スリランカ政府とタミール人反政府組織LTTEの和平協定が締結されて一周年になります。先週の土曜日その記念式典がコロンボで行われていました。でも平和を永続化する「内戦後の具体的な復興」の話し合いは遅れており、国内に密に苛立ちが増していると感じられます。
というのは、一年以上の休戦期間の間、LTTE支配地域へのスリランカ政府からの税金の配分はほとんど行われてこなかったからです(私の知る限り)。戦闘はほとんどLTTE支配地域で行われてきたことから、彼らの地域の産業は荒廃し、多くの難民が国内・海外に逃げ出しているのです。つまり、LTTE支配地域での生活状況は、戦闘時代とあまり変わらないのです。戦闘がない代わりに就職先があるかというとないのです。
一方、首都コロンボはというと、テロの脅威が少なくなって社会が安定してきました。もともと戦闘が行われていたわけでもないので、普段の生活に戻るだけです。観光客も増え産業の集積が進みます。内戦終結後を睨んで事業を発展させようというビジネスマンが沢山あらわれます。政府も支援国へのリップサービスもあるのでしょうけど、一部産業界への競争導入に必死です。
でも何か変です。LTTE支配地域では、LTTEが税金徴収の動きを見せています。今年になって武器の密輸事件も明るみに出ました。彼らの「和平」は戦闘を中断しているだけで、一年経っても復興の目処がたっていません。武器を再び手にすることは簡単なことなのです。コロンボでは裕福なビジネスマンが和平を謳歌しようしているのです。
日本の第二次世界大戦後の復興は、集中的に破壊された都市の再生から始まりました。当時破壊されずに残った「富」は田舎にあり、田舎から都市再生に人が集まり富の平準化が進みました。日本人全体が戦いそして敗れたという一体感もあったでしょう。これに比べ内戦は悲惨です。今こそ仏教の教え「他人への愛」を実践してほしいと切に思います。
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