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JIROの独断的日記
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2010年11月05日(金) 【音楽】フィラデルフィア管弦楽団で29年間ピッコロ奏者を務めている時任和夫氏のソロ・アルバム。

◆ピッコロ(ピッコロ・フルート)は専門職なんですね。

フルートより、オクターブ音域が高く、音楽辞典を見るとオーケストラで最も高い音を出すのは、

ピッコロ(「ピッコロ」とはイタリア語で「小さい」の意味なので、正確にはピッコロ・フルートだが、

本稿では、以下「ピッコロ」と略す)なのです。

勿論、最初からピッコロを始めるのではなく、普通のフルートが吹けるようになってから、

持ち替えの楽器としてピッコロを吹くのです。しかし、これが本当は「片手間」で済むような楽器ではなく、

本当に上手なピッコロ奏者は少ないそうです。

何しろ、音域が高く、ちょっとでも音を出すと必ず聞こえてしまいます。音の大きさではなく、

音域と音色・音質の特性によるものだと思います。しかも楽器が短いほど音程は狂いやすいです。

とにかく目立つ上に、オーケストラ全体の音色に影響しますから、上手なピッコロ奏者は大変貴重な存在だそうです。


一流のオーケストラになると、はっきり「ピッコロ奏者」を募集します。

ベルリンフィル公式サイト、にVacant positions(空席=募集中)というページがあります。

ご覧の通り、

Piccolo Flute

with obligation for second flute

Required piece piccolo: Vivaldi C major Concerto

Required piece flute: Mozart D major or G major Concerto

(引用者訳:募集、ピッコロ奏者。2番フルート兼務。

オーディション課題曲、ヴィヴァルディ:ピッコロ協奏曲 ハ長調

フルートで、モーツァルト:フルート協奏曲(ニ長調・ト長調どちらでも可)

とあります。私が気が付いてからでも、既に2年半は経過しています。


◆オーケストラでの使われ方。

私が一番最初、ピッコロの響きの凄さに気が付いたのは、

ロッシーニの「どろぼうかささぎ」序曲でした。


「どろぼうかささぎ」序曲のピッコロ・ソロ



La Gazza Ladra_ Overture



これは、本当は生で聴くと良く分かるのです。びっくりしますよ。あの小さな楽器の音が全オーケストラがなっていても必ず聞こえるのです。

ラベルの「ボレロ」ではホルンとチェレスタとピッコロで、実に不思議な音がするところがあります。

ウィキペディアの「ボレロ」の解説に「オルガンから借用した手法」という詳しい説明があります。


その部分をお聴き下さい。


ラヴェル:「ボレロ」からピッコロ、ホルン、チェレスタが醸し出す不思議な音


Bolero Excerpt



もうじき第九の季節ですが、第4楽章。コーラスがフォルティッシモで、"vor Gott!"とフェルマータで伸ばした後、

総休止(全てのパートが休み。音を出さない)になり、8分の6拍子のマーチになります。ファゴットとコントラファゴットが後打ちで、

ピッコロがメロディーを吹きます。これはベートーヴェン先生の指示はピアニッシモなので、ピッコロ奏者は緊張するそうです。

その部分。


ベートーヴェン:交響曲第九番 第四楽章のマーチの部分


Beethoven Symphony No.9 piccolo fulte solo in march



このように、とにかく音を出したら絶対に聞こえるのがピッコロです。


◆フィラデルフィア管弦楽団で29年間ピッコロを吹き続けている時任和夫さんのアルバムが出ました。

アメリカにはプロのオーケストラが少なくとも350団体もあるそうですが

当然、トップクラスはごく少数で、フィラデルフィア管弦楽団もその一つです。

何回も来日してますから、私はずっと前からフィラデルフィアに日本人のピッコロ奏者がいることは

気が付いていましたが、大変失礼ながら、最近までその方が、時任和夫(ときとうかずお)さんというお名前であること。

今年で29年も首席ピッコロ奏者を務めておられることをしりませんでした。知ったきっかけは10月6日の日経文化面に、

ご本人の手記が載ったからです。そして時任さんのソロ・アルバムが発売されたことを知りました。

時任和夫 「ピッコロ・ヴィルトゥオーゾ」です。

届くまでに一ヶ月もかかりましたが、待った甲斐がありました。折角なので少しだけ引用させて頂きます。


テレマン「忠実な音楽の師」ソロ・ソナタ ヘ短調 TWV 41:f1 より アレグロ



Georg Philipp Telemann:Sonata in f minor II.Allegro



ピッコロは、えてして尖った感じ、刺激的な音を出すという固定観念を抱きがちですが、

何と言うのかな。時任さんは音の伸びは勿論抑制しないし、楽器を鳴らしているのですが、

上手い具合に音の先端を丸めている感じです。少しも刺激的ではない。

私はピッコロのイメージが大きく変わりました。


本題から話が逸れますが、この曲はテレマンははじめ、ファゴット用に書いたけど、楽譜の終わりに、

ソプラノ・リコーダーで演奏しても構わない。

との言葉が書いてあるそうです(時任さんのライナーノーツによる)。

ファゴットで吹くとどうなるか?


テレマン「忠実な音楽の師」ソロ・ソナタ ヘ短調 TWV 41:f1 より アレグロ(ファゴット)



テレマン:ソロ・ソナタ ヘ短調 TWV 41:f1 アレグロ(ファゴット)



うーむ。どちらもいいですね(笑)。因みにこれ、テレマンが書いている通りリコーダーでも吹けます。

難しいですよ。それはさておき、時任さんの演奏、もう一曲。バッハです。


バッハ:フルート・ソナタ ト短調 BWV 1020 第一楽章



Johann Sebastian Bach:Sonata in G minor I.Allegro



素晴らしい。ひじょうに音楽的ですね。

他にも、時任さんのために作曲されたオリジナル曲など、ピッコロ・ソロの名演が詰まっています。

こういうCDは、初めてですし、大変珍しいと思います。

ピッコロ奏者、フルート奏者の皆さんのみならず、音楽好きの方全てにお薦めします。

それでは、皆様、良い週末をお過ごし下さい。

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