壊れかけたバイオリンケースに破れた楽譜を詰め込む
かさかさとくぐもった音を立てる

子どもだったわけじゃない 大人だったわけでもない
ただ信じていたかった(そんな自分に酔っていたかった?)
一度だけと決めていた 何も知らなかったから
ごめんねなんてそんな言葉 楽になれるのは自分だけで
果てを求めていたのは多分自分のほうで
遊びだったわけじゃない だけど本気がわからない

周りはみんな騒ぐけど 君がぼくの何を裏切ったというんだろう?
「貴方は優しすぎる」なんて君は言うけれど
それってつまり言い訳だったの?
指を絡めて肌を重ねて言葉を紡ぎ涙を流さなかったわけじゃない
それでも一緒にいることを選んでくれたのかと思っていたけれど
結局はそうじゃなくて
君がぼくに求めていたものがわからない
刺激が欲しいの?痛みが欲しいの?
ぼくが君に与えられるものでは足りないというなら
それだけではなれる理由には事足りるんだろうに
だけどそうでない理由をぼくに聞かせようとする
その理由ってなんなんだろう?

女の悲鳴のようなギターの音がひどく耳について痛いのに
それでも塞ぐことなくまっすぐに聞いていた

そのとき、ひどく泣きたい気分だった
だけど目が、ひどく乾いていて、痛いほど乾いていて
涙の気配などどこにもないまま終わってしまった

夜の森 木々をわたる獣ざわめき 赤ん坊の泣き声のような鳥の声
点在する開けた空間には決まって墓標の群れ 呪わしげに土に突き立てられた枯れた木の十字 花を添えるものなどない 名もない墓

小さな少女が膝を抱えて部屋の隅
暗闇の中に小さな光
庇うように包んでただその光だけを見つめるけれど
少女の体に遮られ部屋の影は増すばかり
背中に巣食う闇に覆われ
冷えた空気に凍っていく


2006年01月15日(日)

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