| 2006年03月30日(木) |
山本 譲司『獄窓記』★★★★☆ |
 『獄窓記』 山本 譲司 ポプラ社 (2003/12)
将来を嘱望されていた民主党の元衆議院議員が秘書給与詐欺の罪で訴えられ、有罪、実刑判決、そして服役、刑務所内での暮らし、出獄までを克明に記した手記。
ずっと読みたくて、やっと読めた一冊。
政治オンチの私は、この人が渦中にいた頃のころは記憶になく、辻本清美氏の秘書給与疑惑の際に必ず取り上げられていた元議員が、ああこの人なんだ、というレベル。 というか、柳葉敏郎主演のドラマで「ああ、そういえば」と思い出したのでした。
ドラマと比較する形となったのだけど、どちらも興味深かった。
塀の中のドラマをおもしろおかしく書くわけでもないのに、私含め多くの人が知らない獄中での暮らし、規則、空気、現実を伝えてくれる。
控訴を見越した裁判結果の偏り。 マスコミの無責任な書きっぷり。 名誉回復の難しさ。 障害を持った受刑者の処遇。 元議員への配慮。 監獄法の矛盾。 生まれたばかりの我が子と別れる切なさ。 「(名義借りは)自分だけじゃない」と言わない決意。 夫を支え続ける気丈な妻。
印象に残ったのは、福祉に関心や知識がある著者が所内で他の受刑者の法律相談の相手になるところや、刑務官との気持ちの通い合い、出獄後の再出発を阻む、国家資格取得のための条件、秘書給与詐欺は彼だけではないのに、沈黙し、スケープゴートにして切り捨てる政界。
この本で著者が一番言いたかったことではないだろうけど、とても共感したのは、
辻本清美はずるいな。
ということ。彼女も被害者であるとは思うけれど、してはいけないことをした。 彼が書いたものだから、それをさしひいても客観的事実で判断しても、彼女はずるい。
再び議員にしちゃう日本国民。 日本は平和なんだなぁ。
アマゾンのレビューにもあったけれど、難しい言い回しを時折敢えて使用しているのは違和感があった。「わ、また出た」という印象を受けたのは私だけじゃなかったかと。
文章を書くプロじゃない人が書いたにしては、読みやすく、中身もあってとても読みがいのあった本だけど、それがなくても知性の高さは伝わると思うのだけどな。
彼の前途が洋々ととしたものでありますように。 お子さんももう大きくなったのかな。きっといい子に育ってるね。
『獄窓記』
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