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『被告A』 折原一 ハヤカワ書房 - 2003年09月29日(月)

折原さんの作品は初めて読破した。
まず第一印象として会話文がテンポよく文章的に読みやすい作家だと思う。
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作品の内容としては、あんまりこの手の作品は内容に触れないほうがいいのかもしれませんね(笑)
ネタバレで語り合いたい気も強いのですが・・・

展開的には2つの関連した話が息をもつかせぬぐらいの緊張感を持って展開して行き、読者もグイグイ引きこまれて行きます。
しかし、問題のラストの結末は得意の“叙述トリック”なんでしょうが、確かに読者にとっては凄い結末として待ち受けてるのかもしれませんが、途中の緊張感からして読者はもっと期待してたのかもしれませんね(少なくとも私はそうでした。)

ちょっと文章では表現しにくいのだけど、どこでどう繋がるのだろうかという期待感が唐突と言うかあっけないというか、多分私がこの手の作品をあまり読みなれてないからかもしれませんが・・・
ある意味において、こういう結末だとかなり伏線を張って読まれてもどうしようもない作品なのかもしれませんね。
でも少なくともまんまと騙されたのは紛れもない事実です。
途中まで“被害者の会”のメンバーの誰かが真犯人だと信じてましたから(笑)

あと構成的には法廷シーンや主人公被告Aの心理の動きが巧みに描かれていて、かなり筆力が高い作家だとは思いました。
親が子供を思う気持ちがこの作品をかなり盛り上げてますね。

本作は400ページ弱の普通の長さの作品であるが、この方に限って言えばもう少し長めの作品の方がもっと緻密かつ丹念に書けて持ち味が発揮できそうな気もします。

本当のこの作品の評価は他の折原さんの作品を読んで比べてみる必要がありそうです。
たくさん読まれてる方の評価は是非聞きたいと思います。
ちょっと“勉強不足”を痛感しましたね。

評価7点


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