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『レインレイン・ボウ』 加納朋子 集英社 - 2004年05月12日(水)

《bk1へ》
本作は、25歳以上の女性読者が読まれたらきっと懐かしい学生時代やその後の友達たちの動向が気になるんじゃないかなと思う。
どちらかといえば“ミステリー”と言うよりも“青春小説”として楽しまれた方が多いことであろう。

『月曜日の水玉模様』にて主役を務める片桐陶子さんの姿が見れるのは嬉しい限りであるが、今回は主役の中の一人といったところだろうか・・・
高校時代ソフトボール部という部活を通じて青春の一ページを刻んだ7人の女性たちのその後の変貌振りが読んでいて面白い。
話の内容的にはチーズ(知寿子)の死を通して再会するところからはじまるのだが、やはり女性が1番輝いている時期の多感振りには男性読者としては度肝を抜かれてしまうセリフやエピソードが連なっている点は見逃せないかな。
加納さんらしい淡々と語り口だから余計にゾクッとさせられたような気もする。

私的にはいわば、篠田節子さんの直木賞受賞作である『女たちのジハード』の“ミニチュア版”のような感じ方として捉えて読みましたが、いろんな読み方が出来る点は読書の楽しさを倍増させてくれている。

たとえば、『月曜日の水玉模様』での陶子と祖母との強い愛情なんかが染み付いてる方には本作でもその強い愛情を再認識できるシーンにも遭遇出来ますし、あるいは果たしてチーズは本当に死んだのだろうかと最後まで真相が明らかにされない点もミステリー的には楽しめたんじゃないかな・・・

読み手によっては、陶子以外の女性たちの描写が足りないとかあるいは荻広海(彼のファンも多いはず)の出番をもっと増やして欲しかったとか、いろんなリクエストがあるかもしれませんがまあ贅沢な要求かもしれませんね(笑)



本作を読んで学生時代の友達に電話したく思った読者も多いはずだと思う。

ズバリ25歳って、まさに女性にとってのターニングポイントの時期であるから・・・七人七様の生き方、果たしてあなたはどの生き方に共感出来るであろうか?

加納さんの文章のように少しでも七色の虹のように“きらびやかさ”を読者の生活に吸収できたら加納ワールドにどっぷり浸かったと言えるんじゃないかな。

評価8点。    
2004年45冊目 (旧作・再読作品12冊目)


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