| 2009年01月10日(土) |
アガサ・クリスティー『春にして君を離れ』★★★★★ |
 『春にして君を離れ (クリスティー文庫)』 アガサ・クリスティー 早川書房
心に残ったところ。
「説きつける彼女の顔を彼はじっと見つめたー長いこと、ひどく悲しそうに。愛情と絶望と、そしてもう一つ、おそらくは最後のかすかな希望をこめて… 『きみのいうようにしてよかったと思うようになるって、どうしてわかるんだい?』」(p51)
「馬鹿なことばかりくよくよ考えないようにしなければ。きちんと計画を立てよう。物事を筋道を立てて考えるようにするのだ。つまらないことでーやたらとー心を掻き乱されないように。」(p96)
「『人生はね、ジョーン、不断の進歩の過程です。死んだ自己を踏み台にして、より高いものへと進んで行くのです。痛みや苦しみが回避できないときもあるでしょう。(略)あなたもやがて痛みを知るでしょうーあなたがそれを知らずに終わるなら、それはあなたが真理の道からはずれたことを意味するのですよ。疑いに沈むとき、苦難に会ったときに、どうか、わたしのこの言葉を思い出して下さい。』(p139)」
「ジョーンにはこんな生き方はひどく疑問に思われた。人はみな、よく思いめぐらし、周到な計画を立てて明日に備えるべきではないのか。」(p219)
そうかな?ほんとうにそうかな? 私自身がそうなのに、ジョーンの生き様が、皮肉にもそうじゃないようだ、ということを教えてくれる。
「わたしがこれまで誰についても真相を知らずにすごしてきたのは、こうあってほしいと思うようなことを信じて、真実に直面する苦しみを割ける方が、ずっと楽だったからだ。」(p250)
父親が前科者であることを隠すかどうかを問われ、隠さないことを決めた母親の台詞。
「『現実に存在するものから逃避することが、人生の公正なスタ−トといえるでしょうか?』」(p314)
重荷を分ち合ってこそ、家族。
という人もいれば、逆の人もいる。
自分はどちらを選択するのか。
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