にっき
nagi



 

捧げるというほどの出来ではないかもしれません。
つまり、こう書いている今も何を書こうか決まっていない状態なので。

現在2010/05/01 22:14


相変わらず即興にはなりますが、一つ捧げたいと思います。




私より年下の子の、早すぎる死を悼んで。






***


 貝殻




 便利になった。

 祖母が言う。


 俺からしてみると、携帯電話だって、まったく使いこなせていなく、

手元に近づけたり遠ざけたりしながら、番号を探す。

 メールの送り方、そんなに難しいものではないはずだけど、

教えることはとっくの昔に放棄した。

 便利だねぇ。

 電話ができること。それさえできれば満足そうで、

その満足さに、ま・いっか。と思うことができた。

 携帯電話がない世界。あるいはネットのない世界。

その時代に生きていた祖母を、超リスペクトしてる。いや、マジで。


 自分のことだって、身体痛いとか言っていたりするクセに。

携帯だって満足に使いこなせていないのに、

心配しすぎで、ありがたいんだけど、

もっと自分の心配しろよとイラっときたり。そんなこともあったけど。

 
 でも、小さい頃の思い出にはいつも祖母がいて。

昔懐かしの遊びで、遊んでくれたりしたんだよね。



 携帯メールに、携帯サイト。

当たり前のように利用して、メールの返事はすぐに来て、

24時間、365日。つながろうと思えばつながれる。

 話したい、話ができる。

アドレス探して、発信。ただそれだけ。

つながらなくても、履歴があればかかってくる。


場所の遠いを気にすることなく、皆でアホ話。

 だからあまり考えたことがなかった。
 

 繋がらなくなった電話。

 戻ってくる宛先不明のメール。

 多分登録アドレスで、それらは何件もあるはずだけど。

 それでもそれは今の生活に困らない範疇で。


 

 便利さが不便になった? そんなこと考える俺。

そしてそうじゃないことも知っている。

 昔紙コップで作った糸電話。

 それでなら通じる?

 あれなら仕組みが簡単で、多分誰でもできるよね。

 
 何でも聞くよ? 望みは何?


 無欲だったから、ないんだよね。

 くよくよするなと言うだけだよね。

 
 どうしようもなくなったら、覚えてる。

 無機質な音より、自然な音。

 貝殻を耳にあて聞いてみるね。

 
 海沿いに面した街の、あの思い出を。

 音に乗せて伝えるから。

 そして皆で話をするよ。

 あの頃の話。かっこ悪い話は割愛で。



<了>
  

2010年05月01日(土)
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