短いのはお好き? 
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2006年03月28日(火) 時計。

大樹は、護身用に常にナイフを携帯しているけれども、いつからそんなことを習慣づけたのかまったく憶えていなかった。けれど携帯しているばかりで一向に使わないこのナイフをいつの日にか使う日がくるのだろうかと、考えると怖くもあり、愉しみでもあり、ちょっと複雑な思いがした。

でも、携帯するようになったきっかけとなった出来事がきっとあったであろうはずなのに、それをまったく思い出せないのは不思議というほかなかった。


大樹は、大学を中退し看護学校に入った。別に医療方面に特に興味があったわけでもなく、ただ月謝が安かったからという理由だけで選択したようなものだった。大学は、なにもかもがくだらなく思えたから退学してしまった。


それでも大樹は、とりあえず看護学校を卒業し、大学病院の脳神経外科に看護士として務めはじめたのだけれど、オペ室担当となって九時間にも亘るオペを何度も経験するうちにノイローゼになってしまい、一年でドロップアウトした。


今となっては戻りようもないし、戻りたくもないけれども何の達成感の得られないまま、ノイローゼといえども逃げるようにして仕事を辞めてしまったのは残念なことだった。


大学も挫折し、仕事も挫折し、人生は甘くないようだった。


院内では、やりようによってはクスリを容易に手に入れられるので、ぶっ飛べるおクスリを相当量いただいて愉しんでいた。


仕事を辞めてからは、暇に飽かしてありとあらゆるドラッグを試してみたけれども、ハッパを決めたときだけが一番大樹は、ぶっ飛べた。


現実を捉えるためにハッパをきめていたのかもしれないのだが、冨樫に出逢ったのは、ハッパをやりながら現実っていったいなんだろうと考えていた頃のことだった。


出逢ったといっても、実際の冨樫に遇ったのではない。冨樫という人物は、この現実世界にはたぶん存在していない。


じょじょに、大樹は、富樫に惹かれていった。






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