『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2015年10月12日(月) ヨーグルトの日々。


この足で歩いていく。
うながされて歩き出す。
道順をさっぱり把握できないまま風船みたいに浮かぶあたまを連れて
茶色とくすんだグリーンのキャンバス地のショートブーツ、
はじめは別の色だったのに
すきだから、と買い直した少しくるっていた私の去年の名残だ。

そうしてお蔵入りしたたくさんの靴を服をはやく
手元からほうりだすように
しらない海に向かって、白く焼けたカルシウムの殻をひとつひとつ
おさまるところにおさまれと祈りながら投げる

そんな儀式を
したい
埋もれたきのうから
身を剥がして
勢いに任せて破って

どれだけみがるになったら
この亡霊はいないことになってくれるだろう
ふと立ち止まってまわりを見たらくるんでいるビニルの壁
溶けたくらげ。
手ごたえのないがらす。
ホルマリンの濃すぎるゼリー。

とうめいな水晶のなかで標本になっていくにはあたしは
あんまり、饒舌で、
きれいでも貴重でもなかった。

…………………………

雨が降る日
枯れていく桜の木によじのぼって透明な傘をかかげて
まっしぐらな笑顔で飛び降りたい

雨粒を吸った下生えがすこしは
栄養にしてくれはしないか
レタスをちぎった指も
無造作すぎた腕も

存在意味をもちたいと思っていた。
消えることがいちばんの選択だったら

……みんながわすれたころ、あの律儀な訪問者はドアの外に立つ。
笑顔をうかべて。



神無月、休日のおわり
真火




 < キノウ  もくじ  あさって >


真火 [MAIL]

My追加