだよ」 「…」 「とくに調子のいいときや、新しい環境になじめないときなんかね、止めどころがわからないから もうちょっと、あとちょっと…っていってる間に、戻れないところまできてたりする」 「ふぅん」 「問題は、間に合うか…なんだけどね」
そうタクトが呟いた、次の瞬間
ビービービー 「なんだ?」 「敵の増援ですっ」 「エルシオールと…紋章機の間に…」 アルモが青ざめた顔で、映像をモニターにまわした その艦影を確認しながら 「くそっ、まにあわなかったか!」 ダンッ 珍しくコンソールパネルを叩くなどという、野蛮的な行為でレスターが地団駄をふむ タクトは 「ランファ、ミルフィー、ヴァニラ、目の前の増援にはかまうな、まずはエルシオールと合流だ」
『わ、わかりました、なんとかよけてみますー』 『回避ならまかせなさいよっ』 『ハーベスタ−、了解』
3色の紋章機は、敵艦の間を踊るようにすりぬけて、エルシオールをめざす 「ちとせは?」
ちとせは、コックピットの中で青ざめていた 「うそ…」 増援にまで気が回らなかったのだ 「は、はやくおいつかなくちゃっ」 シャープシューターを加速させる 馬鹿だ 私は馬鹿だ、これがあるとわかっていたから、マイヤーズ司令は合流命令をだしたのだ 今ごろになってきづくなんて 自分を叱咤しながら、ぐんぐんスピードをあげる かなりのスピードはでているはずなのに、いっこうに早くなった気がしない いそがなきゃ いそがなきゃ 「わたし、私…どうして…」 自分で自分がわからない そこに
ビービービー エマージェシーの赤いランプが鳴り響く
「え?」 モニターに目をやる 自分の若干、斜め上に更に敵の増援がきていた
「タクトっ」 レスターが叫ぶ 「わかってるっ」 めずらしく怒鳴り返してから 「…ちとせっ」
「うそ、うそ…ど、どうしたら…どうしたら…」 そこに通信がはいる 『ちとせっ』 「タクトさんっ、わたし…」 『ちとせ、おちついて』 「わたし、こんな、こんなつもりじゃ…」 あぁ あぁ、こんなときまで こんなときまで、彼の声は優しくて その優しさが、パリパリにはりつめていた心をゆっくりとほぐしてしまって 駄目だ 駄目だと思うのに 『ちとせ、だいじょうぶだから、おちついて?』 やさしい、声 おもわず すがってしまいたくなるような 「ちがうんです、わたしっ、わたしはただ、はやくみなさんのお役にたちたくてっ…わたし…」 『ちとせっ、目をつぶれ!!』 バッ いきなりの大声 条件反射で目をつぶる 真っ暗 暗黒の宇宙よりも、尚暗く… はぁ 空気が抜けるようにためいきが 『ちとせ、俺の声が聞こえる?』 「きこえます…マイヤーズ司令…」 不思議と エマージェシー音や 戦闘の爆音 紋章機のわずかな音 そんな細やかな音でさえ、すべてが視界とともに閉じ込められてしまった 声だけが、きこえる 『よし、じゃぁ指示をだすよ。これは敵に勝つためじゃなくて、ちとせが俺たちのところへもどってくるための指示だ』 「…はい」 『まずは、その場にとどまること。そして、前の敵はいいから、新しく現れた増援のほうをそこから遠距離射撃で一機ずつ集中攻撃』 「はい」 『前の敵は、ミルフィーたちがやっつけてくれるからね。任せて、君はミルフィーたちのために、増援を倒すんだ』 「はい…わたしが、先輩たちの、ために…」 つぶやく 『じゃぁ、俺が3っつ数えたら目をあけて、戦闘開始だ…待ってるからね、ちとせ』
3
「かえる…わたしは…マイヤーズ司令や、ミルフィー先輩、ランファ先輩、ヴァニラ先輩のところへ…」
2
「すぅ…はぁ…すぅ…」
1
0…
息をピタリと止めたのと同時に、視界が一気に開けた 「烏丸ちとせ、参りますっ!!」 気合とともに、かけごえ
狙いを定めて1撃 あたった 2撃 3撃 とどめ
すっ 流すように次の機体に標準をあわせる ピタリッ 中心があった瞬間に、1撃、2撃っ 続けざまにぶちこむ 3撃目が若干ずれた 4撃っ 微調整をして、とどめをさす
ギュンッ テンションメーターがはねあがったのを横目で確認すると 「いきますっ、フェイタルアローっ」 長砲身レールガンから、青白い閃光が放たれる バンッ あたる それは、爆破しながら、まわりの艦隊をまきむ そこへ 「もう一撃っ、フェイタルアローっ!」 間髪いれずに、次を放つ ドンッ 空間がきしみ、目前の増援敵艦が減っていくのがみえた 「つぎっ」 そう言って、次の標的へ狙いを定めた その瞬間っ
ドンッ 音をたてて、標的が爆発する 「え?」 なにが… そう、おもった、そのとき
『まってましたっ』
通信回線から、タクトの嬉しそうな声が、した
「ったく、なさけないねぇ」 足を組みなおして呟く キラッ 爆破の光を反射して、モノクルが鈍く光りをみせた 「やっぱ、あたしがいないとしまらないだろう」 なぁ 「司令官サマv」 『フォルテっ、ひさしぶりっ』 GA-004、ハッピートリガーの内部に、嬉しそうなタクトの声が響く それを心地よく耳にする と
「真打はやはり、最後に登場するのがセオリーですからv」 おだやかな、声 ピクピク 白い耳が、嬉しさをあらわしている 「おまたせしました、みなさん」 そして 「おひさしぶりですわ、タクトさん」 『ミントも…あいたかったよ』 GA-003、トリックマスターの中でそんな会話がかわされる ミントは、それに、にっこりと微笑をかえす そして
「さぁ、どきなっ!いっちょ派手にやったろーじゃないかっ!」 「ふふ、残った獲物はわたしたちに、お・ま・か・せvですわっ」
青と紫 二つの紋章機は、螺旋を描くように飛ぶと パッとわかれ、まずは挨拶代わりに一発ずつ
「ストライクバーストッ!」 「フライヤーダンス」
それぞれ、必殺技をたたきこんだ
「フォルテ先輩…ミント先輩…っきて、くださったんですね…」 ちとせは、ほぅとため息を、つく どっ 体中から力がぬけおちていくのを感じた
銀河最強といわれる5色の紋章機 それが、宇宙を翔けるのを 後に、人々が軌跡と称えるその光景を ちとせは、6色目の紋章機の中から、目の当たりにしていた
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