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JIROの独断的日記
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2005年02月26日(土) 「予算案3月2日に衆院通過へ」 定率減税縮小は、増税だが、自民党の公約には増税するとは書いていなかった。

◆参考:「定率減税」とは何か。

1999年から実施し、現在も実施している減税措置のこと。所得税、個人住民税、法人税、法人事業税で実施している。個人の減税規模は4.1兆円。具体的には、所得税・住民税を合わせた最高税率65%を50%に軽減。定率減税として、所得税は本来の税額の20%(最高25万円)、住民税は本来の税額の15%(最高4万円)を減税。年齢16歳以上23歳未満の特定扶養親族の控除額を所得税は5万円、住民税は2万円アップしている。


◆記事1:予算案3月2日に衆院通過へ、年度内成立が確実に

 

 自民、民主両党は24日、2005年度予算案を3月2日に衆院本会議で採決し参院に送付することで合意した。

 これにより予算案の年度内成立が確実となった。自民党の小坂憲次国会対策副委員長と民主党の高木義明国会対策委員長代理が24日、国会内で会談して決めた。

 憲法は、予算案が衆院から送付後30日以内に参院が議決しない場合、衆院の議決が国会の議決となると定めている。3月2日に衆院を通過した場合、予算案は4月1日午前零時に自然成立する。与党側は3月25日に開幕する愛・地球博(愛知万博)の前の成立を目指している。

 また、自民、民主両党は、野党が慎重審議を求めていた、所得税などの定率減税縮減に関する税制関連法案について<1>所得税法等改正案は予算案と同時に衆院本会議で採決する<2>地方税法等改正案は予算案と切り離して審議し、3月8日に衆院本会議で採決する――ことなどで合意した。これにより、23日に民主党が審議を欠席した財務金融委員会は正常化する。 (読売新聞) - 2月24日21時18分更新


◆記事2:定率減税縮小、景気に懸念 05年度予算案の公聴会

 

 衆院予算委員会が23日開いた公聴会で、暮らしと経済研究室の山家悠紀夫・元神戸大大学院教授は、定率減税や住宅ローン減税の縮小は家計を圧迫し景気を悪化させる懸念があると指摘し、「財政再建は必要だが、タイミングと方法を間違ってはいけない」と警鐘を鳴らした。

 山家氏は、現在の日本経済は米国や中国への輸出に頼る危うい基盤の上にあるとする一方、最近の景気回復は企業業績の急上昇に依存していると強調。ただ、民間企業が稼いだ利益は「企業の中にとどまっており、家計まで行っていない」と説明し「景気が回復しても家計は必ずしも良くなっていない」と現状を分析した。(共同通信)


◆コメント:わずか半年前に参院選があったのを覚えていますか?
 

 直近の国政選挙は、昨年7月11日の投票が行われた、参議院議員選挙です。

このとき、自民党はいずれにせよ、大きく議席を失ったのですが、今はそれは問題ではありません。

参議院議員選挙の時に自由民主党、公明党が配ったパンフレット、マニフェストがありますが、これのどこを見ても、増税をするとは書いていないのです。

記事1に書いてある2005年度予算案には、「定率減税」を半分にすることがもりこまれています。「定率減税とはなにか」は冒頭の「参考」を読んでください。


◆定率減税の縮小とは、実質「増税」ですよ。

 あまりにも長く不況が続くので、個人消費を増やそうというもくろみで、1999年から、所得税と住民税は減額してあるのです。

 ところが、消費は増えない。従って税収が不足して、日本国の借金は700兆円もある。これを返す財源がないから、減税を止めようという法案が3月2日に通ってしまいそうなのです。実質的に増税になります。


◆定率減税見直しの議論は、参議院選挙の前からあったのに、選挙期間中、自民党は全くそのことに触れなかった。

 

 定率減税を徐々に減らしていこう、という話は検索をしてみると分かりますが、参議院選挙の前から、自民党の中にあった。

しかし、選挙の時に、自民党はひとこともそんなことは云わなかったのです。

 増税などという重要な政策については当然それを明らかにして、国民の判断を仰ぐべきだったのです。

ところが、実際には、選挙が終わった後、にわかにこの話が具体化してきました。勿論、自民党が中心です。で、ついにそれが現実となりつつある。

定率減税の減税額は一挙に半分になります。来年には廃止しようといいます。増税です。

 このような大事なことを自民党は選挙中、隠しておいて、選挙が終わったら、勝手に決めてしまった。

 こういうのを詐欺というのではないでしょうか。


◆消費税率引き上げの時には、自民党はそれを公言していた。それが、本来のあり方。

 1996年10月の衆議院議員選挙の前には、消費税率を3%から5%に引き上げるべきかどうか、大変な議論があったのです。

 但しこのときには、自民党は「消費税を上げる」と選挙期間中に公言して、それで、勝って、実際に引き上げられたのです。

 政策としてどうだったかは別として、選挙の戦い方としては、フェアです。


◆それにひきかえ、今回は、詐欺だ。

 

 96年10月の衆院選の時に引き替え、昨年7月の参院選のやり方はアンフェアです。もっと酷く云えば、詐欺です。

参院選直前に年金問題や自衛隊のイラク派遣、多国籍軍参加に関して小泉首相の説明が不十分だったので、自民党は大きく議席数を減らしました。

自民党はただでさえ情勢が不利なのに、増税のことなど持ち出したら、致命的だと思って何も云わなかった。

 もし、云っていれば、国民の判断は違っていたでしょう。いくら不利だとはいえ、それが正しい政策だと思っていたのであれば、公約に含めておくべきでした。

 増税などという重大な政策変更だからこそ、はっきりさせておかなければならなかった。


◆今、増税なんかしたら、どうなることやら。

 

 この前から、何度も書いているけれど、不況は続いている。

 先週金曜日に発表された東京都区部の消費者物価指数は、前年同月比0.5%マイナスです。前年同月比マイナスは5年5ヶ月も続いているのです。

 記事2で、専門家が述べているとおり、消費がまだ回復していない現状において、実質増税となる定額減税を減らす(減税を減らす=増税です)ことは、大変危険です。可処分所得が減るのですから、家計の消費は一層抑制され、デフレ不況を長引かせることになるでしょう。


◆新聞は何をおとなしく静観しているのか。

 

 記事1じゃ、何のことか、普段から関心のない人には、わからない。

 2005年度予算案が通過するということは、定額減税縮減法案も含まれているのですから、「これは、増税だ。公約になかったことを勝手に実行するな。こともあろうに、野党・民主党はこの詐欺に賛成するという。けしからん。」と批判するべきなのです。それをしない。

だから、私が書いたのです。


2003年02月26日(水) 桶川ストーカー殺人 さいたま地裁の判決はおかしい。

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