どれだけ手を伸ばしても、触れられるとは限らない。掴める何かだとは限らない。
いつか割れた爪の痛みも消える。
この指も失うだろう。

「私にとっての神は、あの人であったということだろう」
(あ、笑った)
微かに笑みすら浮かべて語る己が神。
「ふーん…」
堕とされた身。
それを与えたのが他の誰でもなくあの人であったことが、幸いであると、思おうとしている。
「お前、物好きだな。自分を棄てるものを神とするとは」
人の身では行きつくことの許されない地。
「神に棄てられた者が行きつく先は、人間風に言えば『地獄』ってことか」
逃げられぬ、神すら省みぬ此処で、貴方を思いながら過ごせるのなら、地獄など。


2005年11月15日(火)

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