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JIROの独断的日記
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2006年12月24日(日) 森麻季さんの歌には、いつも慰められる。

◆これだけ再放送が多いのは、リクエストが多いのだろう。その気持ちは良く分る。

私だって、ネットでも、新聞でも、テレビ情報雑誌でも、2週間ぐらいのテレビ番組の放送予定を調べられることぐらいは、知っているが、

日頃、そういう習慣がないので、今日(24日)、森麻季さんがゲストとして出演し、一躍世間に知られるようになった、NHK教育テレビの

「トップランナー」があることを、直前まで知らなかった。


とはいうものの、以前の放送は録画してあるから、実はすでに何度も見た番組なのだが、オン・エアされるとなると見ないではいられない。

私にとっては何よりのクリスマス・プレゼントだ。もう、何も要らぬ。

放送業界の人間ではないから、番組編成、特に再放送は、如何なる基準で決定するのか分らないが、

森さんの「トップランナー」は少なくとも3回は放送されている。それだけ、視聴者の希望が多いからだろう。


◆他人様の人生など、見た目から分るものではない。

「トップランナー」を見た方や、森麻季さんの10月に発売されたCD、愛しい友よ~イタリア・オペラ・アリア集に添えられた、

森さん自身の文章(セルフライナーノート)、「イタリアでの思い出」を読まれた方は、森さんがイタリア留学時代に随分苦労されたことに驚くのではないだろうか。

このCDジャケットや小冊子の森さんの写真を見ると、実に美しい。

そうすると、人間には嫉妬がつきものであるから、その人を良く知らないのに、

きっと順風満帆な人生を歩み、辛い思いなど経験したことがないだろう、などと決めつけがちである。



しかし、人の人生はそれほど単純ではない。

森さんはまずピアニストを志していたが、随分上達してから、手が小さいからピアニストは無理だ、と言われ、

今までの努力は何だったのだろう、と最初の挫折を経験したが、

幸い、彼女に声楽を勧める人がいた。声楽を始めたら、勿論大変な努力の賜だろうが、急速に上達した。

天下の芸大では優秀な学生だった。

ところが、イタリアへ留学した途端に、言語の壁が大きく道をふさいだ。

私はイギリスにいたことがあるが、云うまでもなく英語だからまだ何とかなる。

日本にいるとき、わたしは、ヨーロッパの言語は互いに似ているから、何処の国でも、

数カ国語(ヨーロッパの言語)を話せる人間がゴロゴロいるだろう、と勝手に思いこんでいたのだが、

ヨーロッパへ行ってみて分った。意外なほど多国語を話せる人間が少ないのだ(ホテルの従業員は別)。

フランスやイタリアでは、英語が殆ど通じない。イタリアは本当に通じなかった。

だから、森さんも大変苦労なさったようだ。

言葉が出来ない不自由さの上に、差別がある。これは、本当に、ある。



本質的にヨーロッパ人は東洋人を差別するので、森さんの留学先も、イタリア人より上手く歌っても、

歌以外の語学の試験などで、落第させようとする、とテレビで森さんが仰っていたが、さもありなん、である。

これは、辛い。ライナーノートでは、

「(前略)差別のような、味わったことの無い悲しみも感じながら、(中略)ひとりただ教会に座って泣いていたあの頃、(後略)」

そして、
「人生が楽しいことばかりではないことも、世の中が理不尽で不公平であることも、留学して教えられた気がする」

と、書かれている。

今、ステージで華やかに歌う森麻季さんの歌を聴き、姿を見て、誰がそんな森さんの辛かった留学時代を想像できるだろう?


◆森さんのヘンデルを聴いていると胸がいっぱいになる。

「トップランナー」で歌い、森さんの別のCD、あなたがそばにいたらに収録されている、ヘンデルのオペラ「リナルド」のアリア、

「涙の流れるままに」(「私を泣かせて」と訳されることが多い)を聴いていると、どうにも切なくて、胸がいっぱいになる。

森さんは、海外での経験を通じて、人々は悲しみを抱えて生きているのだ、と言うことを痛感したという。

森麻季さんは、大変な努力の継続により、高度に技術的な曲も歌うこともできるが、その種の演奏をするときも、

このヘンデルのように、祈るような曲を演奏するときにも、彼女の音楽の根底には常に「優しさ」を感じる。

それは、聴き手の魂を慰めたい、という強い願いがあるからだろう。



音楽は、人が楽しいときにもっと楽しくすることもできるが、悲しみにうちひしがれた人を慰める、偉大な力を持っている。

但し、音楽がその力を発揮するためには、相応の「表現力・音楽性」とそれを可能にする高度な「技術」を習得した、「本当の音楽家」を必要とする。

森麻季さんは、紛れもなく「本当の音楽家」である。

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