たま日記
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も。
曇りでしたね。 まぁ、雨降ってても織姫と彦星は逢ってるので問題無いか。
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見上げた空は黒い宝石を溶かして流したように黒く、幾万もの小さな輝きがその光で闇を穿つ。 見渡す限り空は光を飲み込む黒い宝石に覆われ、それは無限に続く空間だった。それでも星々の輝きは黒い宝石の波に染められる事無く、その存在を小さく、だが強く示していた。 リンは黙ってその暗い空に輝く幾万の星々を一人見つめていた。だが、そのまま見上げ続ければ突然放り投げられそうな不確かな感覚を覚え、リンは知らず息をつめた。 「リンディス様」 不意にかけられた声と、その声より先に気付いた気配に振り向く。 「ケント」 リンは胸の内で小さな溜息をつくと、微笑んだ。 「どうかされましたか?」 赤髪の騎士は自分の姿が見えない事に気付き探しにきたのだろう。リンはケントの前で指を立て、空に向けてみせた。 「星を見ていたの」 「星ですか?」 ケントはつられるように空を見上げる。 「あの星、見える?」 指差す先を見てみるが、勿論何をリンが指しているのか分かる筈がない。 「どれですか?」 「ほら、あれ。星が固まって川みたいに見えるでしょ?」 リンが指差す先には確かに川のように見える雲状の無数の光の帯があった。 「はい」 「その川を挟んでいる二つの明るい星が見える?」 「はい」 リンの指が左右に揺れるのを追いながら、ケントはきちんと星を確認して頷いた。視力には自信がある。北を示す重要な指極星を見つけるのは勿論、星の影に隠れる二重星を見つける事も出来るのだ。 無論、こういう所を曖昧にしないのが、この男の真面目な所だが。 「あの星は夫婦なのよ」 「夫婦…なのですか?」 きょとんとして自分を見るケントにリンはそうだと頷く。 「サカにはそういう話があるの」 そう言うとリンはまた星を見上げた。それは遠いサカを想っているようにケントには見え、胸の奥がチクリと痛んだ。 大地を踏みしめている筈なのに、やはり空を見上げると奇妙な浮遊感を強く感じリンは不思議に思った。 何故だろう?サカに居た時は、これ以上の星々の大郡に囲まれていた。一人、空を見上げて来た。なのに、何故今はこれほどの不安定さを感じるのだろう?サカを離れたから?いや、それは自分の決断で決めた道だ。後悔など感じていない。 では何故? 終わらない自問自答にリンは頭を数回振り、その考えを脳裏から振り払おうと努めた。 強く目を閉じたからか、瞼の奥がグルリと回り、平衡感覚を一瞬失ったリンは隣にいるケントにまるで凭れるように寄りかかった。 「大丈夫ですか?」 ケントは寄りかかってくるように身体を預けるリンの肩を支えその顔を覗いた。 自分を見てくる緋色の瞳はまるで夜空に赤く輝く星の一つで、リンはその光景に目を奪われたようにじっと見つめた。 ケントの手の平から伝わる体温は確かな暖かさを感じさせ、足元に感じる大地はリンに確かな存在を靴底から感じさせていた。 奇妙な浮遊感はもう感じていなかった。 「ありがとうケント」 見上げ微笑むリンに、ケントはその心情すべてを理解できなくとも、リンの支えになれたであろう事に肩から力を抜いたように小さくだが同じように微笑んだ。
---------------------------------------------------- あと30分で曜日が変わろうって時に無理矢理書き上げるモンじゃ無いっすね。 自分でもわからんチンなお話です。どうも七夕にひっかけようとしたらしいよ?(爆) リン様、軽くホームシックみたいな。 既に無意識レベルでリンの支えになってるケント。みたいな。
ちなみにケントが言ってる「北」とは北極星の事で、北斗七星のひしゃくの先の二つの星を結び、その長さを五倍すれば北極星が見つけられます。だから「指極星」 「二重星」とは二番目の星のミザールに隠れるアルコルという五等星の事。勿論、距離は一光年離れてて、見かけの連星だとか。
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