小説の構想やら更新予告やら短い話やら。
誤字脱字やら単語が中途半端に途中だとか色々あるけど気にしない。

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パラレルその5?
2003年03月25日(火)

またさらにコレの続き。
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 結局、良くわからない同居生活が始まる事になり、一ヶ月と半月が経った。
その間、わかったのは彼がヘビースモーカーだという事、亜久津という名前を持っているという事、明確な正体はわからないが、人ではないらしいという事。
そして彼は追われている、という事。
それ以外の事は相変わらず、何一つわからなかった。


「あ、そういえば、さ…………ここ、俺も居候だっつった…よね?」
床を拭いていた千石は、ふと思い出したように亜久津に声をかけた。
亜久津は縁側で柱にもたれ掛かるように座り込み、隣に居た狼を抱え上げたかと思えば自分の太腿の上におろし、青空を眺めながら優しく毛を梳くように撫でていた。
「……それがどうした」
「…………家主が明後日帰ってくる、って」
「…………神主か?」
「や、正確には次期……かな」
「あっそ」
興味がないとでも言いたげに、亜久津は再び空を仰いだ。
千石はどうにか何か会話を伸ばそうと必死に考え始めた。
そのうち亜久津は煙草を吸いはじめ、煙の匂いが千石にもしっかりと届いた。
「……あの、」
「何だ」
「…………大丈夫?」
「……何が、だよ」
「…………具合悪そう」
「……大丈夫だ」
しかし、そう言う彼の傷は一向に癒えていない。
かすり傷程度のはずの傷も、未だに初めて会った時と変わらず、今さっきついたかのようだった。
この様子だと、恐らく中身も骨やら何やら、折れたままなのだろう。


「でも……何にも食べないのに、生きてるほうが不思議だよ、俺としては」
「ンなもん……いらねぇからだろ」
「死んじゃうよ」
「そんな程度で死なねぇよ」
その時に千石は気づいたが、どうやらフンと鼻で笑ったあとに微かに微笑むのは、彼の癖らしい。
一瞬にも満たない瞬間のその表情はひどく優しくて、千石は見る度に心音が跳ね上がった。
「で、でも、栄養ないと治るもんも治らないよ」
「……そんなもん食っても俺は何にも変わらねぇよ」
「…………どうして」
「……さぁ?」
「はぐらかさないで、教えてよ、何が必要なのさ」
その千石の問いに、亜久津は微かに体を震わせたかと思うと黙り込み、そしてぽつりと呟いた。
「…………………………自由だよ」
そしてくわえていた煙草を長い指で唇から抜き取ると、空へ向って煙を吐き出した。
薫る煙草の匂いに千石は目を細めた。
――自由?
束縛されていたのか、あるいは今の状態の事を言っているのか。
千石は考えかけたが、今は食事の話だったと思い直した。
「や、そうじゃなくて食べたいもの……は?」
「…………言うだけ無駄だ」
「何で」
「絶対お前に用意できいない」
「駄目元で言ってみてよ」
「嫌だ」
「どうして」
千石は、亜久津の顔を覗き込むように見たが、さらさらと重力に沿って流れる前髪が邪魔して、表情は読み取り辛かった。
もう一度、「どうして」と千石が聞くと、亜久津はちらりと千石を見遣り、それから空へと視線を逸らすと、聞き取れ無さそうなぐらい小さな声で呟いた。

「言えばきっと、俺はお前達に殺されてしまうから」

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さらに言い訳もできないかんじに……。
わけわからないのはあなたもわたしも同じです。(えッ)




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