仮に彼女の名前は「Kさん」とします。Kさんはスリランカ人の友人の一人です。彼女は昨年何年か付き合ってきた彼氏と「るんるん」ムードで結婚しました。私も祝福し我が家に招待したことがありました。実はKさんは彼女の夫の実家にいったことがないのです。でも熱烈な恋愛の末結婚したという次第。仕事の都合で別居生活がずっと続いていましたのですが、週末にはデートを重ねていました。ところが結婚後1年以上経過して何か変なムードになってきました。どうも夫婦の間がしっくりいっていないようなのです。Kさんは気疲れからか胃をこわしたみたいです。先々週病院にいって検査しました。一ヶ月分の給料が吹っ飛んだそうです。
最近、彼女は夫から連絡がないので、遂に意を決して彼の家を訪ねることにしました。彼女の唯一の親友(女性)に一緒に彼氏の家を探し当て乗り込んだのでした。この友達は身体障害者なのですが、明るくて元気のよいとても素晴らしい方です。でもスリランカでは身体障害者の方には仕事がなく非常に生活に困っているというのが現状です。彼の実際の家は以前に彼女に知らされていた住所とは全く違うものでした。以前彼が自分の家だと言っていた大きな家は全く別の家で実際には非常に貧しそうな家だったそうです。
彼女達が彼の家で見たものはKさんの夫の隠されたもう一つの生活でした。奥様と二人の子供達でした。奥様は三人目の子供身ごもっているそうです。彼女達のショックといったらとても文章にすることはできません。彼女から相談を受けた私はとても慰める言葉を持ちませんでした。彼女は彼に裏切られた気持ちで普通に考えることはできない状況でした。スリランカは仏教国であり公式にはこうした夫婦の問題には大変厳しいです。重婚の罪は重いのです。これが警察沙汰になったら彼は罰せられます。
警察沙汰にする前に、今晩私の宿舎へ夫婦二人を呼び出しました。外国人の私一人では意思疎通に困難を来たすので、もうひとりの友人(スリランカ人の男性)も同席してもらいました。でも非常に複雑なのです。Kさんの夫は重婚は認めるものの、Kさんへの愛情は変わらないと切々と訴えるのです。別の奥様と子供達のことは何とか片付けて、Kさんの結婚生活は続けたいと言い出す始末。それを聞くKさんはいつの間にか旦那への愛情を捨て切れないようなことを言い出すのです。
確かにKさんの旦那は純粋な愛情から結婚したのかもしれません。でもそれはあまりにも身勝手というもの。そんな勝手な言い訳が通用するはずがありません。しかも彼はとても貧乏で妻二人子供三人を養えるはずがありません。もしかしたら三人目の奥様いるかもしれないし・・・。
私としては相談を受けたからには、そして私の人生経験からして、またこの国の法律・道徳に照らしても彼の行動を許すわけにはいきません。しかし、彼の最初の奥様と子供三人、そしてKさんの今後のことを考えなくはなりません。理屈だけでは解決しないのが世の中ですね。話し合いは一向に進まないので、適当なところで切り上げ一晩考えてもらうことにしてこの日は解散しました。
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