| 2009年08月24日(月) |
遠藤周作『狐狸庵人生論』★★★★☆ |
 『狐狸庵人生論』 遠藤 周作
心に残ったところ。
「病気はたしかに生活上の挫折であり失敗である。しかしそれは必ずしも人生上の挫折とは言えないのだ。なぜなら生活と人生は次元が違うからである。」(p13)
「我々の人生のどんな嫌な出来事や思いですらも、ひとつとして無駄なものなどありはしない。無駄だったと思えるのは我々の勝手な判断なのであって、もし神というものがあるならば、神はその無駄と見えるものに、実は我々の人生のために役にたつ何かをかくしているのであり、それは無駄どころか、貴重なものを秘めているような気がする。」(P15)
「善魔の特徴は二つある。ひとつは自分以外の世界をみとめないことである。自分以外の人間の悲しみや辛さがわからないことである。(略)もうひとつの特徴は他人を裁くことである。この心理の不潔さは自分にもまた弱さやあやまちがあることに一向に気づかぬ点であろう。」(P29)
「屈辱感を噛みしめられることは挫折のもたらす一番大きな効用だ。」(p60)
挫折をした時に選ぶ道は二つ。 敗れた自分を認め、立ち直ろうとする道と、敗れた自分を正当化する自己弁護の道。
どちらを選んでも、長い目でみれば同じである、と。後者には後ろめたさがつきまとうので、最終的には弱い自分に向き合わざるを得ない。
「夜、眠れぬ時死んだ友人たちの顔を思い出し、俺はあの男の人生で傍役だったんだな、と考え、いい傍役だたかどうかを考えたりする。」(P94)
自分も子どもの、夫の、親の、兄弟の、友人の、同僚の、人生の傍役。 私はその役を、それなりによくこなせているか?つとめられているか? ヒールになってないか?
年とってよかったこと。
「たいていのことを許せるようになる。」 「生きることで本当に価値のあるものとむなしいものとの区別がおのずとできてくる。」(p126)
自分はまだ、そうなれば楽に生きられるだろうなあと思えるようにやっとなってきた段階。実行はまだ始めたばかり、なレベル。
それでも、これからこのようになっていきたいと思う。
この本を面白いと思えるようになったのも、きっとそのおかげ。
『狐狸庵人生論』 遠藤 周作
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