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2004年05月24日(月) 灯 -3

「家族の病気なら、仕方ないな」
 でも、と不二は思う。
 もし自分と同じ状況におかれても、手塚なら出場したに違いない。
 不二の心のどこか奥深い場所が、きり、と痛んだ。
「手塚君は、やっぱりテニス部に入るの?」
 それは何気なく発した一言だったが、手塚が何か言いたそうな顔をしているのを、不二は見とがめた。
「…僕、何か…変なこと言った?」
「いや、そうじゃないけど…」
 そうじゃないと言いながらも、手塚の表情は明らかに不二の言葉の意味を汲みかねている。その真意が不二には読めなかった。手塚はしばらく黙っていたが、やがていくらか不思議そうな口調で言った。
「俺は、って…君は?」
「…!」
 手塚にとって、テニス部に入るということは改めて考える必要もない、当然の事だったのだと不二はやっと気付いた。そして、不二もそうであると思っていた事も。
「あ…うん、僕カメラも好きで…だからちょっと、どうしようか迷ってるんだ」
「そうか…」
「テニスなら、スクールでもできるし…」
 言い訳めいた事を口にしている自分が無性に嫌だったし、手塚に対してうしろめたさを感じていることも嫌だった。自分はなにも悪いことをしたわけではないはずなのに、と思えばその思考自体がまた嫌になる。
「また…」
 その声は低く、不二には聞き取れなかった。
「何?」
 だが、手塚は不二の問いには答えず、小さく頭を振った。
「…なんでもない。俺はもう練習に行かないと」
「うん。頑張ってね」
 手塚はこくりと頷いて、下駄箱の方へと歩いていった。
 その後ろ姿が見えなくなるまで、不二はその場に立っていた。
 



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まだ続く。次で終わりですよ。


hidali