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「お待たせ」 「ああ」
翌日は、良く晴れていた。待ち合わせ場所の公園のベンチで本を読んでいた手塚は、聞き慣れた声に顔をあげ、少し眩しそうにリョーマを見た。休日の練習を終えて、急いで走ってきたのだろうか、まだ冷たさの残る空気に晒された頬が微かに赤みを帯びている。
「久しぶりっすね。元気?」 「大袈裟だな…最後に会ってからまだ二週間も経ってないだろう」
手塚は軽く苦笑しつつ本を閉じると、脇に置いてあった白い箱をリョーマに向かってさしだした。
「ほら、越前」 「あ、ひょっとして本当に買ってきてくれたんだ、プリン」 「お前が欲しいと言ったんだろう」 「まあね、言ったけど」
リョーマは意味ありげにそう言って、テニスバッグを地面に下ろすと、自分は手塚の横にちょこんと座った。
「見たかったなー、アンタがこのプリン買うところ。開けていい?」 「ああ」
手塚は、リョーマが箱を開けている間、それを横目で見ながら黙っていたが、中身を目にしたリョーマが動きを止めると、口の端に笑みを浮かべて下を向いた。
「…ねえ」 「なんだ」 「…これってさ…」 「ちゃんと、お前の言った通り、店で買ってきたんだぞ」 「それはわかるけど…」
箱から目線を手塚にうつすと、リョーマは軽く口を尖らせた。 小さな白い紙箱の中に行儀よく納まっているそれは、予想していた卵色ではなくて、乳白色をしている。いわゆるミルクプリンだった。 「…こう来るとは思わなかったよ。結構やるじゃん…」 「どうするんだ、食べないのか」 「まさか。ありがたく、いただきまーす」
リョーマはプリンを箱から出し、片方を手塚に渡した。
「俺、牛乳のプリンって初めて食べる」 「俺もだ」
しばらく、手塚が小さなプラスチックのスプーンで乳白色のプリンを口に運ぶ様子を見ていたリョーマは、やがて小さな声で呟いた。
「ホントは、アンタをちょっと困らせてやろうと思って頼んだんだけどな…」 「?何か言ったか?」 「いーや、なんでも」
リョーマは笑って、自分も手の中のプリンをすくって口にした。それは予想していたよりも甘くて、喉を気持ちよく滑り落ちていく。 手塚とはいつも、お互いの気持ちを探りあったり、ぶつかりあって時に傷付いて、そんな緊張した関係でいる事が多かった。それが心地よいと思ってはいるのだけれど、たまにはこんなのも悪くない。
ふと見上げた空は柔らかな青で、春はもうすぐそこなのだと、感じさせた。
終わり。
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野郎ふたりでちまちまプリンなんか食ってんじゃねー! (読者様を代表しての心の叫び)(代表されても)
hidali
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