『棘の街』 堂場瞬一 幻冬舎 - 2004年04月07日(水) 《bk1へ》 堂場さんの作品は『二度目のノーサイド』に続き2冊目の挑戦であるが、既刊リスト等を見るとスポーツを題材とした作品(スポーツ小説)と警察小説の二つに分かれるみたいである。 だが、読んでみてどちらにも共通してる点は“熱き男たち”が必ず登場する点である。 過去を振り返りながらも前向きに生きて行く男の生き様を堪能出来る点が一番の魅力なんでしょうね。 本作品もいろんな側面から読むことができる点が嬉しい。 ミステリー&サスペンス&ヒューマンドラマのすべての要素が盛り込まれている。 どんな読み方をするかは読者に委ねてると言っても過言ではないが、ミステリー的には趣向を凝らしているがやはり究極の“親子愛”が描かれてる点に1番痺れさせられた。 きっと“ああいった結末って予想できなかった!”と思われた方も多いのかもしれないが、読み終えてしばらくしてから“堂場流の最大の愛情表現だった”ことに気づくはずだ。 展開的にも、後半が特にスピード感溢れるていて一機読み出来ること間違いなし。 『火の粉』に匹敵するぐらいサクサク読めることでしょう(笑) あと、組織で働いている人にも自分の組織内での位置づけやあり方を再認識させられる恰好の1冊となった事だと思います。 上條のように個性的な人物って最近少ないかもしれませんね。 少し不満点をあげれば、やはり過去の思い出話(とくに泣かせるような)をもう少し盛り込んで欲しかった気もします。 全体的な構成がしっかりした小説だけに少し残念な気がしますね。 私たちの生きている社会って本当に“現実は厳しい”かもしれない。 まさに“いろんな人生があってしかりである” しかしながら、本作のように“親の尊厳”を十二分に知らしめてくれただけで読者の明日からの生活に光を当ててくれたような気がする。 少し大切なものを忘れがちな方には是非手にとって欲しい作品である。 評価8点。 2004年35冊目 (新作26冊目) ...
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