| 2010年05月08日(土) |
『捨てれば入る福ふくそうじ』★★★★☆ |
 『捨てれば入る福ふくそうじ』 千代里 SDP
心に残ったところ。
「捨てきれずに溜めていた物をはき出した時、部屋からは何とごみ袋十七杯分の洋服が出ました。自分というものが定まっていなかったから、(略) そんないくつもの”いつか○○””もしかしたら○○”でいっぱいになった、私の心の暮しの贅肉が我が目にさらされた瞬間でした。」(p24-25)
「あれも足りない、これも足りない、と不足に思う心を捨てて、今、身の回りで私の暮しを支えてくれている物を、心を込めて使おう。今、していることに全力を注ごう。」(p25)
「自分を支える心地よい住み家があってこそ、また、そんな家を作るため身体を使ってこそ人は自分にOKを出し、大きな仕事にも全力で取り組めるのかもしれません。」(p29)
芸者になるべく住み込みでお世話になった置屋の暮しから著者が学んだことの一つが、丁寧に生きるということ。
「どうでもいい物が、どうでもいい扱いを受けているのではなく、選び抜かれた大切な物が、心を込めて使われている。その物の数は多いけれど、どれにも”気”が入っているので、迷子にならずに与えられた”家”へきちんと帰っていけるのでしょう。」(p31)
「そんなふうに、身の回りのものに『ありがとう』の気持ちを持って接し、それらに支えられていることに気付いた生活には、そこにもここにも、いたるところに輝きがあります。そして、その輝きに包まれている人は、その存在そのものも輝き、周りを照らしていくと思うのです。」(p36)
「小さなことを 『いつでも』 『きちんと』 『こつこつ』」(p41) しかもそれを人知れずするとなおいい、と。
成績が悪くても、飲み込みが遅くても必ず伸びてくる子どものポイント。
「●元気にあいさつができる ●下駄箱に靴を入れる時、かかとを揃えて入れられる ●イスから立ち上がった時、そのイスを必ず元に戻してから次の行動に移れる」(p46)
「どうでもいいようなことの中に、大切なことがある。 どうでもいようだけど、なかなかできないことがたくさんある。 どうでもいいように見えることを人は見ている。」(p46-47)
「そうじができていない時、というのは、自分のことしか考えられていない時。」(p66)
芸者をやめた人生の転機に。
「あそこで手放せずにしがみついていたら、新しいことは何もやってこなかっただろう、今はそう思っています。」(p77)
頑張ってもまた汚れるそうじも、頑張っても失敗する人生も同じ。
「一見成果を生まなかったように見える努力は、必ず自分の力になっています。 別のところでその努力が役に立つことがきっとあります。」(p83)
「人にとってもモノにとっても、放っておかれることが一番つらい。」(p86)
「丁寧にモノとつき合う、その命を活かす、天寿を全うさせる。 そういう暮しを続ける中で、自らもその能力を生かせるようになったり、自分を大切にしたり、周りから大切にされるようになるのだと思います。」(p87)
思い出ものについて。
「しかし、そこには”手入れ”や”適切な管理”がおのずと必要になってきます。(略)そこでおすすめしたいのが、それらを一度見直し、気を入れ直す作業です。」(p96-97)
「自分の作業の終わりを終わりととらえるのではなく、次に使う人が使いやすい状態に整えておくことまでを作業の終わりとすると、皆が気持ちよく過ごせるのでは」(p105)
「一見マイナスに見えること、トラブルに思えることを避けて、見て見ないふりをしてしまうのと、正面から向き合い、対策を講じるのとでは、先々、天と地ほどの差が出ます。」(p114)
トラブルは、立ち止まって見渡してみたら、というメッセージなのかも。
恩は順送り。
「そうじに限らず、本来の目的を忘れ、その手段のほうに熱中してしまい、望む結果から離れてしまうのはよくあることです。」(p124)
何のためにするそうじなのか。 誰のためにするのか。手段じゃなくて、目的を忘れないこと。
「雑巾を当て字で書けば、蔵と金 あちら福福(拭く拭く)こちら福々」(p142)
「身の回りのそうじ、心のそうじ、身体のそうじ、この三つは切っても切り話せないもので、心が曇っている時は、自然と身の回りも雑然としてきますし、体調がすぐれない時は、気分も落ち込みがちになります。」(p166)
「これはつまり、心、体、環境の中でどれかが不調になった時、他の二つからのアプローチによってその不調をよい状態へ変えることができるということです。」(p167)
もったいない、をなくすためにできること。
「大切に使える物の質と量を知ったうえで、身の回りにあるもの全てを活かすことができれば、もったいない、と言わずに済みます。」(p196)
明確な価値観のもと、整理をする、というのが必須なのだと思います。
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