ジンジャーエール湖畔・於
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最近の関心事、なんにも頭にない。 ゴダイゴを追聴(わたしの造語。古いものを聴くこと)してるのは、 長谷川和彦の『青春の殺人者』に彼らの1stがサントラとして使われたから。
あいつと2回め、夜あったとき 赤い目を隠すためといってたけど本当はネオンにも弱いドラキュラだったためサングラスは装着されていた。 『青春の殺人者』をオールタイムベストにあげた彼に、わたしは 「『太陽を盗んだ男』が面白かったから観たいと想ってた。」といいながらも 「きっと、当分みないわ」といってしまった。
「ビデオレンタル屋にいけばほぼ確実に観る事ができるとおもうけど、なぜだかそういう方法では『青春の殺人者』をみたくない。」とも言った。
「ごくたまになにかの特集で『青春の殺人者』がどこかの映画館で上映されるかもしれない。そうした機会を知って、スケジュールに都合をつけて、デートに誘われることもなく、渋滞でバスがおくれることもなく、映画館にわたしは辿り着き、そういうささいな偶然を通過して『青春の殺人者』を観れればいいと想ってる。 それは先をいそぐことでもないの。それはとっても悠長でいいかげんな待望なの。 でもそれでいいの。 わたしにはそうした映画が待っているって想っていたい。 つねに可能性が予感されるべきなのよ。」
と、ぺらぺらと口が勝手にうごいていた。 彼がすすめた映画に対して、こんなこと言ったら男の人はきっと引いてしまうでしょう。 でもあいつは違っていた。
「可能性を俺も愛すよ」
そうしてわたしたちはつきあいはじめた。
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