「それで?お前、何を見せたいわけ?」
 呆れたような、馬鹿にしたような声が響く。声は、少年の動きの遅さを叱ることはなかったが、満足な体勢もとれないことには厳しかった。表情が見えなくとも、少年にはその声音からだけで、相手の恐ろしさを感じずにはいられなかった。彼の思うように振舞えなかったならば、少年には救いが得られない。
「・・・ごめっ、なさ・・・っ」
 自分の吐く呼気の熱さに眩暈を覚えながら、少年は詰まる息で謝罪の言葉を吐き出す。震える体を動かすのは難しく、時間が掛かる。ままならぬことに焦る少年の身体は尚のこと竦むばかりで。
 しかし声が急かすことはなく、また、指示を出すようなこともない。だからこそ、それは少年の自発的な行いであらねばならない。


2006年09月03日(日)

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