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『さよなら妖精』 米澤穂信 東京創元社 - 2004年05月21日(金)

《bk1へ》
“ミステリ・フロンティア”での配本であるが、ほとんどミステリー度がないに等しいのは残念であった。
“青春小説”としか言いようがないかな・・・
10代の頃の1年間って本当に成長・変化していくからそのあたりに留意して読んでみたらなかなか趣深いのかもしれませんね(笑)

通常、初読み作家というのはいつもドキドキしてページをめくるのだが、今回は少し肩透かしを食らったかな。
変な捉え方だと承知して敢えて書きますが、自分の若さ加減を知るのには恰好の作品だと言えそうですね。
でも完読出来たので自分を褒めてはいます。

話としたら、ある地方都市に雨宿りをしていた東欧(ユーゴスラビア)出身の少女マーヤと知り合う守屋太刀洗
それがきっかけで白河のところにホームステイすることとなる。
守屋を中心とした高校生たちとの2ヶ月間親交を深めたの日本滞在時におけるいろんなエピソードに触れている。
時代が1991年だったのでちょうど内戦が起こっていた時期である。

その時期とこの物語は非常にリンクするのであるが(というかその時期の設定でないと成り立たない)、われわれ日本人は島国という地理的環境も踏まえて、東欧や民族問題に疎い気がする。
私に関しては、知ってるのはミルコ・クロコップがクロアチア出身であることぐらいであろうか・・・
正直、本文にて表にて出てくる国名(6〜7)が頭の中で混乱された方は私だけかな?
それとも、不況のさなかといえやはり日本人って幸せすぎるのであろうか?

少し反省を促された所に本作を読んだメリットがあったような気もする。

しかしながら、どうしても話の内容がしっくり読者に伝わって来ないのは残念である。
謎が多すぎて何を言いたいのがわかり辛いのが本音である。

逆にこれから褒めますね(笑)
筆者が若いのでマーヤや高校生たちの瑞々しい気持ちは上手く活写出来てる
その瑞々しさってまさに“万国共通”である。
いや、マーヤのセリフに1番表れてるかな。
あと物事の視点が“斬新”ですね。

本作は“雨”の降っている日に読みたい本ですね(笑)
きっと主人公のようにいつまでも童心を忘れないひたむきな心が読者にも増長されるはずだと信じたい。
若い方なら2回読んで2倍楽しめる作品かもしれませんね。

評価6点。    
2004年49冊目 (新作35冊目)


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