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ココマデキタヨ日記
ユウマ
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2003年01月06日(月)
貧乏その1

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「中卒のウェイターじゃ、恋人にはなれても亭主になる
資格はないってわけか。ひどい話だな」安男は言った。
「優子は幸福を探してたの」
「そうかな。人間の幸福は、惚れた相手と一緒になる
ことじゃないかな。」
母はきっぱりと言った。
「幸福はお金で買える」
母らしくない言葉だと安男は思った。
少なくとも、好んで母が口にする言葉ではない。
「そんなことないって言うのは、贅沢な育ちをした人よ。
とことん貧乏をすれば、幸福がお金で買えることはわかるわ。
だから優子は賢いと思う。幸福のために秋元さんを選んだの」
――――――――――――――――――――――――――――
「天国までの百マイル」浅田次郎 より抜粋

貧乏と贅沢の境界線がどこにあるのか、
全く認識はできないが、
オレはお金の不自由のつらさを
この大学4年間で苦々しいほど、痛感させられた。
アルバイトをしていれば「それなりの生活」ならできたが、
「それなりの生活」をすることは耐えがたい屈辱だと
痛々しいほど感じずにはいられなかったのだ。
バイトなどせずともそれなり以上の生活ができる輩ばかり
のさぼっていたからだ。
絶対そんな奴らよりもこの大学4年で素晴らしいものを
得なくてはならないと家賃2万8千円のアパートで、
何度も吼えた。
「それなり」で埋もれるのが恐ろしいほど
理不尽だと思わずにはいられない。
オレは家賃を滞納しようが飯に困ろうが身体を壊そうが、
わずかなお金を注ぎ旅に夢中になった。

しかし未だに膝をつくほど愕然とする。
苦労してお金を手にするオレに対して、
幾人かはなんと簡単にお金が舞い込んでくるのか。
境遇とはこんなに不公平なのか。

「お金で幸福は買える」
心身からあふれるぐらい実感する。
お金がなくても幸福になれるかもしれないけど、
お金で幸福は買える。
これは真理だと思うのだ。
オレのお金への執着はこの4年間で
ヘビー級になった。
将来はすんっげぇ金持ちになりたいと強く思う。

だが、知っている。
きっと大学に行かせてもらえない人から見れば、
オレも贅沢な人々の1人なのだ。

苦しさのあまりおふくろに
「うちは貧乏。」と吐き捨てるように
一度言ったことがあった。
おふくろは怒った。
すごく怒っていた。
もしかしたらむしろ、
母親のほうが痛感していたのかもしれない。
お金の力を。
きっとおふくろから見たらオレは贅沢人なのだろう。