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001・古城への招待
「なぁみんな、来月俺のオペラ観に城まで来ないか?」
急にラインツがそう話を切り出したのは、11月も半ばをすんだ頃、またしてもたまたま、ゴーストがらみの事件がイギリスで起こったがために例によって迷惑にも全員がジェイムスの家に泊まり込んでいる時の事だった。
「‥何?ラインツ、城までってどういう‥?もう少し順序だてて話してくれないか?」
突然の話について行けずピエトロが思わず口を挟む。イギリスでも事件を終えた翌日の薄曇りだが、時折柔らかな朝に陽射しの射し込む部屋で、ジェイムスの作った朝食を食べ終り、食後の紅茶を飲んでいる。
「あ!ぼく知ってますよそれ!!なんか中世のお城に泊まれるんですよね!!」
ミルクたっぷりの紅茶だかミルクだか判らないミルクティーを飲んでいるアルが元気よくラインツとピエトロの会話に口を挟んだ。
「お前こそ何言ってんだかわかんないぞ、なんだよそれ」
とても年上とは思えないアルの発言に年下のサーマスがつっこみを入れる。しかし当のアルはそんな事などまったく気にしちゃあいない。
「えーーっっ!!? 知らないのサーマスくん!? ふる〜いお城に泊まって、中世気分を味わいながらオペラを楽しもうとかいう‥たしかそんなのですよね!ラインツさん!」 「ま、そんなのだ。もともとドイツの古城なんだが、持ち主が大のオペラ好きでちょっとした劇場を作ってな、他の部屋をホテルみたいにして一般客が泊まれる様にしたんだ。その劇場とホテルが12月にオープンするんだが、まあ、そこの柿(こけら)落としとして上演するオペラに俺も出るんだよ。で『城まで来ないか?』と」
そこまで一気に説明し終えると、紅茶のカップを口に運び、一息ついて話を続ける。
「勿論、費用は俺が出す。前に招待した時は散々だったからなぁ、ま、その埋め合わせもかねてな」
そう言って苦笑いした。ラインツの言っている『この前』と言うのが、ヴェネツィアでの事件(※)の事だな、というのは、その時事件に関わった者にはすぐに解った。
「あの‥でもそういうことなら私とサーマスくんは、その『この前』とは関係ないんですけど‥」
少し遠慮がちに、ユキが言う。普段ゴーストハンターしている時は大胆な行動を取る彼女も、こういう時には、ふと、大和撫子らしい(?)一面をのぞかせる。 そんな彼女にラインツは、多くの女性ファンを虜にする優しい笑顔で微笑み、
「心配しなくてもちゃんとユキちゃんもサーマスも招待するよ。とりあえず、今ここにいる全員は招待するつもりだからね。フランシス、君にもいつも迷惑かけてるし、招待するよ。ジェイムスと一緒に来るといい」
カラになったラインツのカップに紅茶を入れてくれていたフランシスにも声をかける。
「え‥?でも‥‥いいんですか?」
伺う様にラインツとジェイムスをかわるがわる見ると、ラインツがすかさず、ジェイムスにたたみ掛ける様に、
「いいよな?ジェイムス?どうせヒマだろ?」
と憎まれ口をたたく。
「悪かったな、ヒマで」
さっきまで黙り込んで紅茶を飲んでいたジェイムスがラインツのいつもの余計な一言でようやく口を開いた。 そしてなんだかんだ言いながら、結局この場にいた全員ーピエトロ、ジェイムス、ユキ、サーマス、アルそしてフランシスーがラインツの招待を受ける事になった。
「他にも何人か招待しようと思ってるんだが‥ま、今はナイショだ。とにかく近い内にチケットを送る。俺は先に行ってるよ、色々と準備やらリハーサルやらあるから。じゃあな、楽しみにしててくれよ!」
ラインツのこの台詞でこの日は分かれ、そして12月ーーーーーー。
---------------------- コメント。 ‥やっぱ一番は大変だった‥。この後どうするのか?! みんな!! 後はまかせたぜ!! 楽しみじゃ〜!! 都大路しろくま。
※既刊本「闇からの記憶」参照。
2006年11月01日(水)
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