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| 2008年04月19日(土) ■ |
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| 男筋(おとこすじ) |
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背中の本棚に、何年もそのままになってる漫画の単行本の中から なんとなく1冊、取り出しました。 山本直樹『Blue その他の短編集(ナオキ青春寓話シリーズ)』光文社、1991.12発行
そうか青春物だったのか。 90〜91年頃に「ビッグコミックスピリッツ」などに掲載された「Blue」「ヒポクリストマトリーファズ」「なんだってんだ7Days」を中心にした短編集。過激な性描写が問題になってか回収騒ぎが起こり(スピリッツに載ってたのになあ)、のちに弓立社、太田出版と版元をかえて出版された。
平凡な男子高校生の主人公は、閉鎖された屋上の天文部室小屋に忍び込み、クラスメートの女の子とセックスにふける。「ブルー」というドラッグを飲んで、ちょっとした幻覚症状の後遺症が残る。 だけど、この軽いドラッグがあってもなくても、あんまり変わらないのかもしれない。10代後半のヘンな衝動と性欲と虚しさは、ドラッグの軽いトリップのようなものなのかも知れない。 山本直樹の視点はドライで、いいとか悪いとか、エロとかグロとか、そういう基準を飛び越えた何かを見せる。光でも闇でもない混沌が、ひとの本質であり、見えてない大部分なのかなみたいな(うまく文が書けなくてごめんなさい)。でも全部が終わった後に、混沌にむかって叫びたくなるような、独特の読後感を残す。最新作「RED」も読みたいなー。そういえば「Blue」と「RED」ってタイトルが揃ってるけど。「Yellow」は? ---------------------------------- ところで、この「Blue」に「付録読み物」として載っている、「男筋」という2ページのエッセイがあるのですが。男の子の『こころ』と『きんたま』は目に見えない一本のスジ(男筋)でつながっており、何かの拍子で筋が引っ張られると、『こころ』が『きゅん』としたり、『きんたま』が『きゅん』としたりするんだって。でも、どちらが引っ張って『きゅん』となるかはわからないんだって。「男筋は体液の排出によってその緊張を緩めるという不思議な性質をもっていて」、『こころ』が敏感で『きゅん』とする男子は涙を流し、『きんたま』が敏感で『きゅん』とする男子は精液を流すことでスカッとする。「『文化』というものは、男筋を伸ばすために発達した〜」「体液を流さないでいると、ついには男筋は切断され、男子は自爆する。」などなど、興味深いことが軽妙な語り口で書いてあります。 ところで、エッセイの筆者、数馬 踏騎先生(人間連帯永久精神衛生安心理論科学研究所所長)とは、実在の人物なのでしょうか。 ……なんて聞いてみたくなるような、混沌として怪しい、だけど前向きな1冊です。
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