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JIROの独断的日記
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2003年04月13日(日) TBSが「障害者団体に謝罪 名古屋の通り魔めぐる発言」 当の医師は謝らないの?

◆記事
TBS(東京放送)のワイドショー番組で、名古屋市の連続通り魔事件に関連し、精神障害者差別と受け取れる発言があったとして「京都精神しょうがい者の人権を守る会」(京都市、多芸正之代表)が抗議し、同社が「認識が不足していた」と文書で謝罪したことが13日、分かった。
 番組は、今月4日の朝に全国放送された「ウォッチ!」。出演した大学助教授(精神医学)が犯人像について「恐らく20代に発病している統合失調症の可能性がある」などと発言した。
 同会は「犯人を『統合失調症』と診断されている人たちと決め付けた」「差別を助長させ、偏見を与える」などと抗議。
 TBSは7日の同番組で「誤解されるような表現があり、関係者にご迷惑をおかけしました」と放送。同会に対し、文書でも謝罪したという。


◆所感
 一番悪いのは、犯人を診た事も無い、当然診察した事もないのに、「20代で発病した統合失調症の可能性がある」と発言した医師本人ではないのか。無論、TBSには何の責任も無い、とはいえないが。

 冷静に考えると、問題の所在は次のようになる。

1.ある人物が病気かどうか、また、病気ならば、如何なる疾病に罹患しているかという判断を下す事を「診断」という。診断は、本人を診察しなければ下す事が出来ないものである。

2.統合失調症の発症率は0.8%と非常に高い。100人にひとりの割合で発症する病気である。統合失調症の患者がが皆、暴力的になるのであれば、もっと重大犯罪が多発するはずであるが、現実はそうではない。統合失調症には妄想や幻覚を生じる陽性症状と、抑うつ状態になり、ひきこもりがちになる陰性症状とがあり、後者を主症状とする患者も多いからである。精神科医は、プロなのであるから、このような客観的事実を伝えて、統合失調症患者への偏見を除去すべきであるのに、全くその逆の発言をしている。

3.TBSは予め医師と打ち合わせをして、そのような発言が出ることを承知していたのであれば、批判されても仕方が無いだろう。そして、謝罪するならば、世間一般にもその事実を公表すべきであった。そうしなければ、番組を見ていた人が抱いたかもしれない、統合失調症患者への差別的意識を正す事はできないからである。

4.出演者を決定し、番組を放送したTBSには、放送内容が世間に与える影響に対して社会的責任があることは免れないが、発言者本人も、軽率な発言をしたことについて、謝罪をするべきではないのか。医療事故報道などでも言えることだが、問題の当事者である医療従事者の名前は、いつもわからない。これも妙な習慣である。

5.TBSがただ謝って、なんとか、騒ぎを鎮めれば一件落着、と考えているのであれば、無責任である。ちゃんとした医師を呼んできて、統合失調症にかんする客観的情報を改めて、報道するべきである。

 とにかく、報道関係者は何に関しても、勉強不足である。視聴率さえ取れればいいということなのだろうが、自分達の職業の社会的責任を真剣に考えるべきだ。


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