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「家族の病気なら、仕方ないな」 でも、と不二は思う。 もし自分と同じ状況におかれても、手塚なら出場したに違いない。 不二の心のどこか奥深い場所が、きり、と痛んだ。 「手塚君は、やっぱりテニス部に入るの?」 それは何気なく発した一言だったが、手塚が何か言いたそうな顔をしているのを、不二は見とがめた。 「…僕、何か…変なこと言った?」 「いや、そうじゃないけど…」 そうじゃないと言いながらも、手塚の表情は明らかに不二の言葉の意味を汲みかねている。その真意が不二には読めなかった。手塚はしばらく黙っていたが、やがていくらか不思議そうな口調で言った。 「俺は、って…君は?」 「…!」 手塚にとって、テニス部に入るということは改めて考える必要もない、当然の事だったのだと不二はやっと気付いた。そして、不二もそうであると思っていた事も。 「あ…うん、僕カメラも好きで…だからちょっと、どうしようか迷ってるんだ」 「そうか…」 「テニスなら、スクールでもできるし…」 言い訳めいた事を口にしている自分が無性に嫌だったし、手塚に対してうしろめたさを感じていることも嫌だった。自分はなにも悪いことをしたわけではないはずなのに、と思えばその思考自体がまた嫌になる。 「また…」 その声は低く、不二には聞き取れなかった。 「何?」 だが、手塚は不二の問いには答えず、小さく頭を振った。 「…なんでもない。俺はもう練習に行かないと」 「うん。頑張ってね」 手塚はこくりと頷いて、下駄箱の方へと歩いていった。 その後ろ姿が見えなくなるまで、不二はその場に立っていた。
-------- まだ続く。次で終わりですよ。
hidali
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