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『おちゃっぴい 江戸前浮世気質』(再読) 宇江佐真理 徳間文庫  - 2003年05月07日(水)

文庫化記念に再読しました。
宇江佐さん著作リスト《こちら》

市井の人々の日常を暖かい視線で描いてます。
宇江佐さんは我々に親子や夫婦のみならず周囲の人々との繋がり大切さを教えてくれます。
6編からなる連作短編集ですが連作と言っても2編×2の4編とあと2編は独立した短編となっている。

表題作はおてんば娘お吉ことおちゃっぴいが縁談を拒み逃避して活躍します。
副タイトルの江戸前浮世気質から見てもわかるようにいちばんこの短編集の特徴をあらわした作品となっている。おきゃんな“おちゃっぴい”が活躍するところは声援を送らずにいられません。

それ以外は大工・岡引・薬師問屋が活躍しますが、私は薬師問屋の菊五郎が特に好きで、いつまでも過去の恋愛を引きずっている登場人物がある意味微笑ましく感じました。
本作は宇江佐さんの作品の中で最も庶民的で江戸っぽい作品かなあと思います。
それだけにそれぞれの主人公が啖呵を切るシーンがとってもみものとなってます。
どれもが泣いて笑えるハートウォーミングストーリーですが、『深川恋物語』のようなしっとりとした雰囲気はないような気がします。
切なさよりも笑いに重点を置いた人情時代小説と言えそうです。

文庫版のあとがきにもありますが、作者自ら“若書き”という言葉を使っています。
その後の宇江佐さんの成長振りを確かめる上でも初期のこの作品是非お読みください。
ただ、読後の余韻等は最近の作品に比べて落ちるかなあとは思いました。

評価7点。


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