005・大親友

 
 朝の陽光がライン河の川面を美しく煌めかせている。その川岸に一艘の船が停まっている。桟橋に横付けされたその船から、旅行客らしき人々が降りて歩いていく。その先にーアンゲルブルク城がそびえ建っていた。おそらく窓ガラスだろう、白が太陽の光を受けてリラキラと輝いている。

「ジェイムスさん達遅いねぇ‥」

 城のロビーを見渡せるラウンジで入口の方をぼんやりと見ながら、ユキが呟いた。目の前ではサーマスが足を組んで新聞を読んでいる。

「もう来るんじゃない?今、船が着いたとこみたいだし」

 そう言いながら新聞をバサ、と、テーブルにほうり出した。つまらなさそうに椅子の背もたれに背を投げ出して、ロビーの方を見ていると、すぐに、がやがやと人の声がして、旅行客の一団が入って来た。フロントで次々チェックインを済ませていくのが見える。
その中からジェイムス達を見つけるのはそう難しい事では無かった。何と言ってもジェイムスのあの容姿だ。おまけにアルは絶えずチョロチョロと動き回っている。そのそばにアルを呆れる様に、はぐれてどこかへ行かない様に見張っている(?)ピエトロと、いつになく嬉しそうなフランシスも見える。
チェックインを済ませた所の彼らにユキが手を振ると、それに気付いたアルが「あっ!」と、うれしそうな顔で駆け出す。と、ピエトロ達もすぐにこちらに気付いて、アルの後に続いて歩いて来る。

「や〜い、アルちゃん遅い遅〜い!!」

 ユキがさっそくアルをからかう。
 
「ちぇー!! 二人ともずるいよぅー!ぼくにナイショで先に出発しちゅなんてー!ちょっとくらいまっててくれたっていいのにぃー!」

 口を尖らせてアルがスネる。そのアルをサーマスが更に煽る。

「お前がトロくさいだけじゃんか。なんで俺がわざわざ待っててやんなきゃなんないんだよ」
「う"っ‥な‥なにもそこまで言わなくったってー!! 大親友だったら待っててくれんのがあたり前ーー」
「誰が大親友だよ」

 アルの言いかけたセリフにサーマスがビシリと、とどめを刺す。どうやら朝から少々機嫌が悪いらしい。厳密に言えば昨夜からだが。
そんなサーマスと意外な反撃をされて早くも半泣きになっているアルを見て、しょうがないなぁ、と言う様に笑いながらユキが二人の仲裁役をかって出る。

「まぁまぁ二人共、着いた早々ケンカなんてしないの!サーマスくんも、あの事が気になるのはわかるけど‥」

 ユキがそこまで言いかけた時、アルがすかさず

「えっ?! 何?あのことって?」

 とするどくつっこみを入れる。好奇心いっぱいの目をキラキラと輝かせてみたりしたが、ユキの話は突然それた。

「キャーv!フランシスさーん!今日のワンピースすっごくかわいい〜〜!!v」
「えっ?そう?いつもスーツばかりだったから、こういう時くらい、と思って‥おかしくない?」
「よく似合ってますよーv ステキですー!」
「ホント?! ありがとv でも、そういうユキちゃんも薄いピンクのフレアースカートv よく似合ってルわよv」
「ホントですかー?よかったー!! 私、いつもズボンばっかりだから‥!!」

 ‥‥フランシスがラウンジまで来た途端、嵐の様な女性同士特有の(?)ファッション会話。さすがのアルもおいてきぼりにされている。

「あのう‥おとりこみ中失礼しますが、あのことというのは‥」

 そう、ひかえめに声を掛けてみても、まったく気付いてもらえない。すっかり "しゅん" としてしまい、もうひと押しで泣きそうなアルの肩を誰かがポンポンとたたいた。



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コメント。
この続きも一応考えてあったんですが、ページの都合上‥(あと2Pはさすがに/汗)それにこの方がどうなるか面白いかなー?と、思ってv。さて、アルの肩をたたいたのは誰?フフフ‥後で自分の首をしめることになったりして(笑)
都大路しろくま。


 2006年11月29日(水)
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