| 2005年03月26日(土) |
読書日記『シュガータイム』 |
『シュガータイム』小川洋子
まぁまぁ好きな作家さん、小川さんの作品。 なんとなく、表紙が気に入って読み始めました。 もう、14年も前の作品で、去年売れていた、 『博士の愛した数式』よりも、ずっと若々しい作品で、 そして、私は結構、好き。 ちょっと江國香織さんのような空気感だけど もっと、抽象画なので、 直接情緒的に巻き込まれるのではなく、 作品の空気の中に、取りこまれて、 そして作品とは別に、自分の中の何かが触発される。
この中に、私にとって、意味がある名前が出てくる。 すごく、中途半端な別れ方をしてしまった人の名前。 今でも、申し訳なさで、心臓がやわらかに締め付けられる。 もしかしたら私のことなんて、今は それほど重要に思っていないかもしれないけれど、 でも私は、 彼を置き去りにしてしまったことを、忘れてはいけないと思うんだ。
『シュガータイム』のぽっかりあいた、空虚な穴 私は、満たしあうことができずにやさしく寄り添っていた恋人たちが 別れざるを得なくなっていく流れに 内臓の内側がひりひりするのを感じた。 ただ、穏やかに眠るだけではだめなのかもしれない。
小説が、読者の心を揺らすのには、 完成された素晴らしいものである必要はないのかもしれない。 作品の空気が、 読者のそのときの空気と共鳴するとき、 劇的な反応を起こすんだろう、と思う。
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