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004・前兆‥のはず。
大河を冬の風が渡っていく。 夕食後の軽いリハーサルを終えてラインツは古城の窓枠に手をついて身を伸ばした。 予定では明日ジェイムス達がこの城に着くはずだ。
「しっかしまあ‥よくもこれだけ金かけて再建したもんだよ。この城」
ライン河沿いに建つ、このアンゲルブルク城ー天使の城ーは話によると、殆ど土台しか残っていなかったらしい。それを劇場付きの大ホテルに生まれ変わらせてしまったのだから、ここのオーナーはかの "ルードヴィッヒ二世" に勝るとも劣らない酔狂さを持ちあわせているといえる。
「もっともその分、俺にゃあ仕事が出来てありがたいが‥」
城の外壁のさらに外、昔は防御の役目をなしていた城壁にラインツは目をやった。この城壁はある程度の形が残っている。
「‥‥え?」
何か、白い物が見えた。 目をこらしてみると、それは何やら風にふわりとあおられ広がった。 白い、昔風のドレスだ。それを着て誰かが立っている。体型からすると少女か。 こんな夜、12月のドイツの城壁の上に‥と思った瞬間。 息を飲んだ。 首から上がなかったのだ。
「‥‥!!」
ラインツは硬直した。
「これは‥また‥」
そう言ってがっくり肩をおとす。
「また一騒動あるってことかよ〜〜!!」 「見ましたね」 「うわあああっ!!」
いきなり背後から声をかけられてラインツは前のめりになった。窓枠であごをしたたかに打ってしまう。
「古城に現れる首無し少女の幽霊‥何かありそうですね。これはさっそく調べないと」
そこに立っていたのはサーマスだった。隣にユキもいる。彼等二人は一足早くアンゲルブルク城に着いていたのだ。 ラインツは荒い息を押さえて、
「ちょっと待てよサーマス‥ここは劇場関係者以外は入って来れない所だぞ。なんでお前がいるんだよ」 「‥後学のため」
こまっしゃくれたガキにそんな言葉をかけられて、ラインツは手で顔をおおった。
「ラインツさんありがとうございます。『この前の埋め合わせ』って同じ事を私とサーマス君に体験させて下さる事だったんですね」 「ユキちゃんそれボケ過ぎ‥」
くらくらする頭を押さえてラインツは何とか立ち直った。
「とにかく!! このまま放っておけば実害は何もないかもしれないし、あの幽霊は放っておくこと!!」
事を荒立てれば絶対何かが起こる、ラインツは確信していた。いや、幽霊によって何かが起こると言うより、このフランスの小生意気なガキがこれを理由に暴走する事を確信したのだ。どうもサーマスは苦手だ。アルより手に負えない。
「えーっそうなんですか?つまらない‥」 「ユキちゃんも放っておく事!!!」
二人を関係者通路から追い出すと、ラインツは大きな溜息を吐いた。
そして翌朝ー。
------------------- コメント。 一気書き。割と思ったまま書いちゃいました。ゴーストっぽくしてみたけど、このネタ使う?! 伏水めじろ。
2006年11月22日(水)
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