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| 2008年12月26日(金) ■ |
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| 夢をみた |
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誰か、というのを書くのはさすがにためらわれるのだが。
ある近しい人の首に、ナイフを入れた。
危害を加えるとか、殺したいとか、そういうつもりはなかった。 なにか、事情があったんだと思う。経済的なこと。私はその人に甘えていたのか、そうすることで何か力を貸してもらおうと考えたらしいのだ。
仰向けに眠っているその人の、鎖骨や肩より少し上のへんを、輪切りにするように切って行く。でも、骨のへんは繋げておかなくちゃ。首を切り離したら死んでしまうもの。ナイフはとても良く切れるもののようで、少しも引っかからず、スウッとスムーズにすすんだ。 血はほとんど出なかった。その人の鎖骨の上、ぐるりと切れ目が赤い細い線として走り、少しだけ血がにじむ。
だけど、私はその時になってようやく気付いた。いくら首の真ん中が繋がっていようが、これは大変な大怪我なんじゃないのか。それどころか、死んでしまうのでは……。眠っているその人の口の端から、一筋、血が流れ出した。どうしよう!私は取り返しのつかないことを…!!
母が呼ぶ声がする。母に見つかったら。何て言い訳しよう。どうごまかせばいいのだろう。母は嘆き悲しむのだろうか。
けれど、母は「朝食は食べられるか」と聞きに来ただけだった。朝の光が差しこむ散らかった私の部屋には、ナイフに切られた人なんてどこにもいなかった。そうか、夢か。さっき30分前に一度目覚めたから、ほんのわずかの間に見た夢だったんだ。でも、こんな夢を見るなんて、いよいよ私はどうかしちゃったのかな。
夢のストーリーよりも怖かったのは、私自身が「えっ、ウソ、どうしよう。」と夢の中で狼狽し、夢から覚めて「ああ、なんだー良かった」と安堵した、その感情の揺れ幅が、浅かったことだ。現実感のない、ふわふわした感じというのか(そりゃ夢なんだけど)、その人を失う悲しみや、人を殺めた(かもしれない)罪悪感など、深い感情はまったく生まれなかった。私は無責任で楽天的で、鈍かった。
それは本当に夢の中だけなのだろうか。 あちらのほうが、本当の私ではないのか。 気がついたら、取り返しのないことをおかしていたりしないだろうか。 風邪はまだ治らない。
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