小説の構想やら更新予告やら短い話やら。
誤字脱字やら単語が中途半端に途中だとか色々あるけど気にしない。

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東方のそういうとこ、苦手
2005年10月01日(土)

「出なくていいわけ?」
 鞄の端でささやかなライトを点滅させる携帯電話に気付いた目の早い東方は尋ねた。白く薄い布地の下からうっすら見えるその点滅はなんだか馬鹿げて見えたが、それは言わない。
 携帯の持ち主である千石はその視線を追うようにそれに視線を向けたが、すぐに顔をしかめて溜息をついた。
「……いーよ。今ちょっと、女の子に愛想良くしてあげる気分じゃないし」
しかし誰だろうかと小さく思案する言葉は続き、複数人の名前がその口から溢れる。東方は呆れ、それを見ていた南はあからさまに嫌そうな顔をした。
「千石――お前、この歳からそんなんでどうすんの」
彼の言葉に千石はささやかに眉をつりあげると箸を唇に当てながら首を傾げた。
「や、南こそ、その言い方……お前こそこの歳でそんなでどうするの?」
「うるさい」
「えーそっちが言い出したんじゃんよ、南のばーか」
千石の冷めた目に、南はぐ、と口をつぐんだ。しかしすぐに言い返そうと口を開く。当然千石も応戦しようと身構えた。
 だが、
「どっちも馬鹿だ、この場合」
呆れた顔で二人から目をそらしていた東方が、それを止めるようにぴしゃりと言い放った。
 当然南も千石も口を閉じて彼に視線を向けたが、東方は黙ってお膳に箸を進めるばかりだ。
黙々と食べる東方の箸に、膳の中身は少しずつ着実に捕われ、その胃袋に飲み込まれて行くばかり。
呆れきったという彼の気持ちを表すようなその態度に南ははぁと息を吐いた。
「――悪い」
「いや、別に食事の味は変わらない程度だから、俺は構わないけど」
南の謝罪に東方は微笑して、箸を齧るようにくわえた千石に目を向けた。
「ただ――八つ当たりはよくないんじゃないか?」
それから少しの間を置いて、「お前らしくないよ」と東方は付け加えた。千石は難しげな顔をしたが、長い溜息を吐き出しながらテーブルの上にずるずると体を倒した。向かい側に座っていた南はそれを避けるようにカレー皿を端に寄せた。
「――俺、東方のそういうとこ、苦手だな。千里眼?」




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