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『卵の緒』 瀬尾まいこ マガジンハウス - 2003年02月03日(月)

「卵の緒」と「7's blood」の2編からなる中編集で表題作は第7回の坊ちゃん文学大賞の受賞作です。
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2編とも瑞々しいタッチで描かれていて甲乙つけがたいほどいい作品だと思う。
子供の視点から家族のあり方をさりげない筆致で描いているが、読者の胸を打つことは間違いなし。

表題作は母親が育生を引き取ったいきさつが、また「7's blood」は七子と七生の別れのシーンが・・・

いずれもそれぞれ血の繋がってない親子、異母姉弟の心のふれあいを描いているが、血よりも濃い思いやりの心が滲み出ていて読者に日々忘れかけている本当に大切なものを思い起こさせてくれる。

瀬尾さんの感性豊かな文章はとっても鮮やかで、読後感のいい1冊となりました。

『すごーくおいしいものを食べた時に、人間は二つのことが頭に浮かぶようにできているの。一つは、ああ、なんておいしいの。生きててよかった。もう一つは、ああ、なんておいしいの。あの人にも食べさせたい。で、ここで食べさせたいと思うあの人こそ、今自分が一番好きな人なのよ』

評価9点 オススメ


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