【2】銀杏と金魚

 黄緑色の子羊が不服そうに言いました。
「みんなが眠れないって柵をぴょんぴょん飛び越えさせるの」
「あなたも眠れないの?でもあたしはもう飛ばない」
「かわりにちょっとお話しない?」
 ヒステリックに歯を鳴らして笑います。

「そうそう金魚はどうしてる?」
 なんのことかわからなくて困ってしまいました。
「根元の金魚はどうなったか聞いてるの」と、子羊は早口にまくし立てます。

 首をかしげることしかできない私を見て、会話にならないことを悟ったのか「銀杏を埋めたのはあたしじゃないから」と、せっかちに畳み掛け、口調とは裏腹なゆっくりした動作で去っていきました。
2005年03月15日(火)

寝言日記 / 杏