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『コンビニ・ララバイ』 池永陽 集英社 - 2002年12月07日(土)

1人息子を事故で失い、その後妻に先立たれて落ち込んでる、お人好しで商売気のない堀幹郎が経営する『ミユキマート』という名のコンビニを舞台にして、訳ありの店員やお客さんがそれぞれの人生の悩みを解決して行く連作短編集です。

「本の雑誌」2002年上半期ベスト1に選ばれただけの平均レベルの高い作品だと思う。“人と人との暖かな交流”を描いていてとっても読後感がいい。特に各編それぞれの悩みを持った主人公の立場から描かれてるところが素晴らしい。
ドロドロ(?)の人生を送っている各編の主人公が幹郎によって癒されていくところが心地よく感動的だ。
この本を読んで「人生やり直しがきかないから面白い!」ということを教えてくれたような気がするのは私だけじゃないはずです。
帯の“とっても不器用で、素敵なあなたに”という形容もぴったり。


この作者のいい所は人間の欲望や衝動を読者の納得の行く筋書きで描いてくれている点だと思う。切ないけどやるせない感覚はない。
読み終わった後、“人生を積極的に生きようとする勇気を与えてくれる”1冊です。もう少し早く読めばよかったです(笑)

全7編中ベストは「あわせ鏡」、泣けます。

評価9点。オススメ!


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