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『失踪症候群』 貫井徳郎 双葉文庫 - 2003年07月07日(月)

症候群シリーズの第1弾で、ちょっと異色な警察ミステリーという範疇でしょうか。
警察の外部組織(特殊班)を描いたシリーズで、ミステリ版の必殺シリーズ(あるいはハングマン)と呼ばれていますが“必殺”好きの貫井さんの趣味が仕事に生かされた(?)作品ともいえるかな。

本作で家出した若者たちは別人の名前に生まれかわって新たな人生を送ろうとしている。
導入部分が特に素晴らしいだけにちょっとそのあとの展開等が中途半端な気もする。
あと感じたのは若者全体が退廃的過ぎて辛い。不動産屋に勤める馬橋なんかは辛いを通り越して惨め過ぎるキャラです。

特殊班チームの中では原田だけが等身大(というか身近な)のキャラなので原田と彼の娘との話はほろりとさせられる方もいらっしゃるだろうとは思いますが、他の3人とは距離があってちょっと残念な気がした。
リーダーである環敬吾や倉持や武藤が個性的過ぎて受け入れにくかったなあ。

まあ、それなりに次々と失踪していく若者たちがどのようにリンクしていくのかは興味深く読めるのも事実ですが、チームの内の2人(倉持と武藤)が個性的過ぎてあんまり犯人連中と変わらない気がしてどうも入り込めませんでした。

代表作と言われてる『慟哭』と比べたら消化不良かなあと強く感じた1冊でもあります。
犯人側のトリックも弱すぎて印象に残らないレベルだなと思いましたがみなさんはどうでしょうかね。

特殊班チームの存在自体が希薄過ぎたのが残念ですが本来そうあるべきものなのでしょうね(笑)
ただ『誘拐症候群』『殺人症候群』とだんだん面白くなって行くらしいので次も読んでみたいとは思います。



評価6点。



















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